情報BOX:内田日銀副総裁の過去の主な発言
[東京 8日 ロイター] - きょう講演と記者会見を予定している日銀の内田真一副総裁の過去の主な発言は以下の通り。
◎マイナス金利解除は「長期金利と違って私どもは(短期金利を)完全にコントロールできるので、意図的に引き上げることを意味する」「マイナス0.1%の維持により、むしろ引き締めが遅れて(消費者物価が)2%を超える状況が続いてしまう、そちらの方がより心配だという状況になって初めて議論になり得る」
「どのような政策も効果があれば必ずコストも存在し、フリーランチはない」「予想物価上昇率が高まると、緩和効果が高まる一方で副作用も大きくなるため、これをうまく調整していくことが必要になる」
YCCの運用を巡り「この枠組みの性質上、緩和を継続する上でどうしても調整しながらやっていくしかない」
(23年8月2日、千葉県金融経済懇談会。YCC運用柔軟化決定後)
◎YCCによる副作用の現状について「コントロールしている以上、市場機能に影響を与えていることは強く認識している」。YCC見直しは「金融仲介機能や市場機能に配慮しつつ、いかにうまく金融緩和を継続するかという観点からバランスをとって判断していきたい」
◎物価目標達成前のマイナス金利解除の可能性に関する質問に対し「もし解除するなら実体経済面の需要抑制で物価上昇を防ぐのが適切と判断したということになる。0.1%の利上げだ。今の経済物価の情勢からみると、その判断には大きな距離がある」
(23年7月7日掲載の日本経済新聞インタビュー)
◎市場とのコミュニケーションについて「政策意図を正確に市場に伝えることは金融政策を円滑に発揮していく上で重要」「毎回の決定会合についてはその時のデータ、情報に基づいて議論していくもので、それを先取りするような情報発信は通常やらないし、やるべきでもない」
(23年3月29日、衆院財務金融委。副総裁就任後、初の国会答弁)
◎22年5月の「変動幅拡大は事実上の利上げ」発言について「私は割と正確に言ったと思っている」「その後、金融・経済の状況は変化している」「(22年の1年間で実質金利は低下しており)昨年12月の会合(変動幅拡大を決定)はプラス・マイナスの両方を勘案した上でプラスの効果の方が大きい、つまり緩和的であると判断して行った」
◎「5年間という任期をいただけば、その中では2%の目標をぜひ達成したい」「その結果として、少し先だが、出口ということになってくれば、(現在の金融政策の枠組みの)設計に携わった経験が生きていくのではないか。そういう面で貢献していきたい」
(23年2月28日、参院議院運営委。副総裁候補として)
◎長期金利の変動幅拡大について「現在の金融・経済環境を前提とすると、プラスマイナス0.25%程度の変動幅が適切だ。これを拡大することは、いま上限に張り付いているわけで、事実上、利上げするということになる。日本経済にとって好ましいことではない」
(22年5月10日、参院財政金融委。日銀理事として)
*最近の日銀金融政策に関する主な記事は以下をご覧ください。
◎日銀1月会合、政策修正「要件満たされつつある」 正常化へ発言続出
◎物価見通し確度高まる、正常化後も「極めて緩和的な環境」=日銀総裁