ランチタイムコメント
日経平均は9日ぶり反落、決算シーズン本格化間近、業績修正は十分だろうか
配信日時:2023/04/19 12:14
配信元:FISCO
*12:14JST 日経平均は9日ぶり反落、決算シーズン本格化間近、業績修正は十分だろうか
日経平均は9日ぶり反落。68.43円安の28590.40円(出来高概算4億3715万株)で前場の取引を終えている。
18日の米株式市場でダウ平均は10.55ドル安(-0.03%)と小幅反落。金融決算ではバンク・オブ・アメリカは堅調だった一方、ゴールドマン・サックスが冴えず下落して始まった。一方、中国経済指標の改善を受けた景気回復期待から下げ幅を縮小。ただ、今後の主要企業決算の結果を見極めたいとの見方が強く、方向感が定まらず小幅安で終了、ナスダック総合指数も-0.03%と小幅反落。軟調な米国市場を受けて日経平均は38.99円安からスタート。前日までの8日続伸で短期的な過熱感が意識される中、為替の円安進行に一服感も見られ、序盤は売りが先行、前場中ごろには28531.54円(127.29円安)まで下落した。ただ、心理的な節目近くからは押し目買いが入り、為替も再び円安に進んだこともあり、その後は持ち直した。
個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、キーエンス<6861>、TDK<6762>、太陽誘電<6976>のハイテクが全般下落。リクルートHD<6098>、SHIFT<3697>、Sansan<4443>、ラクス<3923>のグロース(成長)株も軟調。業績予想を下方修正したLIXIL<
5938>、レーティングの格下げが確認されたニデック<6594>も大きく下落。
一方、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行が堅調で、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>の保険が高い。業績上振れの観測報道が伝わったディスコ<6146>、ChatGPTが成長けん引役との報道が手掛かり材料となったアドバンテスト<6857>はハイテク安の中で逆行高。国内証券が目標株価を引き上げたソシオネクスト<6526>も連日で大幅な逆行高となっている。
東証スタンダード市場では業績予想を上方修正したカクヤスグループ<7686>、守谷輸送機工業<6226>が大幅高となり、業績上方修正と増配を発表した萬世電機<7565>はストップ高買い気配のまま終えた。ほか、固定資産譲渡による特別利益の計上を発表したNFK-HD<6494>も急伸した。
セクターではパルプ・紙、海運、精密機器が下落率上位に並んだ一方、保険、陸運、非鉄金属が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の68%、対して値上がり銘柄は25%となっている。
本日の東京市場は騰勢一服の様相、前日まで8日続伸と連騰劇を見せてきた日経平均もさすがに本日は売り優勢。日経平均は前日に米金融システム不安が台頭する前の3月9日高値水準まで上昇していたことで買い戻し一服感も意識されやすく、短期的な過熱感を冷ます展開となっている。
ただ、主要企業の決算発表の本格化を前に積極的な売買は限られており、全体的に膠着感の強い状況。今後の主要企業決算の内容次第で相場は上下どちらにも動き得るだけに手掛かり材料を待つしかない段階だ。
一方、現在の米S&P500種株価指数の予想PER(株価収益率)は19倍台と割安感に乏しい。また、アナリストの業績予想のこれまでの推移をみると、一株当たり利益(EPS)
の下方修正は進んできているが、上述した予想PERの水準から下方修正の幅が十分とは言いにくい。他方、インフレ下で名目ベースの水準が切り上げられるのは当然かもしれないが、一株当たり売上高(SPS)についてはむしろ上方修正が進んでいる。なお、3月の米中堅銀行の経営破綻が起こった後もこうしたSPSの上方修正は続いている。
しかし、銀行の貸し出し態度の厳格化を通じて今後の米国経済の景気悪化を予想する向きは多く、中堅銀行の貸し渋りの影響が懸念される商業不動産ローンの行方を警戒する声も多い。こうした中、これまでのアナリストの業績予想の下方修正幅が十分とは言いにくい。今後は業績予想の下方修正の進展と株価バリュエーションの割高感への警戒感が一段と意識されやすくなる場面もありそうだ。
前日の米国市場の取引終了後にはハイテク企業で先陣を切った動画配信サービスのネットフリックスが第1四半期(1-3月)決算を発表した。売上高とEPSの実績はほぼ市場予想に一致したが、新規契約者数は175万人と市場予想(約205万人)を下回った。また、第2四半期(4-6月)のガイダンスは売上高とEPSともに市場予想を下回った。時間外取引の株価はこれを受けて一時11%急落したが、その後切り返して下げを埋めた。株価反応だけをみれば勝敗は五分五分だったとも言えるが、決算内容としてはネガティブと言わざるを得ない。今後の決算発表の本格化を前に警戒感はやや高まったといえる。
今晩の米国市場では金融のモルガン・スタンレー、ITソリューションのIBM、半導体のラム・リサーチ、ASMLホールディング、電気自動車のテスラが決算を発表する。4月に入ってから半導体関連株の強い基調は失われている。ただ、1-3月でみれば、半導体株は年後半の市況底入れを先取りする形で大きく上昇してきた。依然として反動安の余地はあると考えられ、今晩の半導体決算には注意したい。また、テスラについては4月に入ってから再び一斉値下げを発表した経緯がある。需要鈍化に対応した動きと考えられ、こちらも決算にはやや注意が必要だろう。
