後場の投資戦略
相場の基調転換に注意
配信日時:2023/05/24 12:12
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;30623.83;-333.94TOPIX;2149.76;-11.73
[後場の投資戦略]
日経平均は続落。前日は大幅高で発進し、連日でバブル崩壊後の高値を更新していたが、後場に大きく崩れた。経済産業省による先端半導体製造装置に関する輸出規制の報道が利益確定売りの口実となったほか、一部の国内年金基金からの大口売り観測が指摘されていた。
本日は米債務上限問題がくすぶるなか、前日のナスダック指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)がそろって1%を超える下落率となったことも影響し、日経平均も1%超の下落率で続落している。これまでの上昇幅を考えれば、スピード調整の範囲内だが、さすがに前日の急な崩れ方を受けて目先の一服感が強まったようだ。
米株式市場では、景気敏感株の構成割合の高いダウ平均が75日移動平均線を下回り、200日線に近づいていて、4月以降のもみ合いレンジを下放れてきている。一方、資金の逃避先となってきた大型株ハイテク株も、米債務上限問題の「Xデー」が早ければ6月1日にも到来すると指摘されるなか、デッドラインが近づいていることで利益確定売りが強まってきている。ナスダック指数は前日に久々に1%を超える下落率となった。
また、大型ハイテク株と並んで資金が集まっていたところでは、高級品を中心とした小売企業が挙げられるが、前日はフランスの高級品ブランド、エルメス・インターナショナルやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど関連株がそろって急落した。米債務上限問題のデッドラインが近づき投資家が神経質になりやすいなか、これまで堅調だった銘柄群にまとまった売りが出てきている点は相場の基調転換を示唆しているような印象を受け、注意したい。
米債務上限問題については、最終的には解決に向かうことはほぼ間違いないとみられている。ただ、交渉に当たっているマッカーシー下院議長は異例の15回目の投票にて議長に選ばれた人物であり、もともと共和党内で求心力が高いとはいえない。そのため、本当に党内の意見をまとめ切れるかはやや心もとない。大丈夫だとは思うが、この問題については最後まで予断を許さないでおくべきだろう。
また、にわかに台頭しはじめたのが中国での新型コロナ感染の再拡大だ。オミクロン株「XBB」系統が先月下旬から感染拡大に拍車をかけているようで、ピークを迎える6月末にかけては週に約6500万人が感染するとの試算が伝わっている。市場関係者の間では、中国人訪日客の復活が期待されていたなか、日本国内でのインバウンド消費への期待が後退しかねない、また「内需主導の底堅い経済」という日本株シナリオの重要要素が一つ欠けることになると懸念する声も聞かれる。実際、これまで株価が堅調だったインバウンド関連銘柄では三越伊勢丹<3099>、マツキヨココ<3088>、パンパシHD<7532>などが前日から大きく崩れている。
急ピッチで上昇してきた日本株については、海外勢の日本株への見方が変わってきているなか、下げはあくまで外部環境につられた一時的なものであるとして強気な姿勢を維持している市場関係者が多い。ただ、相場の基調転換を示唆する材料はいくつか確認されており、短期筋の持ち高が大きく積み上がっていたことを考えると、短期的には調整局面入りに注意を払いたい。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;30623.83;-333.94TOPIX;2149.76;-11.73
[後場の投資戦略]
日経平均は続落。前日は大幅高で発進し、連日でバブル崩壊後の高値を更新していたが、後場に大きく崩れた。経済産業省による先端半導体製造装置に関する輸出規制の報道が利益確定売りの口実となったほか、一部の国内年金基金からの大口売り観測が指摘されていた。
本日は米債務上限問題がくすぶるなか、前日のナスダック指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)がそろって1%を超える下落率となったことも影響し、日経平均も1%超の下落率で続落している。これまでの上昇幅を考えれば、スピード調整の範囲内だが、さすがに前日の急な崩れ方を受けて目先の一服感が強まったようだ。
米株式市場では、景気敏感株の構成割合の高いダウ平均が75日移動平均線を下回り、200日線に近づいていて、4月以降のもみ合いレンジを下放れてきている。一方、資金の逃避先となってきた大型株ハイテク株も、米債務上限問題の「Xデー」が早ければ6月1日にも到来すると指摘されるなか、デッドラインが近づいていることで利益確定売りが強まってきている。ナスダック指数は前日に久々に1%を超える下落率となった。
また、大型ハイテク株と並んで資金が集まっていたところでは、高級品を中心とした小売企業が挙げられるが、前日はフランスの高級品ブランド、エルメス・インターナショナルやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど関連株がそろって急落した。米債務上限問題のデッドラインが近づき投資家が神経質になりやすいなか、これまで堅調だった銘柄群にまとまった売りが出てきている点は相場の基調転換を示唆しているような印象を受け、注意したい。
米債務上限問題については、最終的には解決に向かうことはほぼ間違いないとみられている。ただ、交渉に当たっているマッカーシー下院議長は異例の15回目の投票にて議長に選ばれた人物であり、もともと共和党内で求心力が高いとはいえない。そのため、本当に党内の意見をまとめ切れるかはやや心もとない。大丈夫だとは思うが、この問題については最後まで予断を許さないでおくべきだろう。
また、にわかに台頭しはじめたのが中国での新型コロナ感染の再拡大だ。オミクロン株「XBB」系統が先月下旬から感染拡大に拍車をかけているようで、ピークを迎える6月末にかけては週に約6500万人が感染するとの試算が伝わっている。市場関係者の間では、中国人訪日客の復活が期待されていたなか、日本国内でのインバウンド消費への期待が後退しかねない、また「内需主導の底堅い経済」という日本株シナリオの重要要素が一つ欠けることになると懸念する声も聞かれる。実際、これまで株価が堅調だったインバウンド関連銘柄では三越伊勢丹<3099>、マツキヨココ<3088>、パンパシHD<7532>などが前日から大きく崩れている。
急ピッチで上昇してきた日本株については、海外勢の日本株への見方が変わってきているなか、下げはあくまで外部環境につられた一時的なものであるとして強気な姿勢を維持している市場関係者が多い。ただ、相場の基調転換を示唆する材料はいくつか確認されており、短期筋の持ち高が大きく積み上がっていたことを考えると、短期的には調整局面入りに注意を払いたい。
(仲村幸浩)
<AK>
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