ランチタイムコメント
日経平均は3日続伸、日本株底堅くも上値追いには材料不足
配信日時:2023/04/04 12:15
配信元:FISCO
*12:15JST 日経平均は3日続伸、日本株底堅くも上値追いには材料不足
日経平均は3日続伸。55.82円高の28243.97円(出来高概算5億2513万株)で前場の取引を終えている。
3日の米株式市場でダウ平均は327.00ドル高(+0.98%)と4日続伸。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が予想外の追加減産を決定。原油高に伴いエネルギー関連株が買われ、上昇してスタート。ダウ平均はエネルギー関連株が支え終日堅調に推移した一方、ハイテクが軟調で、ナスダック総合指数は終盤にかけて下げ幅を縮めたが、-0.26%と4日ぶり反落。引け味の良かった米国市場を受けて日経平均は25.78円高と続伸スタート。原油市況の高止まりや東証によるPBR1倍割れ改善要請を手掛かりとした物色からエネルギー関連を中心にバリュー(割安)株に買いが入る中、株価指数は堅調に推移し、日経平均は前場中ごろに28277.74円(89.59円高)まで上昇。一方、ハイテク・グロース株には利益確定売りが優勢で、全体の重しとなった。
個別では、任天堂<7974>、ダイキン<6367>など値がさ株の一角や、川崎汽船<9107>、郵船<9101>の大手海運が堅調。東京電力HD<9501>、関西電力<9503>の電気・ガスのほか、中外製薬<4519>、アステラス製薬<4503>の医薬品、資生堂<4911>、ファンケル<
4921>の化粧品関連などが高い。リチウムイオン電池の長寿命化に関する新技術開発状況のアップデートを前日に発表した安永<7271>が急伸し、東証プライム市場の値上がり率トップに躍り出た。象印マホービン<7965>は高進捗の第1四半期決算が好感され、Vテク<7717>は証券会社のレーティング格上げ、大栄環境<9336>は新規買い推奨でそれぞれ大幅高。東証スタンダード市場では大型受注を発表したインスペック<6656>がストップ高買い気配のままで前場を終えている。
一方、アドバンテスト<6857>、ルネサス<6723>、ソシオネクスト<6526>の半導体関連のほか、安川電機<6506>、村田製<6981>のハイテク、Sansan<4443>、SREHD<2980>、ラクスル<4384>のグロース(成長)株が下落。決算がネガティブ視されたネクステージ<3186>、しまむら<8227>、前期業績下振れ着地や株主優待廃止が嫌気されたあさひ<
3333>、月次動向の伸び率鈍化で目先の出尽くし感が先行したKeePer技研<6036>、レーティング格下げが観測されたデクセリアルズ<4980>などが大きく下落した。
セクターではその他製品、電気・ガス、海運が上昇率上位に並んだ一方、鉄鋼、倉庫・運輸、小売が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は53%となっている。
日経平均は前引け時点で3日続伸。先週末に28000円を終値で突破してから、この心理的な節目を上回った水準での推移は3日目となる。前日の米ナスダック指数が引けにかけて下げ幅を縮小したとはいえ、反落し、一時は下落率が1%を超えていたことも考慮すると、日本株は底堅い印象を受ける。
一方、3月最終週に金融システム不安の後退で投資家心理が改善する中、配当落ち日に向けた株価指数連動型ファンドの配当再投資という需給要因も追い風に海外投資家の先物の買い戻しはかなり進んだとみられ、日経平均が28500円を超えていくには材料不足とみられる。
物色動向も日替わりで投資家が強気一辺倒になりきれない様子が伝わってくる。前日の東京市場では、グロース(成長)株を中心に出遅れ感の強い銘柄ほど大きく上昇する動きが目立っていたが、本日は一転して前日買われた銘柄が利益確定売りに強く押されている。
前日は米供給管理協会(ISM)の3月製造業景況指数が発表された。結果は46.3と景況感の拡大・縮小の分岐点である50を5カ月連続で割れ、市場予想(47.5)も大きく下回った。項目別では新規受注が44.3と前月(47.7)から大幅に落ち込んだことが目立った。雇用の項目が46.9と前月(49.1)から低下したことは逼迫した労働市場および賃金インフレの緩和を示唆するものとしてポジティブにも捉えられるが、より重要なのはサービス業の賃金インフレであるため、5日に発表される非製造業版のISM景況指数を確認するまでは予断を許さないだろう。
一方、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が、5月から日量110万バレルを超える減産を年末まで実施すると発表したことによる今後の影響の方が懸念される。これまでの関係者の言動からして協調減産は意表を突くもので、原油先物価格は急伸している。もともと年後半は需要が供給を上回り、原油市況の強含みが予想されていたが、今回のサプライズ減産で今後のエネルギー市況の動向が気掛かりだ。すでに沈静化したとされてきたモノのインフレが再燃する可能性を考慮すると、金融システム不安を契機に急速に高まっていた米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換期待も修正を余儀なくされる可能性がある。
他方、新興市場に目を向けると、これまでの新規株式公開(IPO)銘柄は総じて初値形成が良好だ。初値形成後の株価推移についてはまちまちだが、全体的には強い動きの方がやや優勢の印象で、個人投資家の物色意欲は旺盛のようだ。2月期決算、3月期決算の発表本格化を前に主力株についてはしばらく方向感が出にくいとみられる。当面はIPO銘柄などボラティリティーの高い銘柄を中心とした短期割り切り物色に限られそうで、指数の上値追いには慎重になりたい。
