後場の投資戦略
節目の29000円突破も上値の重い展開
配信日時:2023/05/01 12:20
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;29056.25;+199.81TOPIX;2070.43;+12.95
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は、米国株高の流れを受けてギャップアップスタート、節目の29000円を突破した。ただ、1日と2日は大型連休の谷間となるため、買い一巡後は次第にこう着感が強まるとの見方が強い。連休中の米連邦公開市場委員会(FOMC)や米雇用統計を前に積極的に買い進む動きは限定的となっているか。なお、取引時間中に29000円を上回るのは22年8月19日以来となる。
一方、新興市場は軟調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートしたが、朝方に上げ幅を急速に縮小してマイナス圏に転落。投資家の目線は東証プライム市場に向いており、新興市場はやや蚊帳の外状態となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は0.31%安、東証グロース市場Core指数は2.57%安で時価総額上位銘柄が下落をけん引した。
さて、今週はゴールデンウイークの大型連休に伴い、東京市場は本日と明日の2日間のみの立会いとなる。連休中には5月2日から3日にFOMC、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見、3日は米供給管理協会(ISM)の4月非製造業(サービス業)景気指数などの経済指標、5日は米雇用統計の発表を控えている。
5月FOMCでは0.25ポイントの利上げが濃厚で、CMEFEDウォッチツールも約85%で織り込み済みとなっている。ただ、個人消費支出(PCE)コアデフレーターや雇用コスト指数など米国のインフレ関連指標は依然として高い伸びとなるなか、パウエル議長の発言に注目が集まる。次回6月会合での0.25ポイントの利上げ確率は20%程で、パウエル議長の発言次第ではネガティブな動きにもつながる可能性がある。10日には、米消費者物価指数(CPI)の発表も控えているため、いずれにせよ経済指標の数字には最大限の注目をしておきたい。
他方、経営不安が高まっている米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)
は、米連邦預金保険公社(FDIC)が公的管理下におく大詰めの調整を進めているという。公的管理後の買収にはJPモルガン・チェースなど複数の金融機関が名乗りをあげているといい、市場の混乱を最小限にとどめたい考えのようだ。現状、市場ではシリコンバレー銀行(SVB)やFRCの経営不安に関しては各社「固有の問題」との見方が根強いとされている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長は、SVBの破綻を受けた検証でFRBが米国の金融機関を監督する方法を徹底的に見直すよう呼び掛けた。同氏は、破綻の原因が同行のリスク管理の甘さと金融当局による監督不備にあったとみている。ただ、今後ほかの地銀破綻が続くと、金融不安が再燃し、投資家心理には相当なダメージを与えることになろう。
過去の月曜日当欄では、長期的には欧州不動産市場の動向や金融不安などの再燃などの多くのネガティブ材料浮上によって株価が下落するシナリオを想定してきた。また、金融不安が注目され始めたとき、暗号資産ビットコインをポートフォリオに組み込むことも勧めてきた。引き続きこのスタンスに変わりはなく、直近のビットコイン価格は乱高下するものの米主要株価指数との相関性がなくなってきている。
今後の米国の物価上昇率の動向、失業率やFRB高官の発言次第では株価が上昇していくシナリオも考えられる。相場がどちらに動いてもいいように引き続き国内外の経済情報はしっかりと追っていきたく、ゴールデンウイーク中も経済ニュースは欠かさずチェックしたいところ。後場の日経平均は、上値の重い展開が続くか。決算を発表した個別材料株中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
日経平均;29056.25;+199.81TOPIX;2070.43;+12.95
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は、米国株高の流れを受けてギャップアップスタート、節目の29000円を突破した。ただ、1日と2日は大型連休の谷間となるため、買い一巡後は次第にこう着感が強まるとの見方が強い。連休中の米連邦公開市場委員会(FOMC)や米雇用統計を前に積極的に買い進む動きは限定的となっているか。なお、取引時間中に29000円を上回るのは22年8月19日以来となる。
一方、新興市場は軟調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートしたが、朝方に上げ幅を急速に縮小してマイナス圏に転落。投資家の目線は東証プライム市場に向いており、新興市場はやや蚊帳の外状態となっている。前引け時点での東証マザーズ指数は0.31%安、東証グロース市場Core指数は2.57%安で時価総額上位銘柄が下落をけん引した。
さて、今週はゴールデンウイークの大型連休に伴い、東京市場は本日と明日の2日間のみの立会いとなる。連休中には5月2日から3日にFOMC、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見、3日は米供給管理協会(ISM)の4月非製造業(サービス業)景気指数などの経済指標、5日は米雇用統計の発表を控えている。
5月FOMCでは0.25ポイントの利上げが濃厚で、CMEFEDウォッチツールも約85%で織り込み済みとなっている。ただ、個人消費支出(PCE)コアデフレーターや雇用コスト指数など米国のインフレ関連指標は依然として高い伸びとなるなか、パウエル議長の発言に注目が集まる。次回6月会合での0.25ポイントの利上げ確率は20%程で、パウエル議長の発言次第ではネガティブな動きにもつながる可能性がある。10日には、米消費者物価指数(CPI)の発表も控えているため、いずれにせよ経済指標の数字には最大限の注目をしておきたい。
他方、経営不安が高まっている米地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)
は、米連邦預金保険公社(FDIC)が公的管理下におく大詰めの調整を進めているという。公的管理後の買収にはJPモルガン・チェースなど複数の金融機関が名乗りをあげているといい、市場の混乱を最小限にとどめたい考えのようだ。現状、市場ではシリコンバレー銀行(SVB)やFRCの経営不安に関しては各社「固有の問題」との見方が根強いとされている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバー副議長は、SVBの破綻を受けた検証でFRBが米国の金融機関を監督する方法を徹底的に見直すよう呼び掛けた。同氏は、破綻の原因が同行のリスク管理の甘さと金融当局による監督不備にあったとみている。ただ、今後ほかの地銀破綻が続くと、金融不安が再燃し、投資家心理には相当なダメージを与えることになろう。
過去の月曜日当欄では、長期的には欧州不動産市場の動向や金融不安などの再燃などの多くのネガティブ材料浮上によって株価が下落するシナリオを想定してきた。また、金融不安が注目され始めたとき、暗号資産ビットコインをポートフォリオに組み込むことも勧めてきた。引き続きこのスタンスに変わりはなく、直近のビットコイン価格は乱高下するものの米主要株価指数との相関性がなくなってきている。
今後の米国の物価上昇率の動向、失業率やFRB高官の発言次第では株価が上昇していくシナリオも考えられる。相場がどちらに動いてもいいように引き続き国内外の経済情報はしっかりと追っていきたく、ゴールデンウイーク中も経済ニュースは欠かさずチェックしたいところ。後場の日経平均は、上値の重い展開が続くか。決算を発表した個別材料株中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
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