ランチタイムコメント
日経平均は大幅続伸、幅広い銘柄が堅調に推移
配信日時:2023/05/29 12:17
配信元:FISCO
*12:17JST 日経平均は大幅続伸、幅広い銘柄が堅調に推移
日経平均は大幅続伸。409.53円高の31325.84円(出来高概算6億325万株)で前場の取引を終えている。
前週末26日の米国株式市場のダウ平均は328.69ドル高(+1.00%)と反発。債務上限交渉について進展があったと明らかになり買いが先行。5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が改善した一方で1年期待インフレ率が予想外に低下したことが好感された。また、ハイテク株買いが続きナスダックは大幅続伸、主要株価指数が終日堅調に推移した米株市場を横目に、29日の日経平均は前週末比471.70円高の31388.01円と大幅に3営業日続伸でスタート。その後は高値圏でのもみ合い展開となっている。
個別では、米SOX指数の上昇や円安進行を追い風にアドバンテ<6857>、東エレク<8035>などの半導体関連株が大幅高に。三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株、郵船<9101>や商船三井<9104>などの海運株も堅調に推移、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、信越化<4063>、三菱重工業<7011>なども上昇。そのほか、国内証券が業績上方修正し目標株価を引き上げたシンプレクスHD<4373>、YTL<1773>やPHCホールディングス<6523>が急騰、リョーサン<8140>、新日本科学<2395>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
一方、JR東<9020>やJR東海<9022>などの鉄道株の一角が軟調に推移したほか、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、オリエンタルランド<4661>などが下落した。そのほか、イントラスト<7191>やテノ.ホールディングス<7037>などが大幅に下落、テクノスジャパン<3666>、ファイズホールディングス<9325>、ジャパンディスプレイ<6740>などが東証プライム市場の値下がり率上位に顔を出した。
セクターでは海運業、卸売業、鉱業が上昇率上位となった一方、電気・ガスが下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の78%、対して値下がり銘柄は18%となっている。
シカゴ日経225先物清算値は大阪比540円高の31500円。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はギャップアップから取引を開始した。米債務上限問題の交渉について、バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が基本合意に達したことは投資家心理にポジティブに働いている。ただ、今週は米雇用統計など重要な経済指標の発表を控えるなか、徐々にこう着感が強まるとの見方も広がっている。
新興市場も堅調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、朝方に上げ幅を広げた。ただ、その後は上値の重い展開となっている。米長期金利は上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株にとっては厳しい地合いが続いている。また、東京市場では引き続き半導体関連などプライム市場の主力株中心に投資家の注目が集まっており、新興株を積極的に買い進む動きは乏しい。前引け時点での東証マザーズ指数は1.37%高、東証グロース市場Core指数は0.99%高。
さて、休日に米債務上限問題を巡る与野党の交渉は合意に近づいていると報道された。バイデン大統領とマッカーシー下院議長は、債務政府の法定債務上限に関する原則合意を盛り込んだ法案が議会を通過して署名に向けて大統領に送付され、米国で初のデフォルトが回避されると確信していると表明したようだ。議長は大統領と再び協議し、31日に採決を行う方針を表明。ひとまず、債務上限問題について過度な警戒感は後退しており、投資家心理にポジティブに働いているだろう。
一方、英国の物価指標の上振れやウォラーFRB理事のタカ派発言などを受けて米長期金利は3.8%台まで上昇している。FRBは6月13~14日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利上げが適切かどうか判断する。6月FOMCでの0.25ポイントの利上げは、FRB内部でかなり意見が分かれているが、CMEFEDウォッチツールでも約62%と織り込み済みとまではいってない。今週は米国で供給管理協会(ISM)の5月製造業景気指数、5月雇用統計などが発表されるため、これらの指標には最大限の注目が集まろう。
ただ、6月2日発表の5月雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が前月比で20万人を割り込み、平均時給は0.3%増と1年ぶりの大幅増だった前月から鈍化する見通しとなっている。また、4月の求人件数は2年ぶりの低水準が予想されており、労働市場の需給逼迫が徐々に緩和しつつあることが想定されている。あくまで予想であるため、結果が出るまでは油断できないが、今週発言が予定されているリッチモンド連銀のバーキン総裁とフィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ジェファーソン連邦準備制度理事会(FRB)理事らの発言にも注意を払っておきたいところだ。
そのほか、東証の投資部門別売買状況によると、海外投資家の買い越氏が継続する一方で、個人投資家や年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の売り越しが続いている。背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などが挙げられており、日本株市場のメインプレーヤーである海外投資家の動向は今後も随時確認しておく必要がある。さて、後場の日経平均は、プラス圏でこう着感の強い展開が続くか。前引けにかけてじりじりと上げ幅を縮小しているが、引き続き半導体関連株を中心に国内主力企業への物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
