欧米自動車メーカー、中国との競争でEVコスト削減に注力
Nick Carey
[ロンドン/デトロイト 15日 ロイター] - 中国製の安価な電気自動車(EV)との競争にさらされている欧米の自動車メーカー各社は、EV価格を化石燃料車並みに抑えるため、コスト削減の取り組みを強めている。業界幹部らが15日、明らかにした。
欧米のステランティスと仏ルノーは、より手ごろな価格のEVの開発を試みている。米ゼネラル・モーターズ(GM)とフォード・モーターは、EV生産コストの低下に寄与しそうな提携の可能性を探っているところだ。
安価なEVを生産する比亜迪(BYD)などの中国メーカーは、欧州などへの輸出攻勢を加速。米メーカーは、中国企業がメキシコに工場を建設して米国にEVを輸出する可能性を懸念している。
ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は2023年の決算発表後、アナリストらに対し、どの社もEVのコストを化石燃料モデル並みに引き下げようと努めていると説明。価格引き下げは、電池パックのサイズを小さくできる小型車の方が簡単であり、大型電池載したEVの価格は高止まりするとの見通しを示した。
フォードのジム・ファーリーCEOは、BYDに対抗できる低コストEVを設計するための特別チームを立ち上げたと述べた。
ただ欧米メーカーは、投資家が求める利益を確保するため、まずコストを引き下げてからEVの価格を下げる必要がある。
ステランティスのカルロス・タバレスCEOは通年決算の発表後に記者団に対し、「私が(目先のことだけを考える)短期主義者なら、利ざやの圧縮を看過するだけで即座にEVの売り上げを増やすこともできるだろう」と語る。
その上でタバレス氏は、電池の原材料コストが下がっているため、同社のEVと化石燃料車の利ざやは「収れんしつつある」とし、この流れを加速させたい意向を示した。