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YCCで国債流動性が低下、物価押し上げ1%程度=日銀レビュー資料

配信日時:2023/12/06 18:44 配信元:REUTERS

Takahiko Wada

[6日 ロイター] - 日銀は6日、金融緩和政策を巡る多角的レビューの第1回ワークショップにおける日銀側の説明資料を公表した。イールドカーブ・コントロール(YCC)で日銀が大規模な国債買い入れを継続する中、国債の銘柄別の保有比率が70%以上になると取引高が減ることが示された。このほか、非伝統的な金融政策でインフレ率の押し上げは1%程度にとどまることなどが指摘された。

ワークショップは4日、金融機関のエコノミストなどが参加してメディア非公開で行われた。

金融市場局は量的・質的金融緩和(QQE)やYCCが国債市場の流動性やイールドカーブの歪みに与えた影響を分析した。それによると、日銀の保有比率が70%以上を上回った状態で国債買い入れを実施すると、「取引高を減らす方向で作用する」とした。また、債券市場の流動性指標の1つであるビッドアスクスプレッドは保有比率が50%を超えると急速に拡大し、流動性の低下が強まることが示された。

企画局は非伝統的な金融政策が日本の経済・物価にもたらした影響を分析。非伝統的な金融政策は生産の押し上げに大きく寄与し、「潜在成長率を下支えしていた可能性が示唆される」としたほか、雇用環境を改善させ、雇用者所得を拡大させたことが示唆されると指摘した。

非伝統的な金融政策による物価の押し上げが1%程度にとどまることで、日銀は、中長期のインフレ予想の変化や賃金と物価のダイナミクスなど、今回の分析で考慮していない要素も含めて「総合的に分析する必要がある」とした。

(和田崇彦)

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