(仲村幸浩)
<AK>
3日の米株式市場でダウ平均は327.00ドル高(+0.98%)と4日続伸。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が予想外の追加減産を決定。原油高に伴いエネルギー関連株が買われ、上昇してスタート。ダウ平均はエネルギー関連株が支え終日堅調に推移した一方、ハイテクが軟調で、ナスダック総合指数は終盤にかけて下げ幅を縮めたが、-0.26%と4日ぶり反落。引け味の良かった米国市場を受けて日経平均は25.78円高と続伸スタート。原油市況の高止まりや東証によるPBR1倍割れ改善要請を手掛かりとした物色からエネルギー関連を中心にバリュー(割安)株に買いが入る中、株価指数は堅調に推移し、日経平均は前場中ごろに28277.74円(89.59円高)まで上昇。一方、ハイテク・グロース株には利益確定売りが優勢で、全体の重しとなった。
個別では、任天堂<7974>、ダイキン<6367>など値がさ株の一角や、川崎汽船<9107>、郵船<9101>の大手海運が堅調。東京電力HD<9501>、関西電力<9503>の電気・ガスのほか、中外製薬<4519>、アステラス製薬<4503>の医薬品、資生堂<4911>、ファンケル<
4921>の化粧品関連などが高い。リチウムイオン電池の長寿命化に関する新技術開発状況のアップデートを前日に発表した安永<7271>が急伸し、東証プライム市場の値上がり率トップに躍り出た。象印マホービン<7965>は高進捗の第1四半期決算が好感され、Vテク<7717>は証券会社のレーティング格上げ、大栄環境<9336>は新規買い推奨でそれぞれ大幅高。東証スタンダード市場では大型受注を発表したインスペック<6656>がストップ高買い気配のままで前場を終えている。
一方、アドバンテスト<6857>、ルネサス<6723>、ソシオネクスト<6526>の半導体関連のほか、安川電機<6506>、村田製<6981>のハイテク、Sansan<4443>、SREHD<2980>、ラクスル<4384>のグロース(成長)株が下落。決算がネガティブ視されたネクステージ<3186>、しまむら<8227>、前期業績下振れ着地や株主優待廃止が嫌気されたあさひ<
3333>、月次動向の伸び率鈍化で目先の出尽くし感が先行したKeePer技研<6036>、レーティング格下げが観測されたデクセリアルズ<4980>などが大きく下落した。
セクターではその他製品、電気・ガス、海運が上昇率上位に並んだ一方、鉄鋼、倉庫・運輸、小売が下落率上位となった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の42%、対して値下がり銘柄は53%となっている。
日経平均は前引け時点で3日続伸。先週末に28000円を終値で突破してから、この心理的な節目を上回った水準での推移は3日目となる。前日の米ナスダック指数が引けにかけて下げ幅を縮小したとはいえ、反落し、一時は下落率が1%を超えていたことも考慮すると、日本株は底堅い印象を受ける。
一方、3月最終週に金融システム不安の後退で投資家心理が改善する中、配当落ち日に向けた株価指数連動型ファンドの配当再投資という需給要因も追い風に海外投資家の先物の買い戻しはかなり進んだとみられ、日経平均が28500円を超えていくには材料不足とみられる。
物色動向も日替わりで投資家が強気一辺倒になりきれない様子が伝わってくる。前日の東京市場では、グロース(成長)株を中心に出遅れ感の強い銘柄ほど大きく上昇する動きが目立っていたが、本日は一転して前日買われた銘柄が利益確定売りに強く押されている。
前日は米供給管理協会(ISM)の3月製造業景況指数が発表された。結果は46.3と景況感の拡大・縮小の分岐点である50を5カ月連続で割れ、市場予想(47.5)も大きく下回った。項目別では新規受注が44.3と前月(47.7)から大幅に落ち込んだことが目立った。雇用の項目が46.9と前月(49.1)から低下したことは逼迫した労働市場および賃金インフレの緩和を示唆するものとしてポジティブにも捉えられるが、より重要なのはサービス業の賃金インフレであるため、5日に発表される非製造業版のISM景況指数を確認するまでは予断を許さないだろう。
一方、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」が、5月から日量110万バレルを超える減産を年末まで実施すると発表したことによる今後の影響の方が懸念される。これまでの関係者の言動からして協調減産は意表を突くもので、原油先物価格は急伸している。もともと年後半は需要が供給を上回り、原油市況の強含みが予想されていたが、今回のサプライズ減産で今後のエネルギー市況の動向が気掛かりだ。すでに沈静化したとされてきたモノのインフレが再燃する可能性を考慮すると、金融システム不安を契機に急速に高まっていた米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ転換期待も修正を余儀なくされる可能性がある。
他方、新興市場に目を向けると、これまでの新規株式公開(IPO)銘柄は総じて初値形成が良好だ。初値形成後の株価推移についてはまちまちだが、全体的には強い動きの方がやや優勢の印象で、個人投資家の物色意欲は旺盛のようだ。2月期決算、3月期決算の発表本格化を前に主力株についてはしばらく方向感が出にくいとみられる。当面はIPO銘柄などボラティリティーの高い銘柄を中心とした短期割り切り物色に限られそうで、指数の上値追いには慎重になりたい。
(仲村幸浩)
<AK>
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