トヨタ約13年ぶり社長交代、豊田氏は会長に 電動化を加速
[東京 26日 ロイター] - トヨタ自動車は26日、佐藤恒治執行役員(53)が4月1日付で社長に昇格し、豊田章男社長(66)が代表権のある会長に就任する人事を発表した。およそ13年ぶりに創業家出身者以外が社長に就き、自動車の電動化、IT化時代に必要な変革を加速する。
自社のインターネット番組に出演した豊田氏は、佐藤氏を次期社長に選んだ理由として若さと車好きという点を挙げ、「新チームのミッションはトヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすること」とした。「私にはできないことも新チームならできると思う」と述べた。
豊田氏は世界金融危機でトヨタが赤字に転落した直後の2009年6月、14年ぶりに創業家出身者として社長に就任。翌10年には米国で大量のリコール問題、11年には東日本大震災が発生して難しいかじ取りを迫られたが、22年3月期には6年ぶりに営業最高益を更新した。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)と世界販売台数の首位を争う一方で、電気自動車(EV)市場が急速に拡大する中、専業の米テスラや中国メーカーなどと比べて出遅れ感も指摘されてきた。豊田社長は「私自身はどこまで行っても車屋。車屋だからこそトヨタの変革を進めることができた。しかし車屋を超えられない。それが私の限界でもある」と語った。
佐藤氏は1992年3月に早稲田大学理工学部機械工学科卒業、4月トヨタに入社。現在、チーフ・ブランディング・オフィサーのほか、レクサス・インターナショナルとガズーレーシングカンパニーのプレジデントを務めている。
番組に共演した佐藤氏は「車の本質的な価値を守り、新しいモビリティの形を提案したい」と語った。
ハイブリッド車「プリウス」などの開発を主導した内山田竹志会長は退任する。豊田社長は社長交代を決めた引き金が内山田会長の退任表明だったことを明らかにした上で、「トヨタの変革をさらに進めるためには私が会長となり、新社長をサポートする形が一番良いと考えた」と語った。