前週末26日の米国株式市場のダウ平均は328.69ドル高(+1.00%)と反発。債務上限交渉について進展があったと明らかになり買いが先行。5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)が改善した一方で1年期待インフレ率が予想外に低下したことが好感された。また、ハイテク株買いが続きナスダックは大幅続伸、主要株価指数が終日堅調に推移した米株市場を横目に、29日の日経平均は前週末比471.70円高の31388.01円と大幅に3営業日続伸でスタート。その後は高値圏でのもみ合い展開となっている。
個別では、米SOX指数の上昇や円安進行を追い風にアドバンテ<6857>、東エレク<8035>などの半導体関連株が大幅高に。三菱商事<8058>や三井物産<8031>などの商社株、郵船<9101>や商船三井<9104>などの海運株も堅調に推移、ソフトバンクG<9984>、ファーストリテ<9983>、信越化<4063>、三菱重工業<7011>なども上昇。そのほか、国内証券が業績上方修正し目標株価を引き上げたシンプレクスHD<4373>、YTL<1773>やPHCホールディングス<6523>が急騰、リョーサン<8140>、新日本科学<2395>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。
一方、JR東<9020>やJR東海<9022>などの鉄道株の一角が軟調に推移したほか、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、オリエンタルランド<4661>などが下落した。そのほか、イントラスト<7191>やテノ.ホールディングス<7037>などが大幅に下落、テクノスジャパン<3666>、ファイズホールディングス<9325>、ジャパンディスプレイ<6740>などが東証プライム市場の値下がり率上位に顔を出した。
セクターでは海運業、卸売業、鉱業が上昇率上位となった一方、電気・ガスが下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の78%、対して値下がり銘柄は18%となっている。
シカゴ日経225先物清算値は大阪比540円高の31500円。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はギャップアップから取引を開始した。米債務上限問題の交渉について、バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が基本合意に達したことは投資家心理にポジティブに働いている。ただ、今週は米雇用統計など重要な経済指標の発表を控えるなか、徐々にこう着感が強まるとの見方も広がっている。
新興市場も堅調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇スタート後、朝方に上げ幅を広げた。ただ、その後は上値の重い展開となっている。米長期金利は上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株にとっては厳しい地合いが続いている。また、東京市場では引き続き半導体関連などプライム市場の主力株中心に投資家の注目が集まっており、新興株を積極的に買い進む動きは乏しい。前引け時点での東証マザーズ指数は1.37%高、東証グロース市場Core指数は0.99%高。
さて、休日に米債務上限問題を巡る与野党の交渉は合意に近づいていると報道された。バイデン大統領とマッカーシー下院議長は、債務政府の法定債務上限に関する原則合意を盛り込んだ法案が議会を通過して署名に向けて大統領に送付され、米国で初のデフォルトが回避されると確信していると表明したようだ。議長は大統領と再び協議し、31日に採決を行う方針を表明。ひとまず、債務上限問題について過度な警戒感は後退しており、投資家心理にポジティブに働いているだろう。
一方、英国の物価指標の上振れやウォラーFRB理事のタカ派発言などを受けて米長期金利は3.8%台まで上昇している。FRBは6月13~14日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利上げが適切かどうか判断する。6月FOMCでの0.25ポイントの利上げは、FRB内部でかなり意見が分かれているが、CMEFEDウォッチツールでも約62%と織り込み済みとまではいってない。今週は米国で供給管理協会(ISM)の5月製造業景気指数、5月雇用統計などが発表されるため、これらの指標には最大限の注目が集まろう。
ただ、6月2日発表の5月雇用統計では、非農業部門雇用者数の増加幅が前月比で20万人を割り込み、平均時給は0.3%増と1年ぶりの大幅増だった前月から鈍化する見通しとなっている。また、4月の求人件数は2年ぶりの低水準が予想されており、労働市場の需給逼迫が徐々に緩和しつつあることが想定されている。あくまで予想であるため、結果が出るまでは油断できないが、今週発言が予定されているリッチモンド連銀のバーキン総裁とフィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ジェファーソン連邦準備制度理事会(FRB)理事らの発言にも注意を払っておきたいところだ。
そのほか、東証の投資部門別売買状況によると、海外投資家の買い越氏が継続する一方で、個人投資家や年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行の売り越しが続いている。背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などが挙げられており、日本株市場のメインプレーヤーである海外投資家の動向は今後も随時確認しておく必要がある。さて、後場の日経平均は、プラス圏でこう着感の強い展開が続くか。前引けにかけてじりじりと上げ幅を縮小しているが、引き続き半導体関連株を中心に国内主力企業への物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
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