(仲村幸浩)
<AK>
18日の米株式市場でダウ平均は10.55ドル安(-0.03%)と小幅反落。金融決算ではバンク・オブ・アメリカは堅調だった一方、ゴールドマン・サックスが冴えず下落して始まった。一方、中国経済指標の改善を受けた景気回復期待から下げ幅を縮小。ただ、今後の主要企業決算の結果を見極めたいとの見方が強く、方向感が定まらず小幅安で終了、ナスダック総合指数も-0.03%と小幅反落。軟調な米国市場を受けて日経平均は38.99円安からスタート。前日までの8日続伸で短期的な過熱感が意識される中、為替の円安進行に一服感も見られ、序盤は売りが先行、前場中ごろには28531.54円(127.29円安)まで下落した。ただ、心理的な節目近くからは押し目買いが入り、為替も再び円安に進んだこともあり、その後は持ち直した。
個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、キーエンス<6861>、TDK<6762>、太陽誘電<6976>のハイテクが全般下落。リクルートHD<6098>、SHIFT<3697>、Sansan<4443>、ラクス<3923>のグロース(成長)株も軟調。業績予想を下方修正したLIXIL<
5938>、レーティングの格下げが確認されたニデック<6594>も大きく下落。
一方、みずほ<8411>、りそなHD<8308>の銀行が堅調で、東京海上<8766>、第一生命HD<8750>の保険が高い。業績上振れの観測報道が伝わったディスコ<6146>、ChatGPTが成長けん引役との報道が手掛かり材料となったアドバンテスト<6857>はハイテク安の中で逆行高。国内証券が目標株価を引き上げたソシオネクスト<6526>も連日で大幅な逆行高となっている。
東証スタンダード市場では業績予想を上方修正したカクヤスグループ<7686>、守谷輸送機工業<6226>が大幅高となり、業績上方修正と増配を発表した萬世電機<7565>はストップ高買い気配のまま終えた。ほか、固定資産譲渡による特別利益の計上を発表したNFK-HD<6494>も急伸した。
セクターではパルプ・紙、海運、精密機器が下落率上位に並んだ一方、保険、陸運、非鉄金属が上昇率上位に並んだ。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体の68%、対して値上がり銘柄は25%となっている。
本日の東京市場は騰勢一服の様相、前日まで8日続伸と連騰劇を見せてきた日経平均もさすがに本日は売り優勢。日経平均は前日に米金融システム不安が台頭する前の3月9日高値水準まで上昇していたことで買い戻し一服感も意識されやすく、短期的な過熱感を冷ます展開となっている。
ただ、主要企業の決算発表の本格化を前に積極的な売買は限られており、全体的に膠着感の強い状況。今後の主要企業決算の内容次第で相場は上下どちらにも動き得るだけに手掛かり材料を待つしかない段階だ。
一方、現在の米S&P500種株価指数の予想PER(株価収益率)は19倍台と割安感に乏しい。また、アナリストの業績予想のこれまでの推移をみると、一株当たり利益(EPS)
の下方修正は進んできているが、上述した予想PERの水準から下方修正の幅が十分とは言いにくい。他方、インフレ下で名目ベースの水準が切り上げられるのは当然かもしれないが、一株当たり売上高(SPS)についてはむしろ上方修正が進んでいる。なお、3月の米中堅銀行の経営破綻が起こった後もこうしたSPSの上方修正は続いている。
しかし、銀行の貸し出し態度の厳格化を通じて今後の米国経済の景気悪化を予想する向きは多く、中堅銀行の貸し渋りの影響が懸念される商業不動産ローンの行方を警戒する声も多い。こうした中、これまでのアナリストの業績予想の下方修正幅が十分とは言いにくい。今後は業績予想の下方修正の進展と株価バリュエーションの割高感への警戒感が一段と意識されやすくなる場面もありそうだ。
前日の米国市場の取引終了後にはハイテク企業で先陣を切った動画配信サービスのネットフリックスが第1四半期(1-3月)決算を発表した。売上高とEPSの実績はほぼ市場予想に一致したが、新規契約者数は175万人と市場予想(約205万人)を下回った。また、第2四半期(4-6月)のガイダンスは売上高とEPSともに市場予想を下回った。時間外取引の株価はこれを受けて一時11%急落したが、その後切り返して下げを埋めた。株価反応だけをみれば勝敗は五分五分だったとも言えるが、決算内容としてはネガティブと言わざるを得ない。今後の決算発表の本格化を前に警戒感はやや高まったといえる。
今晩の米国市場では金融のモルガン・スタンレー、ITソリューションのIBM、半導体のラム・リサーチ、ASMLホールディング、電気自動車のテスラが決算を発表する。4月に入ってから半導体関連株の強い基調は失われている。ただ、1-3月でみれば、半導体株は年後半の市況底入れを先取りする形で大きく上昇してきた。依然として反動安の余地はあると考えられ、今晩の半導体決算には注意したい。また、テスラについては4月に入ってから再び一斉値下げを発表した経緯がある。需要鈍化に対応した動きと考えられ、こちらも決算にはやや注意が必要だろう。
(仲村幸浩)
<AK>
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