注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:34年ぶりの37000円台回復だが、NT倍率急拡大で上値重いか
配信日時:2024/02/10 13:56
配信元:FISCO
*13:56JST 国内株式市場見通し:34年ぶりの37000円台回復だが、NT倍率急拡大で上値重いか
■ソフトバンクGが日経平均をけん引
今週の日経平均は週間で739.40円高(+2.04%)の36897.42円と上昇した。決算発表銘柄への物色が継続したことから、プライム市場の売買代金は連日で4兆円を超える大商いとなった。米国株はしっかりも迫力に欠ける展開となったこともあり、週初から日経平均は36000円を挟んでのもみ合いとなったが、6日の取引時間中に決算を発表したトヨタ自<7203>が上場来高値を更新。日本の企業で初めて時価総額50兆円台を達成したこともあり、投資家のモメンタムを刺激し、トヨタ自は上場来高値を連日で更新する強い動きを見せた。
週末に2月限オプション特別清算指数(SQ値)算出を控えていたことも影響し、日経平均は36000円水準での小動きが続いたが、8日11時過ぎに日本銀行の内田副総裁が「マイナス金利解除でも緩和維持」と発言したことから225先物にまとまった買いが入り、日経平均は一気に上げ幅を拡大。プライム市場の銘柄の6割近くが下落した一方、ソフトバンクG<9984>など日経平均寄与度の高い銘柄が急騰したことから、日経平均は1月22日につけた終値ベースでの高値36546.95円を更新。週末は、ソフトバンクGの大幅続伸や為替が1ドル149円台と円安が進んだこともあり、日経平均は34年ぶりに37000円台を回復する場面も見られた。
なお、1月第5週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1775億円買い越しており、1月累計では、23年5月の約2兆3000億円以来の約2兆円の買い越しとなった。一方、225先物は2700億円、TOPIX先物は2400億円それぞれ売り越したことから、1月第5週総合では3325億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は総合で334億円の買い越しと買い継続となった。
■NT倍率は昨年7月以来の14.42倍に急拡大
9日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は54.64ドル安(-0.14%)の38671.69ドル、ナスダックは196.95ポイント高(+1.25%)の15990.66、S&P500は28.70ポイント高(+0.57%)の5026.61で取引を終了した。大証ナイト終値は通常取引終値比260円高の37150円で終了した。東京市場は3連休のため、12日の米国市場の動向を見極める必要はあるが、日経平均は37000円台での値固めを試したいところだ。来週14日を過ぎると企業の決算発表は一巡を迎えるが、決算発表を受けて、国内外の証券会社による投資評価及び目標株価変更レポートが相次いでリリースされることから、レポートを材料とした売買が中心となり、プライム市場の売買代金はそこまで大きく減少しないと考える。
1月SQ値は36025.97円、2月SQ値は37018.07円と2カ月連続でSQ値が約1000円ずつ切り上がっている。これだけで先高観を推し量ることはできないが、過熱感が意識されるなか堅調な上昇は安心材料と言えよう。一方、英アームの株価上昇や決算などを材料に急騰したソフトバンクGが日経平均に与えた影響は大きく、NT倍率は昨年7月以来の14.42倍まで急拡大している。内田日銀副総裁の発言を受けて、銀行株がさえなかったこともNT倍率拡大の背景にはあるが、ソフトバンクGなど偏った銘柄の急騰や先物主導などによる日経平均の上昇は「途転」の可能性もあることから注意したい。
■政府・日銀による円安けん制発言増加か
為替の円安推移も注意したいところだ。昨年11月27日以来となる1ドル149円台に乗せたことから、政府・日銀による円安けん制発言が増加しそうだ。既に9日朝方には、鈴木財務相が「株価と為替の動向を注視、金融政策運営に政府はコメントしない」と発言したほか、林官房長官も「昨日(8日)の内田日銀副総裁の発言は、1月の植田総裁発言と同じ内容である」とコメント。目立った円安けん制発言と市場は捉えていないが、今後、鈴木財務相や、為替介入の陣頭指揮を執る神田財務官の発言がたびたび市場に伝わるだろう。円安推移は輸出関連銘柄には追い風となるが、小売など輸入企業は向かい風だ。円安進行でインフレ加速となれば、日銀による「金融政策の正常化」に舵を切るタイミングが早まる可能性はある。
8日の内田日銀副総裁の発言など日銀が念入りに「地ならし」を行っている状況下、想定外の円安推移に対して早めの措置を講じるとの見方もある。最後の円買い・ドル売りの為替介入は2022年に151円90銭台水準で行われたが、「金融政策の正常化」という大きなテーマを考慮すると過去に行った水準より手前で為替介入を実施する可能性もあるだろう。
■13日に米CPI発表
来週にかけて、国内は、15日に第4四半期GDP速報値、12月鉱工業生産(確報値)などが予定されている。海外では、13日に英・1月雇用統計、独・2月ZEW景況感指数、ユーロ圏・2月ZEW景況感指数、米・1月消費者物価指数、14日に英・1月消費者物価指数、1月小売物価指数、1月生産者物価指数、ユーロ圏・第4四半期実質GDP(改定値)、12月鉱工業生産指数、15日に豪・1月雇用統計、英・12月鉱工業生産指数、12月製造業生産高、12月貿易収支、第4四半期実質GDP(速報値)、米・週次新規失業保険申請件数、2月NY連銀製造業景気指数、1月小売売上高、2月フィラデルフィア連銀景況指数、1月鉱工業生産指数、16日に英・1月小売売上高、米・1月生産者物価指数、2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
