株式・債券市場、インフレ再加速リスクを過小評価=PIMCO
Davide Barbuscia
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米資産運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO、ピムコ)のダニエル・アイバシン最高投資責任者(CIO)は21日、株式市場や債券市場は中銀の利下げペースについて楽観的すぎる可能性があり、景気後退やインフレ再加速のリスクを過小評価していると述べた。
メモで、PIMCOは過去1年間にわたり、低格付けのクレジット商品から、より弾力性がある高格付けの証券化資産にシフトしてきたと明かした。様々な経済シナリオにおいて価値上昇が見込まれるためという。
またインフレ率の継続的な低下と米連邦準備理事会(FRB)を含む中銀の年内利下げ開始を見込んでいる一方、そのプロセスがどれほど迅速に展開するかについて市場は楽観的すぎると指摘。「市場が米経済のソフトランディング(軟着陸)の可能性を示唆するのは当然だが、クレジットスプレッドと株価のバリュエーションが織り込んでいる、リセッション(景気後退)やインフレ再加速の確率は非常に低い」とし、PIMCOはインフレ再加速を見越して米物価連動国債(TIPS)へのエクスポージャーを維持しているとした。
アイバシン氏が運用するPIMCOの「インカムファンド」は昨年9.32%のリターンを達成。アイバシン氏は「FRBが利下げに着手すれば、昨年達成した高水準のリターンをさらに上回る可能性がある」とした。
短期債に対するエクスポージャーは維持しているものの、FRBの利下げペースに対する市場の過度な楽観論を背景に割高な水準にあると言及。長期債に関しても保有債券の金利エクスポージャーを減らしていることを明らかにした。
さらに米債発行や米財政赤字の長期持続に対する懸念が長期債をさらに圧迫する可能性があるとし、「われわれはオーストラリア、欧州、英国など米国以外の高格付け市場に金利のエクスポージャーを分散し始めている」とした。