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アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業が悪化するもASP事業とメディア事業は過去最高業績を更新
配信日時:2024/02/07 16:26
配信元:FISCO
*16:26JST アドバンクリエ Research Memo(6):保険代理店事業が悪化するもASP事業とメディア事業は過去最高業績を更新
■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比19.8%減の7,660百万円、営業損失は2,540百万円(前期は1,395百万円の利益)となった。売上高は、外部売上高が同27.4%減の5,958百万円と減少したものの、広告収入の増加により内部売上高が同26.9%増の1,702百万円と伸長した。外部売上高の減少は円安を背景とした外貨建保険商品の解約及び失効、株高による貯蓄性保険商品の解約及び失効の増加により、売上戻入が1,700百万円発生したことが主因だが、コロナ禍の収束に伴い5月の大型連休や夏期休暇に旅行など外出する機会が増えた影響で、実面談のアポイント数が前期と比較して伸び悩んだことも影響した。また、オンラインのアポイント数は前期から増加したものの、キャンセル率が実面談と比較して高く、今後の課題となっている。なお、保険種類別の売上高は、生命保険が同24.4%減の6,918百万円、損害保険が同88.7%増の742百万円となり、金額は小さいものの損害保険が順調に増加した。
申込ANP(新契約年換算保険料)※は、前期比7.6%増の9,339百万円と3期連続で増加した。一方、売上高となるPV収入は同17.5%減の6,447百万円となったものの、売上戻入1,700百万円の影響が無ければ同4.3%増となる。申込ANPを販売チャネル別で見ると、対面販売(直営店、オンライン保険相談含む)が同6.2%減の3,671百万円と減少したが、提携代理店による協業販売が同6.2%増の1,807百万円、非対面販売が損害保険商品の伸長もあって同25.9%増の3,859百万円と好調に推移した。
※ANP(Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは60,000円となる。
2021年秋以降取り組みを強化してきた損害保険商品は自動車保険(バイク含む)を中心に右肩上がりに成長してきたが、第4四半期は前四半期比でアポイント数の減少などにより契約件数が減少に転じた。同社が損害保険商品の販売を強化する目的の1つとして、損害保険の契約者に対して生命保険商品の情報提供やアプローチを行い、生命保険商品の契約につなげることがある。実績として徐々に成果が出てきていることから、今後も損害保険商品の販売を強化する方針だ。
(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比25.3%増の258百万円、営業利益は同65.1%増の94百万円となり、過去最高を更新した。乗合保険代理店等への新規導入が進んだことが要因だ。期末のサービス別契約ID数は、「御用聞き」が前期末比25.3%増の4,985件、「丁稚(DECHI)」が同8.1%増の6,472件、「Dynamic OMO」が同47.7%増の1,078件と順調に増加し、ストック収入が積み上がった。「Dynamic OMO」は、一部の保険代理店で解約が発生したものの、保険会社やクレジットカード会社など複数の大企業に新規導入が決まったほか、「アバター」と「Dynamic OMO」を組み合わせた次世代接客システムが4社に導入(2023年12月時点で6社)されたことが売上高の押し上げ要因となった。
「アバター」システムについては開発元のスタートアップ企業、AVITAと販売代理店契約を締結し、同社が販売している。2022年7月に同社がAVITAと提携し自社のオンライン接客システムとして導入したところ、問い合わせから保険相談アポイントへつながるケースが急増するなど導入効果が確認されたことから外販を開始した。 生身の人間よりもアバターと対話するほうが顧客の心理的障壁も低くなり、コミュニケーションが円滑に進む傾向にあるようだ。同社では2023年6月より「AIアバター接客トレーニングサービス(β)」を導入し、AIによる社員教育も開始した。同サービスの活用により、若手社員の早期戦力化の効果も確認されており、今後保険業界で販売を開始する予定となっている。
保険証券管理アプリ「folder」は、ダウンロード数が前期末比23.2%増の18.2万件となり、保険証券登録数も同27.7%増の11.3万件と順調に増加した。顧客には無償で提供しているため直接的な収益には貢献しないが、顧客の保険証券をデータ化することで「folder」を通じて最適な保険商品の提案を行うことが可能となるためアポイント数の獲得に貢献している。また、「Dynamic OMO」と連携してオンライン保険相談を行うことも可能で、販売機会の拡大につなげる新たな営業ツールとして活用が進んでいる。同社では将来的に100万件のダウンロード数を目標としている。
(3) メディア事業
メディア事業の売上高は前年同期比22.6%増の2,202百万円、営業利益は同11.4%増の466百万円となり、過去最高を更新した。下期は一部の大手損害保険会社が出稿を控えたこともあって伸び悩んだが、広告出稿の需要期である第2四半期に大きく伸長したことが増収増益につながった。保険会社の広告予算配分のうち、Web広告の占める比率は年々上昇傾向にあり、国内トップクラスの媒体価値がある「保険市場」への出稿は今後も堅調に推移するものと予想される。
(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業の売上高は前期比9.0%増の1,283百万円、営業利益は同45.2%減の77百万円となった。売上高は内部取引高が同16.9%増の650百万円となった一方で、外部売上高が同2.0%増の633百万円と伸び悩んだ。利益面では、売上総利益率の低い案件を受注した影響により減益となった。
