アングル:米資産運用会社、中国株反発に備えETF投入 割安感に期待
Suzanne McGee Megan Davies
[20日 ロイター] - 中国株式市場は3年連続で下落し、米政府も対中強硬姿勢を強めているが、一部の米資産運用会社は中国株が反発した場合に資金流入が見込める上場投資信託(ETF)を投入している。
中国優良株で構成するCSI300指数は不動産危機、景気減速、地政学的な緊張を背景に3年前の過去最高値から43%下落。一部の米資産運用会社は、株価に割安感が出ており、投資家が市場に戻ってくると期待している。
モーニングスター・ダイレクトによると、CSI300指数の株価収益率(PER)は現在12倍。米S&P総合500種指数の24倍を下回っている。
中国ETFを提供するクレーンシェアーズのジョナサン・クレーン最高経営責任者(CEO)は「久しく見たことがないバリュエーションで中国株を購入できる一世一代のチャンスかもしれない」と指摘。
同社は2021年以降、中国ETFを新たに4本設定。13年に立ち上げたクレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネット・ファンドは運用資産が約50億ドルに達する最大級の中国ETFだ。
JPモルガン・アセット・マネジメントのETFソリューション部門グローバル責任者、ブライオン・レイク氏は「世界2位の経済大国が投資家のポートフォリオで役割を果たさないはずがない」と指摘。同社は23年3月にJPモルガン・アクティブ・チャイナETFを立ち上げた。運用資産は約920万ドルだ。
モーニングスターによると、23年に米国で設定された中国ETFは4本。22年は2本、21年は8本だった。23年末時点では米国を拠点とする中国ETFが48本存在する。ここ数年はほぼ横ばいだが、過去10年で46%増加している。
<閉鎖するETFも>
ただ、中国市場は、米当局による対中投資の監視や中国の予測不能な規制環境など、経済・政治面の課題を抱えている。
一部の中国ETFは地合いの悪化を受けて閉鎖。グローバルXファンドは、セクター別の中国ETF11本のうち10本の閉鎖を計画している。平均運用資産は700万ドル。残る1本はグローバルXチャイナMSCI一般消費財ETFで、運用資産は2億1540万ドルと11本中最大だ。
モーニングスターのETFストラテジスト、ブライアン・アーマー氏は「(グローバルXは)中国で広範な景気回復が進み、セクター別ファンドに資金が流入するという過度な期待を抱いていだのだろう」と述べた。
<戦略的投資の「部品」に>
ただ、中国ETFを投入する資産運用会社は、実績のある確立されたETFを用意しておくことで、中国市場が反発した場合に大きな利益を得られると期待している。
通常、ETFの新規設定には少なくとも6カ月かかる。新たな分野に進出する資産運用会社の場合、それ以上の時間を要する可能性もある。実績のあるETFを準備しておけば、資金が急ピッチで流入し、小さなETFが一夜にして大型ETFに生まれ変わることも考えられる。
約30年前から中国に投資しているマシューズ・アジアは22年7月以降、中国などアジアに投資するETFを12本設定。「潮目が変わった場合の商品の準備はできている」と述べた。
同社は昨年7月にマシューズ・チャイナ・アクティブETFを、今年1月中旬には小型成長株に投資するマシューズ・チャイナ・ディスカバリー・アクティブETFを立ち上げた。
ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDR米州リサーチ責任者、マシュー・バルトリーニ氏は「ETFシリーズに中国ETFを用意しておくのは完璧に理にかなう可能性がある」とし、世界2位の経済大国である中国にエクスポージャーを取りたい投資家が戦略的に活用する「部品」になるだろうと指摘した。