焦点:米株に迫る金利上昇懸念、底堅い経済と緩やかなインフレが防壁か
David Randall Saqib Iqbal Ahmed
[14日 ロイター] - 米国債利回りが上昇する中、一部投資家は底堅い国内経済と緩やかなインフレが株式の防壁になると考えている。
13日に発表された1月のインフレ率が予想を上回ったため、米利下げ観測が後退し、国債利回りは上昇。S&P総合500種は下落したものの、今週付けた最高値圏にあり一部投資家は利回り上昇に耐えられると見ている。
その理由の一つは金利上昇に直面した米国経済が多くの予想をはるかに上回る強靭性を示し、金融引き締めが成長に打撃を与えるという懸念が和らいでいることだ。
大半の投資家は、インフレ鈍化を受け年内利下げの可能性が高いと考えている。1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.1%上昇で市場予想は上回ったが40年来のピークだった2022年6月の9.1%からはかなり低下した。
トールバッケン・キャピタル・アドバイザーズの代表、マイケル・パーブス氏は「金利は上昇しているが、それは経済がかなり良い状態にあることを意味する」と指摘。一方、インフレについては「以前と比べればそれほど恐ろしくなくなった」と話す。
株式はペースは落ちるものの上昇を続けると予想。「暴力的でない金利上昇であれば、市場も経済もそれに対応できる」との見方だ。
先物市場が織り込む今年の利下げ幅は90ベーシスポイント(bp)程度。先月の150bpから縮小したものの、昨年12月の会合で連邦準備理事会(FRB)当局者が予想した75bpは上回っている。
<好決算>
投資家の楽観論はBofAが実施した最新のファンドマネジャー調査にも反映され、グローバル株式への配分は2年ぶりの高水準となった。22年4月以降で初めて景気後退の予想も撤回した。
多くの投資家は、これまでのところ予想を上回る好調な決算を好感。ブラックロックのグローバル首席投資ストラテジスト、ウェイ・リー氏は、決算シーズンは非常に良かったとし、市場はここ数週間にゆっくりと上昇した利回りを順調に消化できたと指摘した。
一方で、好調な経済データが続くとインフレ再燃懸念が高まり、FRBが投資家の予想よりも長期にわたって高い金利を維持せざるを得なくなる可能性もある。
シンプリファイ・アセット・マネジメントの首席投資ストラテジスト、マイケル・グリーン氏は「金利に敏感な銘柄、特に債務の借り換えを迫られている小型株にとっては非常にマイナスになる」と述べた。
銀行株は高金利が長期化するとの見方から大きな打撃を受けている。KBW地銀指数は米商業不動産へのエクスポージャーを巡る懸念を背景に13日に4.49%下落した。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズの米国ポートフォリオ構築・戦略責任者であるララ・キャッスルトン氏は、ここ数週間の株価ラリーへの警戒感を強めている。
しかし、株式は依然として膨大なキャッシュ配分に支えられ、投資家に押し目買いの余地を与えると考えている。
インベストメント・カンパニー・インスティテュートのデータによると、7日時点のマネー・マーケット・ファンドの総資産は6兆0200億ドルだった。