NY市場サマリー(5日)株小幅高、ドル横ばい 国債利回り乱高下
<為替> ドルがほぼ変わらず、5日発表された一連の米指標が強弱入り混じる内容となったことが背景。
終盤の取引で主要通貨に対するドル指数は102.43と横ばい。注目されていた米雇用統計が予想を上回る好調な内容となったことを受け、一時昨年12月中旬以来の高値となる103.10を付ける場面もあった。
2023年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比21万6000人増と、伸びは市場予想の17万人を上回った。賃金も引き続き底堅いペースで上昇し、米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げを開始するという観測に疑問を投げかける内容となった。
しかし、その後発表された低調な米ISM非製造業総合指数が重しとなり、ドル指数は一時102を下抜けた。
12月のISM非製造業総合指数は50.6と前月から低下し、23年5月以来の低水準となった。とりわけ雇用指数は約3年半ぶりの低水準となり、米経済の約3分の2を占める非製造業部門の大幅な鈍化が示された。
週足ではドルは1.1%高。週間の上昇率としては昨年7月半ば以来の高い伸びとなる見通し。
バノックバーン・フォレックスのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏はドル指数の動きについて「実質的に変化はない。市場は確固とした方向感に欠いており、今後数日間はおそらくこの日のレンジ内で幅広い値固めの動きとなるだろう」と述べた。
LSEGによると、金利先物市場が織り込む24年の利下げ回数予想は約5回。週初には6回の利下げ予想が織り込まれていた。FRBが3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動く確率は約66%で、先週からほぼ変わらず。
アナリストの間からは、好調な雇用統計はFRBが今後数カ月、利下げを急がない可能性を示唆したという声が聞かれた。フォレックスライブのチーフ通貨アナリスト、アダム・バトン氏は「市場は幾分先走っていると考える」とし、3月FOMCの利下げの確率については五分五分という見方を示した。
ドル/円は小幅高の144.655円。雇用統計後、3週間ぶりの高値となる145.98円まで上昇する場面もあった。週間では2.2%上昇し、22年6月以来の高い伸びを記録する勢い。
ユーロ/ドルは小幅安の1.09405ドル。週間では0.9%安と、4週間ぶりに下落し、12月初旬以来の大幅な下げとなった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが乱高下した。強い雇用統計と予想外に弱い米ISM非製造業総合指数が、米経済の強さについて相反する内容を示した。
米労働省が5日発表した2023年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比21万6000人増と、伸びが市場予想の17万人を上回った。
雇用統計発表後、取引開始早々に利回りは3週間ぶりの高水準をつけた。
しかしその後、米供給管理協会(ISM)が発表した2023年12月の非製造業総合指数は50.6と前月の52.7から低下し、23年5月以来の低水準となった。雇用指数も43.3と、前月の50.7から低下した。
これを受けて利回りは急低下。10年債利回りは4%を割り込んだ。
午後の取引では、10年債利回りが再び上昇。終盤は6ベーシスポイント(bp)上昇の4.051%となった。週間では、10年債利回りは13.1bp上昇し、1週間の上昇幅としては10月中旬以来最大となった。
CMEのフェドウォッチによると、米連邦準備理事会(FRB)が3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置く確率は33%。雇用統計発表直後の44%から低下した。
一方、市場は25bpの利下げを62%の確率で織り込んでいる。この日の序盤は53%だった。
フィデリス・キャピタルの債券部門責任者、クリス・ガンスター氏は、今後数週間は国債の供給と社債の発行が増えるため、変動の大きな状況は続くとの見通しを示した。
30年国債利回りは7.3bp上昇し4.208%。2年国債利回りは1.3bp上昇し4.395%だった。2年債利回りは今週13.2bp上昇した。これは12月初旬以来の大幅上昇となる。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 不安定な地合いの中、小幅高で取引を終えた。ただ2024年最初の週のパフォーマンスはS&P総合500種とナスダック総合が数カ月ぶりとなる大幅な下げを記録した。
主要3株価指数はいずれも週間で10週ぶりに下落。S&P500が1.54%、ナスダックが3.26%、ダウ工業株30種平均が0.59%それぞれ下落した。
S&P500は昨年10月下旬以来、ナスダックは昨年9月下旬以来の大幅な下げとなった。
BNPパリバの株式・デリバティブ戦略責任者、グレッグ・ブートル氏は「今のところ、おそらく昨年末に買われ過ぎた市場の健全な調整のようだ」と述べた。
5日は利下げ開始時期を巡り対照的な内容となった経済指標を受けて不安定な値動きとなった。
序盤は好調な米雇用統計を受け迅速な利下げへの期待が後退し先物主導で下落。その後発表された米供給管理協会(ISM)の非製造業総合指数で経済の低迷が示されると利下げ期待が再び高まり株価が上昇に転じた。午後には再びマイナス圏に沈む場面があったが、最終的にはプラス圏を維持。S&P500とナスダック総合は24年で初の上昇となった。
CMEフェドウオッチによると、3月に0.25%ポイントの利下げが実施される確率は66.4%となっている。
来週の決算発表シーズンを控え銀行株は引き続き堅調に推移。金融が0.5%上昇し、S&P主要セクターの上げを主導した。
地銀大手が好調で、ザイオンズ・バンコープ、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、コメリカが2.6─3.3%上昇。S&P500銀行株指数は1.3%高と11カ月ぶりの高値を付けた。
個別銘柄では、アプライド・セラピューティクスが40.6%急落。臓病治療薬が後期臨床試験で期待外れの結果を示したことを受けた。
パランティア・テクノロジーズは1.7%安。ジェフリーズが株価判断を「アンダーウエート」に引き下げた。
一方、ペロトンは9.6%高。独占的提携により自社のトレーニングコンテンツを中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に提供すると発表した。
米取引所の合算出来高は112億株。直近20営業日の平均は123億株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 強弱まちまちの米経済指標を受けて売り買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。中心 限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比0.20ドル(0.01%)安の1オンス= 2049.80ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 中東情勢の緊迫化を背景に原油買いが膨らみ、反発した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は前日比1.62ドル(2.24%)高の1バレル=73.81ドルだった。週間では2.16ドル(3.01%)の上昇。3月物は1.50ドル高の73.86ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 144.65/144.68
始値 145.26
高値 145.98
安値 143.82
ユーロ/ドル NY終値 1.0941/1.0943
始値 1.0914
高値 1.0998
安値 1.0878
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 109*06.50 4.2056%
前営業日終値 110*15.50 4.1350%
10年債(指標銘柄) 17時05分 103*19.50 4.0514%
前営業日終値 104*03.50 3.9910%
5年債(指標銘柄) 17時05分 98*26.00 4.0154%
前営業日終値 99*00.00 3.9730%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.38 4.3932%
前営業日終値 99*24.00 4.3820%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 37466.11 +25.77 +0.07
前営業日終値 37440.34
ナスダック総合 14524.07 +13.77 +0.09
前営業日終値 14510.30
S&P総合500種 4697.24 +8.56 +0.18
前営業日終値 4688.68
COMEX金 2月限 2049.8 ‐0.2
前営業日終値 2050.0
COMEX銀 3月限 2331.5 +12.8
前営業日終値 2318.7
北海ブレント 3月限 78.76 +1.17
前営業日終値 77.59
米WTI先物 2月限 73.81 +1.62
前営業日終値 72.19
CRB商品指数 265.9119 +0.9138
前営業日終値 264.9981