後場の投資戦略
今週に注目イベント控えるなか上値の重い展開続く
配信日時:2023/01/30 12:22
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27473.75;+91.19TOPIX;1985.42;+2.76
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比55円高の27415円。本日の日経平均株価は、前週末終値比でほぼ変わらずから取引を開始した。その後、一時マイナスに転じるも切り返し、上げ幅を広げる展開を見せた。ただ、今週に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えて、徐々に模様眺めムードを強めてくる展開を予想する声が市場からは多く聞かれている。
新興市場でも堅調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートした後、朝方に上げ幅を広げた。ただ、前場中ごろからは上値の重い展開となり上げ幅を縮小する動きを見せた。前週末の米国株が堅調に推移したことは国内の個人投資家心理にポジティブに働いている。また、米長期金利は引き続き低水準で推移しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けやすい地合いが継続。前引け時点で東証マザーズ指数が0.69%高、東証グロース市場Core指数が1.37%高となっており、時価総額上位銘柄中心に物色が向かっている。
さて、明日31日から2月1日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
市場では98%の確率で0.25ptの利上げが織り込まれており、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は4.5-4.75%となる見通し。予想通りなら利上げ幅は2会合連続で縮小する。米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は20日の講演で「今後は25bpの利上げ幅が適切になるだろう」と述べており、これまでのFRB高官の発言から見ても利上げ幅自体は予想通りとなるだろう。
市場では、パウエル議長の記者会見に注目が集まっている。FRB高官の中で年内の利下げを示唆している者は現時点でいない。パウエル議長は政策金利を当面、高水準に維持して物価上昇圧力が抑制されたと確信するまで金融緩和に転じることはないと表明する公算が大きいとみられている。市場とFRB及びパウエル議長との間の乖離がどのように埋められるかが焦点となろう。
ただ、パウエル議長はリセッション回避とインフレ抑制両方に取り組んでいるがうまくいかない可能性も高い、とブルームバーグでは報じられている。世界2位の経済大国である中国が経済活動を再開させる中で石油価格高騰とインフレが再燃、FRBは政策金利を据え置いた後年内に再び利上げに追い込まれるかもしれないと示唆している。
また、引き締めスタンスに固執することでFRBの予想以上に失業率が上昇する可能性もあるという。さらに、ブルームバーグが今月行った調査によれば、エコノミストは1年間に米経済がリセッションに陥る確率を65%とみているようだ。
FOMCの翌日には、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)が政策金利をいずれも0.5ポイント引き上げる可能性が高い。ブラジル中銀は今週、政策金利を据え置く見通しである。3日には米1月雇用統計、米1月ISMサービス業景気指数の結果発表も控えている。こうした中、企業決算が国内外で本格化する。ハイテク企業や巨大テックGAFAMの決算には非常に注目が集まっており、低調な内容となれば投資家心理の悪化は避けられない。
とにかく、今週は注目すべき材料が多く、上下どちらかに大きく動く可能性があるため、あまりポジションを持たずに相場を見守っておくほうが無難か。他方で、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の分類の「5類」への引き下げに合わせて海外からの入国者への水際対策を見直す方針である。引き続き、インバウンド増加に伴って旅行関連や人流増加に伴う消費が直結する関連企業には注目しておきたい。さて、後場の日経平均は、プラス圏での堅調推移が続くか。米株先物の動向を横目に、決算発表を終えた銘柄中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
日経平均;27473.75;+91.19TOPIX;1985.42;+2.76
[後場の投資戦略]
シカゴ日経225先物清算値は大阪比55円高の27415円。本日の日経平均株価は、前週末終値比でほぼ変わらずから取引を開始した。その後、一時マイナスに転じるも切り返し、上げ幅を広げる展開を見せた。ただ、今週に米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催を控えて、徐々に模様眺めムードを強めてくる展開を予想する声が市場からは多く聞かれている。
新興市場でも堅調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートした後、朝方に上げ幅を広げた。ただ、前場中ごろからは上値の重い展開となり上げ幅を縮小する動きを見せた。前週末の米国株が堅調に推移したことは国内の個人投資家心理にポジティブに働いている。また、米長期金利は引き続き低水準で推移しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株を手掛けやすい地合いが継続。前引け時点で東証マザーズ指数が0.69%高、東証グロース市場Core指数が1.37%高となっており、時価総額上位銘柄中心に物色が向かっている。
さて、明日31日から2月1日にかけて米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。
市場では98%の確率で0.25ptの利上げが織り込まれており、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は4.5-4.75%となる見通し。予想通りなら利上げ幅は2会合連続で縮小する。米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は20日の講演で「今後は25bpの利上げ幅が適切になるだろう」と述べており、これまでのFRB高官の発言から見ても利上げ幅自体は予想通りとなるだろう。
市場では、パウエル議長の記者会見に注目が集まっている。FRB高官の中で年内の利下げを示唆している者は現時点でいない。パウエル議長は政策金利を当面、高水準に維持して物価上昇圧力が抑制されたと確信するまで金融緩和に転じることはないと表明する公算が大きいとみられている。市場とFRB及びパウエル議長との間の乖離がどのように埋められるかが焦点となろう。
ただ、パウエル議長はリセッション回避とインフレ抑制両方に取り組んでいるがうまくいかない可能性も高い、とブルームバーグでは報じられている。世界2位の経済大国である中国が経済活動を再開させる中で石油価格高騰とインフレが再燃、FRBは政策金利を据え置いた後年内に再び利上げに追い込まれるかもしれないと示唆している。
また、引き締めスタンスに固執することでFRBの予想以上に失業率が上昇する可能性もあるという。さらに、ブルームバーグが今月行った調査によれば、エコノミストは1年間に米経済がリセッションに陥る確率を65%とみているようだ。
FOMCの翌日には、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)が政策金利をいずれも0.5ポイント引き上げる可能性が高い。ブラジル中銀は今週、政策金利を据え置く見通しである。3日には米1月雇用統計、米1月ISMサービス業景気指数の結果発表も控えている。こうした中、企業決算が国内外で本格化する。ハイテク企業や巨大テックGAFAMの決算には非常に注目が集まっており、低調な内容となれば投資家心理の悪化は避けられない。
とにかく、今週は注目すべき材料が多く、上下どちらかに大きく動く可能性があるため、あまりポジションを持たずに相場を見守っておくほうが無難か。他方で、政府は新型コロナウイルスの感染症法上の分類の「5類」への引き下げに合わせて海外からの入国者への水際対策を見直す方針である。引き続き、インバウンド増加に伴って旅行関連や人流増加に伴う消費が直結する関連企業には注目しておきたい。さて、後場の日経平均は、プラス圏での堅調推移が続くか。米株先物の動向を横目に、決算発表を終えた銘柄中心に物色が継続するか注目しておきたい。
(山本泰三)
<AK>
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