後場の投資戦略
TSMC決算受けて半導体株の先行きに不透明感
配信日時:2023/07/21 12:26
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;32417.92;-72.60TOPIX;2266.75;+5.85
[後場の投資戦略]
前日の米株式市場ではナスダック総合指数が-2.05%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が-3.62%と久々に大幅な下落率となった。ナスダックについては電気自動車のテスラと動画配信サービスのネットフリックスの決算が市場の期待値に届かなかったことが要因の一つとして挙げられる。両社ともに株価は年始からすでに大幅に上昇していたこともあり、利益確定売りが膨らみ、テスラは-9.7%、ネットフリックスは-8.4%とそれぞれ大きく下落した。
SOX指数については、半導体受託製造の世界最大手で米エヌビディアを大口顧客にもつ台湾積体電路製造(TSMC)の決算が大きな要因だ。TSMCは前日に第2四半期(4-6月)決算を発表。四半期ベースでは約4年ぶりの減収減益となったが、売上高や利益は市場予想を上回った。しかし、7-9月期のガイダンスは主要項目が軒並み市場予想を下回った。また、2023年12月期通期の売上高について1桁の前半から半ばの減少としていた計画を10%前後の減少に下方修正した。生成AI(人工知能)で盛り上がっていた半導体株ブームはいったん小休止となりそうだ。
一方、前日に第1四半期(4-6月)決算を発表したディスコ<6146>は下げ渋って上昇に転じている。営業利益は前年同期比21.4%減と市場予想を下振れたが、先んじて発表済みの単体速報で概ね織り込み済みだったようだ。一方で、7-9月期の出荷額ガイダンスが期待値を上振れたこと、生成AI関連需要が早ければ第3四半期(10-12月)には出荷に貢献してくる可能性が示されたことが好感されたようだ。
ただ、ディスコは生成AI関連需要の具体的な規模については非開示としており、依然として期待先行の印象が強い。パワー半導体という強力な支援材料がもう一つ備わっていることもあり、ディスコの決算反応を半導体株全体に当てはめない方がよいだろう。
他方、本日の日経平均は寄り付き直後に400円超安となったところから切り返し、ほぼ下げを帳消しにしてきている。為替の円安効果も大きいが、ダウ平均の連騰劇を受けて景気敏感セクターに買いが入っていることが半導体株安の影響を和らげているようだ。医薬品や電気・ガス、建設、食料品などディフェンシブなセクターも買われており、東証プライム市場の騰落状況をみても値上がり銘柄数が僅かながら値下がり銘柄数を上回っている。
ただ、改めて生成AIブームで盛り上がっていた半導体株については、今回のTSMCの決算を受けて、いったん上昇一服の局面に入っていく可能性が高そうだ。半導体株は相場のけん引役であったため、チャートが悪化している日経平均などの好転もしばらく見込みにくいと考えられる。この間、本日のように景気敏感セクターやディフェンシブなセクターが買われ全体を支えてくれれば指数の下値は支えられるだろうが、こうした構図が長く続くかはやや心もとない。
来週からは国内でも企業の決算発表が本格化してくる。前日に東証プライム市場の売買代金が5月11日以来の3兆円割れとなるなど、足元では商いの低調が気がかりだ。
決算シーズンにより再び売買が活発化してくるか、その際に商いを伴って日経平均やTOPIX(東証株価指数)が25日移動平均線など上値抵抗線を超えられるかが今後の焦点となろう。(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;32417.92;-72.60TOPIX;2266.75;+5.85
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前日の米株式市場ではナスダック総合指数が-2.05%、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が-3.62%と久々に大幅な下落率となった。ナスダックについては電気自動車のテスラと動画配信サービスのネットフリックスの決算が市場の期待値に届かなかったことが要因の一つとして挙げられる。両社ともに株価は年始からすでに大幅に上昇していたこともあり、利益確定売りが膨らみ、テスラは-9.7%、ネットフリックスは-8.4%とそれぞれ大きく下落した。
SOX指数については、半導体受託製造の世界最大手で米エヌビディアを大口顧客にもつ台湾積体電路製造(TSMC)の決算が大きな要因だ。TSMCは前日に第2四半期(4-6月)決算を発表。四半期ベースでは約4年ぶりの減収減益となったが、売上高や利益は市場予想を上回った。しかし、7-9月期のガイダンスは主要項目が軒並み市場予想を下回った。また、2023年12月期通期の売上高について1桁の前半から半ばの減少としていた計画を10%前後の減少に下方修正した。生成AI(人工知能)で盛り上がっていた半導体株ブームはいったん小休止となりそうだ。
一方、前日に第1四半期(4-6月)決算を発表したディスコ<6146>は下げ渋って上昇に転じている。営業利益は前年同期比21.4%減と市場予想を下振れたが、先んじて発表済みの単体速報で概ね織り込み済みだったようだ。一方で、7-9月期の出荷額ガイダンスが期待値を上振れたこと、生成AI関連需要が早ければ第3四半期(10-12月)には出荷に貢献してくる可能性が示されたことが好感されたようだ。
ただ、ディスコは生成AI関連需要の具体的な規模については非開示としており、依然として期待先行の印象が強い。パワー半導体という強力な支援材料がもう一つ備わっていることもあり、ディスコの決算反応を半導体株全体に当てはめない方がよいだろう。
他方、本日の日経平均は寄り付き直後に400円超安となったところから切り返し、ほぼ下げを帳消しにしてきている。為替の円安効果も大きいが、ダウ平均の連騰劇を受けて景気敏感セクターに買いが入っていることが半導体株安の影響を和らげているようだ。医薬品や電気・ガス、建設、食料品などディフェンシブなセクターも買われており、東証プライム市場の騰落状況をみても値上がり銘柄数が僅かながら値下がり銘柄数を上回っている。
ただ、改めて生成AIブームで盛り上がっていた半導体株については、今回のTSMCの決算を受けて、いったん上昇一服の局面に入っていく可能性が高そうだ。半導体株は相場のけん引役であったため、チャートが悪化している日経平均などの好転もしばらく見込みにくいと考えられる。この間、本日のように景気敏感セクターやディフェンシブなセクターが買われ全体を支えてくれれば指数の下値は支えられるだろうが、こうした構図が長く続くかはやや心もとない。
来週からは国内でも企業の決算発表が本格化してくる。前日に東証プライム市場の売買代金が5月11日以来の3兆円割れとなるなど、足元では商いの低調が気がかりだ。
決算シーズンにより再び売買が活発化してくるか、その際に商いを伴って日経平均やTOPIX(東証株価指数)が25日移動平均線など上値抵抗線を超えられるかが今後の焦点となろう。(仲村幸浩)
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