ランチタイムコメント
日経平均は3日続落、日経2日連続で急速な下げ渋りも安心できず
配信日時:2023/08/18 12:20
配信元:FISCO
*12:20JST 日経平均は3日続落、日経2日連続で急速な下げ渋りも安心できず
日経平均は3日続落。60.79円安の31565.21円(出来高概算5億6358万株)で前場の取引を終えている。
17日の米株式市場でダウ平均は290.91ドル安(-0.83%)、ナスダック総合指数は-1.17%と3日続落。中国・香港株の下げ止まりを受けた安心感から買いが先行。
しかし、製造業や雇用関連の指標が強く、30年債利回りが10年ぶりの高水準に達するなど、金利の上昇を警戒し売りが次第に強まった。米長期金利の上昇や米ハイテク株安を嫌気し、日経平均は304.74円安からスタート。寄り付き前に中国不動産大手の中国恒大集団が米国で破産申請したとの報道が伝わったことも投資家心理を悪化させた。ただ、ほぼ寄り付きと同時に31275.25円(350.75円安)とこの日の安値を付けると、その後は急速に下げ渋った。足元で下落のきつかった中国・香港株が底堅く推移していたことが安心感につながったようで、日経平均は前引け直前に一時プラス圏に浮上する場面もあった。
個別では、米長期金利の上昇を背景にギフティ<4449>、メドレー<4480>、Appier<
4180>などの中小型グロース(成長)株が前日同様に売られている。また、インバウンド関連の反動売りが続き、三越伊勢丹<3099>、ラウンドワン<4680>、寿スピリッツ<2222>、共立メンテ<9616>などが下落。一方、米アプライド・マテリアルズの引け後に発表された良好な決算を背景にアドバンテスト<6857>、東エレク<8035>、ソシオネクスト<6526>など半導体製造装置関連が上昇。ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、ニデック<6594>などハイテクも概ね堅調。厚生労働省がジェネリック医薬品について金額ベースの普及目標を新設するとの報道を受け、東和薬品<4553>、サワイGHD<4887>が大きく上昇。証券会社のレーティング格上げを材料に住友理工<5191>、クラレ<3405>、三菱重<7011>なども大幅高となっている。
セクターでは電気・ガス、小売、医薬品が下落率上位に並んでいる一方、海運、鉱業、石油・石炭製品が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は28%となっている。
本日の日経平均は前日同様、一時大きく下落したものの、その後は急速に下げ渋って心理的な節目の31500円を回復するなど、底堅い動きを見せている。
前日の米株式市場は軟調な展開が続き、ナスダック指数やS&P500種株価指数に続いて、ダウ平均も遂に50日移動平均線を終値ベースで割り込んだ。日経平均も75日線や13週線を割り込んでいるため、日米ともにトレンドの転換が鮮明になっており、マネーフロー(資金の流れ)など相場の基調自体は悪化していると思われる。
加えて、日本時間で本日の寄り付き前には、中国不動産大手の中国恒大集団が米国で破産申請したと嫌なニュースが伝わっていた。週末の休暇中における突発的なリスクを避けたいとする動機から、リスク回避的な動きが増幅されやすく、本日は買い戻しが入りにくいと考えられた。
しかし、中国恒大集団の問題については、同社の経営を巡る昨年からの一連の報道などを通じて、ここまでの事態悪化は概ね織り込み済みだったもよう。また、足元で香港ハンセン指数や上海総合指数は既に大きく売り込まれていたため、改めてここから一段と売るような材料とは捉えられなかったのかもしれない。また何より、中国人民銀行が人民元の基準値設定により人民元安をけん制していることが、中国・香港株の下げ渋りを通じて売り方の買い戻しを誘っているのかもしれない。
ただ、中国の不動産業界では恒大集団だけでなく、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)など大きな問題を抱える企業が数多く存在し、中国発のリスクが市場に与える影響については、まだ予断を許さないだろう。
一方、米長期金利の上昇に一服感が見られている点はやや安心感の創出に寄与している。米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.25%程度にまで水準を切り下げている。
また、日本の10年物国債利回りも今週は再び上昇が続いていたが、本日は低下している。本日寄り付き前に発表された7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大し、1981年以来の高水準を記録した5月分と並んだ。ただ、市場予想と一致し、上振れとはならなかったこともあり、国内長期金利への上昇圧力にはなっていない。
日米長期金利の上昇一服は目先の安心感として、本日、前場の東京株式市場の買い戻しなどに寄与しているのかもしれないが、来週は国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言次第では日米の長期金利の上昇基調が再開する可能性もあり、株式市場がここで下げ止まったと判断するのは時期尚早だろう。
足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えたい。仮に買うにしても、今はまだ打診買いにとどめて余力は十分に残し、また、追証などのペナルティが発生しない現物投資に限った方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
