ランチタイムコメント
日経平均は4日ぶり反発、徐々に広がる買いづらさ
配信日時:2023/09/12 12:10
配信元:FISCO
*12:10JST 日経平均は4日ぶり反発、徐々に広がる買いづらさ
日経平均は4日ぶり反発。197.95円高の32665.71円(出来高概算7億2702万株)で前場の取引を終えている。
11日の米株式市場でダウ平均は87.13ドル高(+0.25%)と3日続伸、ナスダック総合指数は+1.13%と続伸。イエレン財務長官がインフレは着実に鈍化し、景気後退を回避する軌道にあると楽観的な見解を示したことが投資家心理を支えた。また、証券会社によるレーティング格上げが好感された電気自動車大手のテスラを筆頭としたハイテク株高が全体をけん引した。米株高を受けて日経平均は161.4円高からスタートすると、寄り付き直後に32749.35円(281.59円高)まで上昇。一方、日本銀行の政策修正観測の高まりを背景とした国内長期金利の上昇が重しとなった。ハイテク株を中心に下落し、日経平均は大きく失速、前場後半には18.72円高まで上げ幅を縮めた。ただ、時間外取引のナスダック100先物が強含みで推移するなか、前引けにかけては再び騰勢を強める展開となった。
個別では、トヨタ自<7203>、マツダ<7261>、ホンダ<7267>の自動車株が全般上昇。川崎汽船<9107>などの海運や、石油資源開発<1662>、三菱ケミG<4188>などバリュー(割安)系が堅調。KDDI<9433>、ソフトバンク<9434>の通信、武田薬<4502>、塩野義<4507>の医薬品なども高い。ABCマート<2670>と日軽金HD<5703>は証券会社のレーティング格上げが好感された。好決算や業績上方修正を材料に正栄食<8079>、萩原工業<7856>などが急伸している。
一方、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>の半導体株や、イビデン<4062>、本日決算を予定している三井ハイテック<6966>のハイテク関連が全般下落。日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼の下落も目立つ。MS&AD<8725>、SOMPO<8630>は国内証券のレーティング格下げが嫌気され、保険株全体も連れ安となっている。ほか、IHI<7013>が急落。米航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニーが手掛けるエンジンで見つかった製造過程での欠陥について、同エンジンに参画している同社も業績への影響が懸念されたようだ。代表取締役社長の辞任が発表されたネクステージ<
3186>はストップ安となっている。
セクターでは医薬品、輸送用機器、繊維製品が上昇率上位に並んでいる一方、鉄鋼、保険、卸売が下落率上位に並んでいる。東証プライム市場の値上がり銘柄が全体の65%、対して値下がり銘柄は31%となっている。
前日の週明けの米株式市場ではレーティング格上げが材料視された電気自動車(EV)大手のテスラを筆頭にアマゾン・ドット・コムやメタ・プラットフォームズなどハイテク株が大きく上昇し、ナスダック総合指数は+1.13%と続伸した。米10年債利回りが4.29%と(先週末8日は4.27%)と上昇するなかでも米ハイテク株が上昇したことは目先の安心感を誘う。
一方、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+0.09%とほぼ横ばいにとどまった。また、日本では先週末の一部報道を受けて、日本銀行がマイナス金利の解除に想定以上に早く取り掛かるのではとの思惑が高まり、国内の長期金利が上昇してきていることも重しになっている。新発10年物国債利回りは11日に0.705%と、2014年1月以来およそ9年8カ月ぶりの水準にまで上昇したが、本日は0.720%まで上値を伸ばしている。
日米の長期金利の上昇を受けて、東京市場でもハイテク株、とりわけ半導体株の下落が目立っている。生成AI(人工知能)関連の筆頭格として注目されてきたアドバンテスト<6857>は下落トレンドが強まっており、日足ではサポートになりそうな移動平均線が200日線くらいしか見当たらない。週足では13週線を下回って26週線も下回りそうなところまで下げてきている。26週線も下回ってしまうようだと、株価の調整は一段と厳しいものになりそうだ。
また、半導体株の中でも比較的値持ちのよかったディスコ<6146>も本日は大きく下落し、遂に25日線を割り込んできている。半導体株の調整色が続くなか、日米の長期金利の上昇を通じて、買いづらさが意識される対象は次第にハイテク全般から内需系のグロース(成長)株にまで広がってきている印象がある。前日急伸した銀行株は本日も底堅い動きを見せているが、買える対象が銀行株に限られてきた感もあり、ムードは良くない。
12日には米アップルの新製品発表イベントが開催されるが、中国による同社への規制が強化されるなか、期待感は萎んでいるように見受けられる。イベントをもって同社株をはじめハイテク株の動きが好転していく可能性は低そうだ。その後に米消費者物価指数(CPI)、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米卸売物価指数(PPI)