(5) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比7.8%増の1,110百万円と過去最高を更新した一方で、営業損失121百万円(前期は46百万円の利益)を計上した。売上高は再保険契約額の積み上げによって増収基調が続いたものの、前期に引き続き新型コロナウイルス感染患者の医療保険による「みなし入院給付金」が増加し、保険会社に対する正味支払保険金が342百万円増加したことが損失を計上する要因となった。ただ、2023年5月に感染症法上の位置づけが2類相当から5類へ移行したことにより保険会社各社で「みなし入院給付金」を終了したことから、第3四半期以降は黒字に転じている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比19.8%減の7,660百万円、営業損失は2,540百万円(前期は1,395百万円の利益)となった。売上高は、外部売上高が同27.4%減の5,958百万円と減少したものの、広告収入の増加により内部売上高が同26.9%増の1,702百万円と伸長した。外部売上高の減少は円安を背景とした外貨建保険商品の解約及び失効、株高による貯蓄性保険商品の解約及び失効の増加により、売上戻入が1,700百万円発生したことが主因だが、コロナ禍の収束に伴い5月の大型連休や夏期休暇に旅行など外出する機会が増えた影響で、実面談のアポイント数が前期と比較して伸び悩んだことも影響した。また、オンラインのアポイント数は前期から増加したものの、キャンセル率が実面談と比較して高く、今後の課題となっている。なお、保険種類別の売上高は、生命保険が同24.4%減の6,918百万円、損害保険が同88.7%増の742百万円となり、金額は小さいものの損害保険が順調に増加した。
申込ANP(新契約年換算保険料)※は、前期比7.6%増の9,339百万円と3期連続で増加した。一方、売上高となるPV収入は同17.5%減の6,447百万円となったものの、売上戻入1,700百万円の影響が無ければ同4.3%増となる。申込ANPを販売チャネル別で見ると、対面販売(直営店、オンライン保険相談含む)が同6.2%減の3,671百万円と減少したが、提携代理店による協業販売が同6.2%増の1,807百万円、非対面販売が損害保険商品の伸長もあって同25.9%増の3,859百万円と好調に推移した。
※ANP(Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは60,000円となる。
2021年秋以降取り組みを強化してきた損害保険商品は自動車保険(バイク含む)を中心に右肩上がりに成長してきたが、第4四半期は前四半期比でアポイント数の減少などにより契約件数が減少に転じた。同社が損害保険商品の販売を強化する目的の1つとして、損害保険の契約者に対して生命保険商品の情報提供やアプローチを行い、生命保険商品の契約につなげることがある。実績として徐々に成果が出てきていることから、今後も損害保険商品の販売を強化する方針だ。
(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比25.3%増の258百万円、営業利益は同65.1%増の94百万円となり、過去最高を更新した。乗合保険代理店等への新規導入が進んだことが要因だ。期末のサービス別契約ID数は、「御用聞き」が前期末比25.3%増の4,985件、「丁稚(DECHI)」が同8.1%増の6,472件、「Dynamic OMO」が同47.7%増の1,078件と順調に増加し、ストック収入が積み上がった。「Dynamic OMO」は、一部の保険代理店で解約が発生したものの、保険会社やクレジットカード会社など複数の大企業に新規導入が決まったほか、「アバター」と「Dynamic OMO」を組み合わせた次世代接客システムが4社に導入(2023年12月時点で6社)されたことが売上高の押し上げ要因となった。
「アバター」システムについては開発元のスタートアップ企業、AVITAと販売代理店契約を締結し、同社が販売している。2022年7月に同社がAVITAと提携し自社のオンライン接客システムとして導入したところ、問い合わせから保険相談アポイントへつながるケースが急増するなど導入効果が確認されたことから外販を開始した。 生身の人間よりもアバターと対話するほうが顧客の心理的障壁も低くなり、コミュニケーションが円滑に進む傾向にあるようだ。同社では2023年6月より「AIアバター接客トレーニングサービス(β)」を導入し、AIによる社員教育も開始した。同サービスの活用により、若手社員の早期戦力化の効果も確認されており、今後保険業界で販売を開始する予定となっている。
保険証券管理アプリ「folder」は、ダウンロード数が前期末比23.2%増の18.2万件となり、保険証券登録数も同27.7%増の11.3万件と順調に増加した。顧客には無償で提供しているため直接的な収益には貢献しないが、顧客の保険証券をデータ化することで「folder」を通じて最適な保険商品の提案を行うことが可能となるためアポイント数の獲得に貢献している。また、「Dynamic OMO」と連携してオンライン保険相談を行うことも可能で、販売機会の拡大につなげる新たな営業ツールとして活用が進んでいる。同社では将来的に100万件のダウンロード数を目標としている。
(3) メディア事業
メディア事業の売上高は前年同期比22.6%増の2,202百万円、営業利益は同11.4%増の466百万円となり、過去最高を更新した。下期は一部の大手損害保険会社が出稿を控えたこともあって伸び悩んだが、広告出稿の需要期である第2四半期に大きく伸長したことが増収増益につながった。保険会社の広告予算配分のうち、Web広告の占める比率は年々上昇傾向にあり、国内トップクラスの媒体価値がある「保険市場」への出稿は今後も堅調に推移するものと予想される。
(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業の売上高は前期比9.0%増の1,283百万円、営業利益は同45.2%減の77百万円となった。売上高は内部取引高が同16.9%増の650百万円となった一方で、外部売上高が同2.0%増の633百万円と伸び悩んだ。利益面では、売上総利益率の低い案件を受注した影響により減益となった。
(5) 再保険事業
再保険事業の売上高は前期比7.8%増の1,110百万円と過去最高を更新した一方で、営業損失121百万円(前期は46百万円の利益)を計上した。売上高は再保険契約額の積み上げによって増収基調が続いたものの、前期に引き続き新型コロナウイルス感染患者の医療保険による「みなし入院給付金」が増加し、保険会社に対する正味支払保険金が342百万円増加したことが損失を計上する要因となった。ただ、2023年5月に感染症法上の位置づけが2類相当から5類へ移行したことにより保険会社各社で「みなし入院給付金」を終了したことから、第3四半期以降は黒字に転じている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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