ランチタイムコメント
日経平均は大幅反発、プラス圏で堅調に推移
配信日時:2023/07/31 12:15
配信元:FISCO
*12:15JST 日経平均は大幅反発、プラス圏で堅調に推移
日経平均は大幅反発。503.51円高の33262.74円(出来高概算9億9754万株)で前場の取引を終えている。
前週末28日の米国株式市場のダウ平均は176.57ドル高(+0.50%)と反発。個人消費支出(PCE)コア価格指数の伸びが予想以上に鈍化しインフレ鈍化傾向を再確認したため買いが先行。また消費の堅調さも確認され、ソフトランディング(軟着陸)
期待も買い材料となった。金利の低下でハイテク株の買いも再燃しナスダックは大幅反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を横目に、7月31日の日経平均は前週末比369.60円高の33128.83円と反発でスタート。その後はじりじりと上げ幅を広げる展開となっている。
個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>などの半導体関連株の一角が上昇。川崎船<9107>や商船三井<9104>などの海運株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株も堅調に推移。また、トヨタ自<7203>やホンダ<7267>などの自動車関連のほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、ルネサス<6723>、日本製鉄<5401>、ソニーグループ<6758>なども上昇した。そのほか、通期上方修正と増配幅拡大を発表した豊田通商<8015>が急騰、第1四半期営業利益が想定以上の好進捗となったソシオネクスト<6526>も急上昇、北越工業<6364>、リオン<6823>、イントラスト<7191>などが値上がり率上位に顔を出した。
一方、アドバンテ<6857>、キーエンス<6861>、ヤクルト<2267>、KDDI<9433>などが下落。ほか、第1四半期の減収減益がネガティブサプライズとなった日本M&AセンターHD<2127>、想定外の下方修正にネガティブなインパクトが優勢となったファナック<6954>が大幅に下落した。そのほか、アンリツ<6754>、アグロカネショウ<
4955>、ストライク<6196>、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>などが値下がり率上位に顔を出した。
セクターでは、輸送用機器、卸売業、精密機器が上昇率上位となった一方で、鉱業、空運、が下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は16%となっている。
シカゴ日経225先物清算値は、大阪比325円高の33095円。本日の日経平均はシカゴ先物にサヤ寄せする格好から買いが先行しており、為替が円安方向にふれていることも追い風となっている。そのほか、国内企業決算の発表が本格化しており、決算発表を終えた個別株中心に物色が向かっている。
新興市場も堅調な展開となっている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、じりじりと上げ幅を広げている。米ハイテク株が値幅を伴って上昇したことは個人投資家心理を改善させる要因となった。また、米国で週末に発表された物価指標で改めてインフレ鈍化傾向が確認され、米長期金利の上昇が一服していることは新興株にとって支援材料となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は1.45%高、東証グロース市場Core指数は2.63%高で時価総額上位銘柄に注目が集まっている。
さて、前週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、主要政策金利を0.25ポイント引き上げることを決定した。パウエル米連邦準備制度(FRB)議長の記者会見からもタカ派的なサプライズはなかった。また、欧州中央銀行(ECB)も0.25ポイントの追加利上げを決定。ただ、ラガルド総裁は決定発表後の会見で、今後の政策判断について入手するデータに左右されると強調していた。今後の政策会合でいったん利上げ休止を決めた場合でも、その後に再び利上げすることはあり得るとの見解を示した。
米国経済が景気後退を回避してソフトランディング(軟着陸)する確率が高まっているという認識が広がる中、7月以降の各国の金融政策方針に不透明感が残っているのは事実である。今週は、米国で供給管理協会(ISM)の景況指数、中国で国家版および民間版の購買担当者景気指数(PMI)が発表されるほか、週末には米雇用統計が発表予定。物価指標の鈍化傾向は続いているが、雇用関連の指標は依然として強い。結果次第では追加利上げ懸念が再燃する可能性があるため、これらの指標には注目しておきたいところである。
一方、S&P500は7月も月間で上昇の勢いとなっており、様子見していた弱気派が強気に転換するほか、乗り遅れることへの恐怖を感じている投資家も全て参加しており、トレーダーの株式へのエクスポージャーは歴史的に見ても高い水準にあるという。また、好調な米株式相場を受けてヘッジを考えているトレーダーはほとんどいないようで、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらはリポートで、オプション市場で株安に備えたプロテクションを買うのは「かつて目にしたことがないほど安い」と指摘しているようだ。
リセッション(景気後退)を招くことなくインフレを抑制することが過去に完全に成し遂げられた例はほとんどない。S&P500指数にとって1年で特にリターンの悪い9月・9月を控える中、上昇が継続するか注目が集まりそうだ。
話は変わって、今週から国内企業決算が本格化する。プライム市場の主力銘柄の決算が相次ぐため、本日同様個別株物色が活発化することで商いが膨らむことが想定される。好決算銘柄の買いが優勢となれば、株価指数の回復につながろう。
そのほか、7月第3週(18~21日)投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を197億円買い越した(前週は2793億円の買い越し)。買い越しは4週連続で、個人投資家は126億円の買い越しで3週連続の買い越しとなった。さて、後場の日経平均はプラス圏での推移を継続できるか。前述のように雇用関連指標の発表が控えているなか、今週から企業決算が本格化するため、プライム市場の個別株物色が中心となりそうだ。新興市場でも、決算を発表した銘柄への注目は集まろう。
