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GDP10─12月期は2四半期連続マイナス、年率0.4%減 内需弱く

配信日時:2024/02/15 09:21 配信元:REUTERS

Kentaro Sugiyama Yoshifumi Takemoto

[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した2023年10─12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質(季節調整値)が前期比0.1%減と、2四半期連続でマイナスとなった。年率換算では0.4%減。個人消費や設備投資など、内需が低迷した。

ロイターがまとめた民間調査機関16社の10─12月期の予測中央値は前期比0.3%増、年率換算で1.4%のプラスで、結果は予想外のマイナスとなった。

23年暦年の実質GDPは1.9%で、3年連続のプラスだった。名目GDPは591兆円で、ドイツを下回った。

GDPの過半を占める個人消費は前期比0.2%減。内閣府によると、暖冬の影響で季節商品の衣服の販売が不振だった。外食や食料品なども押し下げ、3四半期連続でマイナスとなった。

個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資も、同0.1%減となった。3四半期連続マイナス。企業からは強い投資意欲が示されているが、人手不足などの供給制約が影響した可能性がある。

民間住宅は1.0%減、公共投資は0.7%減で、ともに2四半期連続のマイナスとなった。

財貨・サービスの輸出は2.6%増と3四半期連続プラス。医療メーカーの提携による産業財産権等使用料の大口受取が一時的な押し上げ要因となったもようで、10─12月期のGDPは「見た目以上に弱い結果だ。けん引役不在のなか、日本経済は停滞感の強い状況が続いている」(第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミスト)との指摘が出ている。

国内の総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比3.8%上昇。7ー9月期の5.2%上昇から上昇幅は縮小した。

内閣府は、23年度実質GDP成長率実績見込み(1.6%)を実現するには、24年1─3月期に前期比年率5.0%程度(前期比1.23%程度)の伸びが必要としている。

<金融政策、新藤経済財政相「具体的手法は日銀に」>

日本銀行がマイナス金利解除を含めた金融政策の正常化を模索する中、10─12月期GDPは弱い内容となったが、「春闘の結果が期待外れの結果にならなければ、既定路線通りに3月か4月にマイナス金利解除に踏み切るだろう」(大和証券の末広徹チーフエコノミスト)との見方が出ている。

一方、クレディ・アグリコル証券の会田卓司チーフエコノミストは「ファンダメンタルズからは、物価目標達成の確度は上がるより、下がるリスクが出てきている」との見方を示し、「金融政策の正常化の議論ばかりが春闘一本足打法で前のめりに進んでいることに対して、政府と自民党から経済政策の基本方針と整合的な金融政策運営を求める圧力が高まる可能性がある」と指摘する。

新藤義孝経済財政相は会見で、日銀の金融政策は個人消費や先行きリスクを含め総合判断され、その具体的手法は日銀に委ねられる、との見解を示した。そのうえで「政府としては密接な連携のなかで賃金上昇を伴う物価目標の達成に向け適切な金融政策運営を期待する」と述べた 。

(杉山健太郎、竹本能文 編集:田中志保、青山敦子)

*新藤経済財政相の会見内容を加えました。

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