ランチタイムコメント
日経平均は4日続落、足元の調整はまだ想定の範囲内
配信日時:2023/06/27 12:17
配信元:FISCO
*12:17JST 日経平均は4日続落、足元の調整はまだ想定の範囲内
日経平均は4日続落。252.11円安の32446.70円(出来高概算6億3781万株)で前場の取引を終えている。
26日の米株式市場でダウ平均は12.72ドル安(-0.03%)と小幅に6日続落。ロシア情勢を巡る地政学リスクを警戒した売りが先行。また、四半期末に伴う持ち高調整でハイテク株の利食い売りが重荷となった。ナスダック総合指数は-1.16%と続落。米株安を受けて日経平均は68.85円安からスタート。四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りなど需給悪化が意識されるなか、前場中ごろまで下げ調子が続き、一時32306.99円(391.82円安)まで下げ幅を広げた。一方、前引けかけては時間外取引の米株価指数先物の動きに合わせて下げ渋る動きが見られた。
個別では、米エヌビディアの株価下落を受けてアドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>を筆頭に、ソシオネクスト<6526>、スクリン<7735>など半導体株が大きく下落。ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、HOYA<7741>の値がさ株やソフトバンクG<9984>、ニデック<6594>、SMC<6273>、ローム<6963>などハイテクも全般軟調。三菱商事<8058>、丸紅<8002>、三井物産<8031>の商社株は大幅続落。SHIFT<3697>、リクルートHD<6098>、メルカリ<4385>のほか、SREHD<2980>、Appier<4180>、インソース<6200>などグロース株の下落が目立つ。研究開発提携を通じて臨床試験中だった新薬の開発中止を米ファイザーが発表したことで、SOSEI<4565>はストップ安売り気配のまま終えている。
一方、急伸している川崎汽船<9107>を筆頭に郵船<9101>、商船三井<9104>の海運株が大幅続伸。前日に値上げが好感されたOLC<4661>も大幅に続伸。トヨタ自<7203>、日産自<7201>、三菱自<7211>の輸送用機器のほか、三菱UFJ<8306>、T&DHD<8795>、JFE<5411>、コマツ<6301>、出光興産<5019>など金融や資源関連セクターが堅調。JR東海<9022>、JAL<9201>、NTT<9432>などディフェンシブの一角もしっかり。産業革新投資機構
(JIC)による買収で前日ストップ高比例配分となったJSR<4185>はTOB価格にサヤ寄せする形で大幅高。配当政策の変更などが評価された人・夢・技術グループ<9248>、大幅増益決算が好感された壱番屋<7630>なども大きく上昇。
セクターで不動産、医薬品、卸売が下落率上位に並んだ一方、海運、石油・石炭製品、空運が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体69%、対して値上がり銘柄は26%となっている。
日経平均は4日続落。前日は下落スタートながらも急速に切り返して32500円の節目を即座に回復するなど下値の堅さも見られたが、本日は前場中ごろまでほぼ一本調子で下げ続ける展開で、32500円も割り込んだまま前場を終えた。月末および四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りに加えて、7月上旬に控える上場投資信託(ETF)運用会社の分配金捻出の売り需要など、需給悪化イベントを前に売りが優勢となっている。
6月19日に付けた高値まで、日経平均は連日のようにバブル崩壊後の最高値を更新するなど今四半期(4-6月)の日本株の上昇率は世界的にも大きかったため、分かりやすい需給イベントを控えるなか、さすがに利益確定売りには抗えない様子。先物・オプション取引の決済期日が重なるクアドラプル・ウィッチング通過後は、米株式市場でも記録的な上昇率を見せていたナスダック総合指数を中心に利益確定売りが続いている。