などの重要イベントが控えていることを踏まえれば、なおさらだろう。日銀の政策修正観測が高まり、来週には日米の金融政策決定会合も控えるなか、ハイテク株は当面上値の重い展開が続きそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
11日の米株式市場でダウ平均は87.13ドル高(+0.25%)と3日続伸、ナスダック総合指数は+1.13%と続伸。イエレン財務長官がインフレは着実に鈍化し、景気後退を回避する軌道にあると楽観的な見解を示したことが投資家心理を支えた。また、証券会社によるレーティング格上げが好感された電気自動車大手のテスラを筆頭としたハイテク株高が全体をけん引した。米株高を受けて日経平均は161.4円高からスタートすると、寄り付き直後に32749.35円(281.59円高)まで上昇。一方、日本銀行の政策修正観測の高まりを背景とした国内長期金利の上昇が重しとなった。ハイテク株を中心に下落し、日経平均は大きく失速、前場後半には18.72円高まで上げ幅を縮めた。ただ、時間外取引のナスダック100先物が強含みで推移するなか、前引けにかけては再び騰勢を強める展開となった。
個別では、トヨタ自<7203>、マツダ<7261>、ホンダ<7267>の自動車株が全般上昇。川崎汽船<9107>などの海運や、石油資源開発<1662>、三菱ケミG<4188>などバリュー(割安)系が堅調。KDDI<9433>、ソフトバンク<9434>の通信、武田薬<4502>、塩野義<4507>の医薬品なども高い。ABCマート<2670>と日軽金HD<5703>は証券会社のレーティング格上げが好感された。好決算や業績上方修正を材料に正栄食<8079>、萩原工業<7856>などが急伸している。
一方、アドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>の半導体株や、イビデン<4062>、本日決算を予定している三井ハイテック<6966>のハイテク関連が全般下落。日本製鉄<5401>、JFE<5411>の鉄鋼の下落も目立つ。MS&AD<8725>、SOMPO<8630>は国内証券のレーティング格下げが嫌気され、保険株全体も連れ安となっている。ほか、IHI<7013>が急落。米航空機エンジンのプラット・アンド・ホイットニーが手掛けるエンジンで見つかった製造過程での欠陥について、同エンジンに参画している同社も業績への影響が懸念されたようだ。代表取締役社長の辞任が発表されたネクステージ<
3186>はストップ安となっている。
セクターでは医薬品、輸送用機器、繊維製品が上昇率上位に並んでいる一方、鉄鋼、保険、卸売が下落率上位に並んでいる。東証プライム市場の値上がり銘柄が全体の65%、対して値下がり銘柄は31%となっている。
前日の週明けの米株式市場ではレーティング格上げが材料視された電気自動車(EV)大手のテスラを筆頭にアマゾン・ドット・コムやメタ・プラットフォームズなどハイテク株が大きく上昇し、ナスダック総合指数は+1.13%と続伸した。米10年債利回りが4.29%と(先週末8日は4.27%)と上昇するなかでも米ハイテク株が上昇したことは目先の安心感を誘う。
一方、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は+0.09%とほぼ横ばいにとどまった。また、日本では先週末の一部報道を受けて、日本銀行がマイナス金利の解除に想定以上に早く取り掛かるのではとの思惑が高まり、国内の長期金利が上昇してきていることも重しになっている。新発10年物国債利回りは11日に0.705%と、2014年1月以来およそ9年8カ月ぶりの水準にまで上昇したが、本日は0.720%まで上値を伸ばしている。
日米の長期金利の上昇を受けて、東京市場でもハイテク株、とりわけ半導体株の下落が目立っている。生成AI(人工知能)関連の筆頭格として注目されてきたアドバンテスト<6857>は下落トレンドが強まっており、日足ではサポートになりそうな移動平均線が200日線くらいしか見当たらない。週足では13週線を下回って26週線も下回りそうなところまで下げてきている。26週線も下回ってしまうようだと、株価の調整は一段と厳しいものになりそうだ。
また、半導体株の中でも比較的値持ちのよかったディスコ<6146>も本日は大きく下落し、遂に25日線を割り込んできている。半導体株の調整色が続くなか、日米の長期金利の上昇を通じて、買いづらさが意識される対象は次第にハイテク全般から内需系のグロース(成長)株にまで広がってきている印象がある。前日急伸した銀行株は本日も底堅い動きを見せているが、買える対象が銀行株に限られてきた感もあり、ムードは良くない。
12日には米アップルの新製品発表イベントが開催されるが、中国による同社への規制が強化されるなか、期待感は萎んでいるように見受けられる。イベントをもって同社株をはじめハイテク株の動きが好転していく可能性は低そうだ。その後に米消費者物価指数(CPI)、欧州中央銀行(ECB)定例理事会、米卸売物価指数(PPI)
などの重要イベントが控えていることを踏まえれば、なおさらだろう。日銀の政策修正観測が高まり、来週には日米の金融政策決定会合も控えるなか、ハイテク株は当面上値の重い展開が続きそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
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