17日の米株式市場でダウ平均は290.91ドル安(-0.83%)、ナスダック総合指数は-1.17%と3日続落。中国・香港株の下げ止まりを受けた安心感から買いが先行。
しかし、製造業や雇用関連の指標が強く、30年債利回りが10年ぶりの高水準に達するなど、金利の上昇を警戒し売りが次第に強まった。米長期金利の上昇や米ハイテク株安を嫌気し、日経平均は304.74円安からスタート。寄り付き前に中国不動産大手の中国恒大集団が米国で破産申請したとの報道が伝わったことも投資家心理を悪化させた。ただ、ほぼ寄り付きと同時に31275.25円(350.75円安)とこの日の安値を付けると、その後は急速に下げ渋った。足元で下落のきつかった中国・香港株が底堅く推移していたことが安心感につながったようで、日経平均は前引け直前に一時プラス圏に浮上する場面もあった。
個別では、米長期金利の上昇を背景にギフティ<4449>、メドレー<4480>、Appier<
4180>などの中小型グロース(成長)株が前日同様に売られている。また、インバウンド関連の反動売りが続き、三越伊勢丹<3099>、ラウンドワン<4680>、寿スピリッツ<2222>、共立メンテ<9616>などが下落。一方、米アプライド・マテリアルズの引け後に発表された良好な決算を背景にアドバンテスト<6857>、東エレク<8035>、ソシオネクスト<6526>など半導体製造装置関連が上昇。ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、ニデック<6594>などハイテクも概ね堅調。厚生労働省がジェネリック医薬品について金額ベースの普及目標を新設するとの報道を受け、東和薬品<4553>、サワイGHD<4887>が大きく上昇。証券会社のレーティング格上げを材料に住友理工<5191>、クラレ<3405>、三菱重<7011>なども大幅高となっている。
セクターでは電気・ガス、小売、医薬品が下落率上位に並んでいる一方、海運、鉱業、石油・石炭製品が上昇率上位に並んでいる。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の67%、対して値上がり銘柄は28%となっている。
本日の日経平均は前日同様、一時大きく下落したものの、その後は急速に下げ渋って心理的な節目の31500円を回復するなど、底堅い動きを見せている。
前日の米株式市場は軟調な展開が続き、ナスダック指数やS&P500種株価指数に続いて、ダウ平均も遂に50日移動平均線を終値ベースで割り込んだ。日経平均も75日線や13週線を割り込んでいるため、日米ともにトレンドの転換が鮮明になっており、マネーフロー(資金の流れ)など相場の基調自体は悪化していると思われる。
加えて、日本時間で本日の寄り付き前には、中国不動産大手の中国恒大集団が米国で破産申請したと嫌なニュースが伝わっていた。週末の休暇中における突発的なリスクを避けたいとする動機から、リスク回避的な動きが増幅されやすく、本日は買い戻しが入りにくいと考えられた。
しかし、中国恒大集団の問題については、同社の経営を巡る昨年からの一連の報道などを通じて、ここまでの事態悪化は概ね織り込み済みだったもよう。また、足元で香港ハンセン指数や上海総合指数は既に大きく売り込まれていたため、改めてここから一段と売るような材料とは捉えられなかったのかもしれない。また何より、中国人民銀行が人民元の基準値設定により人民元安をけん制していることが、中国・香港株の下げ渋りを通じて売り方の買い戻しを誘っているのかもしれない。
ただ、中国の不動産業界では恒大集団だけでなく、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)など大きな問題を抱える企業が数多く存在し、中国発のリスクが市場に与える影響については、まだ予断を許さないだろう。
一方、米長期金利の上昇に一服感が見られている点はやや安心感の創出に寄与している。米10年債利回りは17日、一時4.33%まで上値を伸ばしたが、その後4.25%程度にまで水準を切り下げている。
また、日本の10年物国債利回りも今週は再び上昇が続いていたが、本日は低下している。本日寄り付き前に発表された7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数で前年同月比+4.3%と前回6月分(+4.2%)から拡大し、1981年以来の高水準を記録した5月分と並んだ。ただ、市場予想と一致し、上振れとはならなかったこともあり、国内長期金利への上昇圧力にはなっていない。
日米長期金利の上昇一服は目先の安心感として、本日、前場の東京株式市場の買い戻しなどに寄与しているのかもしれないが、来週は国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が開催される。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言次第では日米の長期金利の上昇基調が再開する可能性もあり、株式市場がここで下げ止まったと判断するのは時期尚早だろう。
足元、中小型グロース(成長)株で必要以上に売られているような銘柄が多く見られるが、日米の長期金利の先高観がくすぶるなか、こうした関連銘柄への押し目買いについては、今はぐっと堪えたい。仮に買うにしても、今はまだ打診買いにとどめて余力は十分に残し、また、追証などのペナルティが発生しない現物投資に限った方がよいだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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