ただ、どちらもこれまでの株価上昇率を考えれば、四半期末に伴う利益確定売りはあくまで想定内の範囲内であり、足元の株価下落を悲観的に捉えている向きは少ない。日経平均やナスダック指数など主要株価指数については、25日移動平均線が依然として下値支持線として機能していることもあり、まだトレンドは上向きのままだろう。本日の日経平均については、前場中ごろに安値を付けた後は引けにかけて回復し、32500円を回復しようとする動きも見られていて、むしろ前日に続き底堅さも確認されている。
重要なのは今週を過ぎてからの来週以降の動きだろう。四半期末に伴う持ち高調整を経て月替わりのタイミングで早々に再び株価は上昇基調に戻るのか否か。ETFの分配金捻出という国内固有の需給イベントを控える日本株については来週もまだ調整が続くかもしれないが、米株が回復した場合にはETFイベントの通過を待たずしてこれに付いていくのか、こうした点が焦点になってこよう。
ただ、世界的に中央銀行による利上げ長期化の機運が高まっていることや、経済指標の悪化が続いているなか、先行きについては不透明感が強く、需給イベント通過後に早々に再びリスク資産を積極的に積み上げていくのは難しいだろう。頃合い的にも7月の日米の金融政策決定会合とその後の四半期決算シーズンを確認するまではいったん様子見が無難と思われる。
こうした中、当面はこれまでの相場けん引役だったハイテク株の早期出直りを期待した押し目買いには慎重になり、引き続きディフェンシブセクターや、4-6月期における株価パフォーマンスの冴えなかった出遅れセクターへの投資妙味が相対的に高いと考える。
出遅れ解消の動き継続が期待されていた新興株については、新規株式公開(IPO)ラッシュに伴う需給の重荷もあるだろうが、マザーズ指数が足元で再び800ptを割り込むなど残念な動きになっている。ただ、今は地合いの悪化に連れられている要因も大きいと思われる。マザーズ指数は25日移動平均線水準までの調整が完了し、短期的な過熱感が解消されていることもあり、今後は再び物色が向かう展開に期待したい。ただ、今週は週末の米個人消費支出(PCE)コアデフレーターの発表に加え、28日には欧州中央銀行(ECB)主催のフォーラムで各国中銀総裁らがパネル討論会に参加する予定のため、短期的にはまだ警戒イベントがあり、押し目買いは打診的にとどめるべきだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
26日の米株式市場でダウ平均は12.72ドル安(-0.03%)と小幅に6日続落。ロシア情勢を巡る地政学リスクを警戒した売りが先行。また、四半期末に伴う持ち高調整でハイテク株の利食い売りが重荷となった。ナスダック総合指数は-1.16%と続落。米株安を受けて日経平均は68.85円安からスタート。四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りなど需給悪化が意識されるなか、前場中ごろまで下げ調子が続き、一時32306.99円(391.82円安)まで下げ幅を広げた。一方、前引けかけては時間外取引の米株価指数先物の動きに合わせて下げ渋る動きが見られた。
個別では、米エヌビディアの株価下落を受けてアドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>を筆頭に、ソシオネクスト<6526>、スクリン<7735>など半導体株が大きく下落。ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、HOYA<7741>の値がさ株やソフトバンクG<9984>、ニデック<6594>、SMC<6273>、ローム<6963>などハイテクも全般軟調。三菱商事<8058>、丸紅<8002>、三井物産<8031>の商社株は大幅続落。SHIFT<3697>、リクルートHD<6098>、メルカリ<4385>のほか、SREHD<2980>、Appier<4180>、インソース<6200>などグロース株の下落が目立つ。研究開発提携を通じて臨床試験中だった新薬の開発中止を米ファイザーが発表したことで、SOSEI<4565>はストップ安売り気配のまま終えている。
一方、急伸している川崎汽船<9107>を筆頭に郵船<9101>、商船三井<9104>の海運株が大幅続伸。前日に値上げが好感されたOLC<4661>も大幅に続伸。トヨタ自<7203>、日産自<7201>、三菱自<7211>の輸送用機器のほか、三菱UFJ<8306>、T&DHD<8795>、JFE<5411>、コマツ<6301>、出光興産<5019>など金融や資源関連セクターが堅調。JR東海<9022>、JAL<9201>、NTT<9432>などディフェンシブの一角もしっかり。産業革新投資機構