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今週の日経平均は週間で739.40円高(+2.04%)の36897.42円と上昇した。決算発表銘柄への物色が継続したことから、プライム市場の売買代金は連日で4兆円を超える大商いとなった。米国株はしっかりも迫力に欠ける展開となったこともあり、週初から日経平均は36000円を挟んでのもみ合いとなったが、6日の取引時間中に決算を発表したトヨタ自<7203>が上場来高値を更新。日本の企業で初めて時価総額50兆円台を達成したこともあり、投資家のモメンタムを刺激し、トヨタ自は上場来高値を連日で更新する強い動きを見せた。
週末に2月限オプション特別清算指数(SQ値)算出を控えていたことも影響し、日経平均は36000円水準での小動きが続いたが、8日11時過ぎに日本銀行の内田副総裁が「マイナス金利解除でも緩和維持」と発言したことから225先物にまとまった買いが入り、日経平均は一気に上げ幅を拡大。プライム市場の銘柄の6割近くが下落した一方、ソフトバンクG<9984>など日経平均寄与度の高い銘柄が急騰したことから、日経平均は1月22日につけた終値ベースでの高値36546.95円を更新。週末は、ソフトバンクGの大幅続伸や為替が1ドル149円台と円安が進んだこともあり、日経平均は34年ぶりに37000円台を回復する場面も見られた。
なお、1月第5週の投資主体別売買動向によると、外国人投資家は現物を1775億円買い越しており、1月累計では、23年5月の約2兆3000億円以来の約2兆円の買い越しとなった。一方、225先物は2700億円、TOPIX先物は2400億円それぞれ売り越したことから、1月第5週総合では3325億円の売り越しとなった。一方、個人投資家は総合で334億円の買い越しと買い継続となった。
■NT倍率は昨年7月以来の14.42倍に急拡大
9日の米国株式市場はまちまち。ダウ平均は54.64ドル安(-0.14%)の38671.69ドル、ナスダックは196.95ポイント高(+1.25%)の15990.66、S&P500は28.70ポイント高(+0.57%)の5026.61で取引を終了した。大証ナイト終値は通常取引終値比260円高の37150円で終了した。東京市場は3連休のため、12日の米国市場の動向を見極める必要はあるが、日経平均は37000円台での値固めを試したいところだ。来週14日を過ぎると企業の決算発表は一巡を迎えるが、決算発表を受けて、国内外の証券会社による投資評価及び目標株価変更レポートが相次いでリリースされることから、レポートを材料とした売買が中心となり、プライム市場の売買代金はそこまで大きく減少しないと考える。
1月SQ値は36025.97円、2月SQ値は37018.07円と2カ月連続でSQ値が約1000円ずつ切り上がっている。これだけで先高観を推し量ることはできないが、過熱感が意識されるなか堅調な上昇は安心材料と言えよう。一方、英アームの株価上昇や決算などを材料に急騰したソフトバンクGが日経平均に与えた影響は大きく、NT倍率は昨年7月以来の14.42倍まで急拡大している。内田日銀副総裁の発言を受けて、銀行株がさえなかったこともNT倍率拡大の背景にはあるが、ソフトバンクGなど偏った銘柄の急騰や先物主導などによる日経平均の上昇は「途転」の可能性もあることから注意したい。
■政府・日銀による円安けん制発言増加か
為替の円安推移も注意したいところだ。昨年11月27日以来となる1ドル149円台に乗せたことから、政府・日銀による円安けん制発言が増加しそうだ。既に9日朝方には、鈴木財務相が「株価と為替の動向を注視、金融政策運営に政府はコメントしない」と発言したほか、林官房長官も「昨日(8日)の内田日銀副総裁の発言は、1月の植田総裁発言と同じ内容である」とコメント。目立った円安けん制発言と市場は捉えていないが、今後、鈴木財務相や、為替介入の陣頭指揮を執る神田財務官の発言がたびたび市場に伝わるだろう。円安推移は輸出関連銘柄には追い風となるが、小売など輸入企業は向かい風だ。円安進行でインフレ加速となれば、日銀による「金融政策の正常化」に舵を切るタイミングが早まる可能性はある。
8日の内田日銀副総裁の発言など日銀が念入りに「地ならし」を行っている状況下、想定外の円安推移に対して早めの措置を講じるとの見方もある。最後の円買い・ドル売りの為替介入は2022年に151円90銭台水準で行われたが、「金融政策の正常化」という大きなテーマを考慮すると過去に行った水準より手前で為替介入を実施する可能性もあるだろう。
■13日に米CPI発表
来週にかけて、国内は、15日に第4四半期GDP速報値、12月鉱工業生産(確報値)などが予定されている。海外では、13日に英・1月雇用統計、独・2月ZEW景況感指数、ユーロ圏・2月ZEW景況感指数、米・1月消費者物価指数、14日に英・1月消費者物価指数、1月小売物価指数、1月生産者物価指数、ユーロ圏・第4四半期実質GDP(改定値)、12月鉱工業生産指数、15日に豪・1月雇用統計、英・12月鉱工業生産指数、12月製造業生産高、12月貿易収支、第4四半期実質GDP(速報値)、米・週次新規失業保険申請件数、2月NY連銀製造業景気指数、1月小売売上高、2月フィラデルフィア連銀景況指数、1月鉱工業生産指数、16日に英・1月小売売上高、米・1月生産者物価指数、2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。
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