(山本泰三)
<AK>
前週末28日の米国株式市場のダウ平均は176.57ドル高(+0.50%)と反発。個人消費支出(PCE)コア価格指数の伸びが予想以上に鈍化しインフレ鈍化傾向を再確認したため買いが先行。また消費の堅調さも確認され、ソフトランディング(軟着陸)
期待も買い材料となった。金利の低下でハイテク株の買いも再燃しナスダックは大幅反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を横目に、7月31日の日経平均は前週末比369.60円高の33128.83円と反発でスタート。その後はじりじりと上げ幅を広げる展開となっている。
個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>などの半導体関連株の一角が上昇。川崎船<9107>や商船三井<9104>などの海運株、三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株も堅調に推移。また、トヨタ自<7203>やホンダ<7267>などの自動車関連のほか、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、ルネサス<6723>、日本製鉄<5401>、ソニーグループ<6758>なども上昇した。そのほか、通期上方修正と増配幅拡大を発表した豊田通商<8015>が急騰、第1四半期営業利益が想定以上の好進捗となったソシオネクスト<6526>も急上昇、北越工業<6364>、リオン<6823>、イントラスト<7191>などが値上がり率上位に顔を出した。
一方、アドバンテ<6857>、キーエンス<6861>、ヤクルト<2267>、KDDI<9433>などが下落。ほか、第1四半期の減収減益がネガティブサプライズとなった日本M&AセンターHD<2127>、想定外の下方修正にネガティブなインパクトが優勢となったファナック<6954>が大幅に下落した。そのほか、アンリツ<6754>、アグロカネショウ<
4955>、ストライク<6196>、M&Aキャピタルパートナーズ<6080>などが値下がり率上位に顔を出した。
セクターでは、輸送用機器、卸売業、精密機器が上昇率上位となった一方で、鉱業、空運、が下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の82%、対して値下がり銘柄は16%となっている。
シカゴ日経225先物清算値は、大阪比325円高の33095円。本日の日経平均はシカゴ先物にサヤ寄せする格好から買いが先行しており、為替が円安方向にふれていることも追い風となっている。そのほか、国内企業決算の発表が本格化しており、決算発表を終えた個別株中心に物色が向かっている。
新興市場も堅調な展開となっている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、じりじりと上げ幅を広げている。米ハイテク株が値幅を伴って上昇したことは個人投資家心理を改善させる要因となった。また、米国で週末に発表された物価指標で改めてインフレ鈍化傾向が確認され、米長期金利の上昇が一服していることは新興株にとって支援材料となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は1.45%高、東証グロース市場Core指数は2.63%高で時価総額上位銘柄に注目が集まっている。
さて、前週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、主要政策金利を0.25ポイント引き上げることを決定した。パウエル米連邦準備制度(FRB)議長の記者会見からもタカ派的なサプライズはなかった。また、欧州中央銀行(ECB)も0.25ポイントの追加利上げを決定。ただ、ラガルド総裁は決定発表後の会見で、今後の政策判断について入手するデータに左右されると強調していた。今後の政策会合でいったん利上げ休止を決めた場合でも、その後に再び利上げすることはあり得るとの見解を示した。
米国経済が景気後退を回避してソフトランディング(軟着陸)する確率が高まっているという認識が広がる中、7月以降の各国の金融政策方針に不透明感が残っているのは事実である。今週は、米国で供給管理協会(ISM)の景況指数、中国で国家版および民間版の購買担当者景気指数(PMI)が発表されるほか、週末には米雇用統計が発表予定。物価指標の鈍化傾向は続いているが、雇用関連の指標は依然として強い。結果次第では追加利上げ懸念が再燃する可能性があるため、これらの指標には注目しておきたいところである。
一方、S&P500は7月も月間で上昇の勢いとなっており、様子見していた弱気派が強気に転換するほか、乗り遅れることへの恐怖を感じている投資家も全て参加しており、トレーダーの株式へのエクスポージャーは歴史的に見ても高い水準にあるという。また、好調な米株式相場を受けてヘッジを考えているトレーダーはほとんどいないようで、バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストらはリポートで、オプション市場で株安に備えたプロテクションを買うのは「かつて目にしたことがないほど安い」と指摘しているようだ。
リセッション(景気後退)を招くことなくインフレを抑制することが過去に完全に成し遂げられた例はほとんどない。S&P500指数にとって1年で特にリターンの悪い9月・9月を控える中、上昇が継続するか注目が集まりそうだ。
話は変わって、今週から国内企業決算が本格化する。プライム市場の主力銘柄の決算が相次ぐため、本日同様個別株物色が活発化することで商いが膨らむことが想定される。好決算銘柄の買いが優勢となれば、株価指数の回復につながろう。
そのほか、7月第3週(18~21日)投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を197億円買い越した(前週は2793億円の買い越し)。買い越しは4週連続で、個人投資家は126億円の買い越しで3週連続の買い越しとなった。さて、後場の日経平均はプラス圏での推移を継続できるか。前述のように雇用関連指標の発表が控えているなか、今週から企業決算が本格化するため、プライム市場の個別株物色が中心となりそうだ。新興市場でも、決算を発表した銘柄への注目は集まろう。
(山本泰三)
<AK>
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