(JIC)による買収で前日ストップ高比例配分となったJSR<4185>はTOB価格にサヤ寄せする形で大幅高。配当政策の変更などが評価された人・夢・技術グループ<9248>、大幅増益決算が好感された壱番屋<7630>なども大きく上昇。
セクターで不動産、医薬品、卸売が下落率上位に並んだ一方、海運、石油・石炭製品、空運が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体69%、対して値上がり銘柄は26%となっている。
日経平均は4日続落。前日は下落スタートながらも急速に切り返して32500円の節目を即座に回復するなど下値の堅さも見られたが、本日は前場中ごろまでほぼ一本調子で下げ続ける展開で、32500円も割り込んだまま前場を終えた。月末および四半期末に伴う年金基金のリバランス(資産配分の調整)目的の売りに加えて、7月上旬に控える上場投資信託(ETF)運用会社の分配金捻出の売り需要など、需給悪化イベントを前に売りが優勢となっている。
6月19日に付けた高値まで、日経平均は連日のようにバブル崩壊後の最高値を更新するなど今四半期(4-6月)の日本株の上昇率は世界的にも大きかったため、分かりやすい需給イベントを控えるなか、さすがに利益確定売りには抗えない様子。先物・オプション取引の決済期日が重なるクアドラプル・ウィッチング通過後は、米株式市場でも記録的な上昇率を見せていたナスダック総合指数を中心に利益確定売りが続いている。
ただ、どちらもこれまでの株価上昇率を考えれば、四半期末に伴う利益確定売りはあくまで想定内の範囲内であり、足元の株価下落を悲観的に捉えている向きは少ない。日経平均やナスダック指数など主要株価指数については、25日移動平均線が依然として下値支持線として機能していることもあり、まだトレンドは上向きのままだろう。本日の日経平均については、前場中ごろに安値を付けた後は引けにかけて回復し、32500円を回復しようとする動きも見られていて、むしろ前日に続き底堅さも確認されている。
重要なのは今週を過ぎてからの来週以降の動きだろう。四半期末に伴う持ち高調整を経て月替わりのタイミングで早々に再び株価は上昇基調に戻るのか否か。ETFの分配金捻出という国内固有の需給イベントを控える日本株については来週もまだ調整が続くかもしれないが、米株が回復した場合にはETFイベントの通過を待たずしてこれに付いていくのか、こうした点が焦点になってこよう。
ただ、世界的に中央銀行による利上げ長期化の機運が高まっていることや、経済指標の悪化が続いているなか、先行きについては不透明感が強く、需給イベント通過後に早々に再びリスク資産を積極的に積み上げていくのは難しいだろう。頃合い的にも7月の日米の金融政策決定会合とその後の四半期決算シーズンを確認するまではいったん様子見が無難と思われる。
こうした中、当面はこれまでの相場けん引役だったハイテク株の早期出直りを期待した押し目買いには慎重になり、引き続きディフェンシブセクターや、4-6月期における株価パフォーマンスの冴えなかった出遅れセクターへの投資妙味が相対的に高いと考える。
出遅れ解消の動き継続が期待されていた新興株については、新規株式公開(IPO)ラッシュに伴う需給の重荷もあるだろうが、マザーズ指数が足元で再び800ptを割り込むなど残念な動きになっている。ただ、今は地合いの悪化に連れられている要因も大きいと思われる。マザーズ指数は25日移動平均線水準までの調整が完了し、短期的な過熱感が解消されていることもあり、今後は再び物色が向かう展開に期待したい。ただ、今週は週末の米個人消費支出(PCE)コアデフレーターの発表に加え、28日には欧州中央銀行(ECB)主催のフォーラムで各国中銀総裁らがパネル討論会に参加する予定のため、短期的にはまだ警戒イベントがあり、押し目買いは打診的にとどめるべきだろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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