後場の投資戦略
更なる下落シナリオは現実味を帯びている?
配信日時:2022/12/26 12:25
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;26369.77;+134.52TOPIX;1900.06;+2.12
[後場の投資戦略]
本日の日経平均株価は、プラス圏での堅調もみ合い展開が続いている。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はやや買いが先行。先週の大幅な下落に対する自律反発といったところで寄り付き後に上げ幅を3桁に広げた。ただ、26日は米国のほか主要な株式市場がクリスマスの振替で休場となることから、海外勢のフローは限られ薄商いになると見込まれている。
一方、新興市場では軟調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタート。その後は、マザーズ指数が軟調もみ合い展開に、東証グロース市場Core指数は前週末終値付近まで下げ幅を縮小して、プラス圏に浮上する場面も見られた。年末特有の個人投資家の損出し売りもすでに一巡してきたと推察され、需給面での重荷は大分和らいでいる。ただ、米長期金利は上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株は手掛けにくい展開が続いている。前引け時点で東証マザーズ指数が0.35%安、東証グロース市場Core指数が0.09%安。
さて、前週は世界的に様々なリスクが散見されるなか、日銀金融政策決定会合は想定外のネガティブサプライズとなった。前週はこの話題で持ちきりだったため、詳細は前週の当欄を見てほしいため詳細な解説は控える。ここで注目しておきたいことは、従来の月曜日当欄で述べてきたように市場が動揺する材料がいきなり飛び込んできた事実である。
引き続き、雇用統計やインフレ指標、FRB高官の発言、地政学リスクの動向など、警戒する材料は多い。上記材料の中で、今後市場にとってネガティブな材料が出てくる可能性もあろう。また、何度も言うように、暗号資産業界に衝撃を与えた暗号資産取引所FTX破綻と似たことが、株式市場でもいきなり起きる可能性は0ではない。
FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、11月の総合指数が前年同月比で1年強ぶりの低い伸びとなった。ただ、パウエル議長率いるFRBにとって、賃金は急ペースでの上昇が続いている。利上げサイクルの終盤に近づいているものの、物価上昇圧力が持続的な減速トレンドになるまで、金利は長期にわたり高水準に据え置かれる見通しとなっている。
前週の記事で恐縮だが、22日には「米モルガン・スタンレーやJPモルガンなどの有力ストラテジストは、来年上期に株はまたも下落すると警戒感を示す。」とブルームバーグが報じている。経済成長の鈍化や高インフレが企業利益に影響を及ぼすだけでなく、中央銀行がタカ派姿勢を維持していることが背景となる。弱気派として知られるモルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、「来年1-3月期にS&P500はさらに最大21%落ち込む可能性もある。」と示唆している。
また、電気自動車(EV)メーカー米テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏は株式市場で「集団パニック」が起きるリスクがあると警鐘を鳴らしている。マスク氏はポッドキャストで、景気後退が間近で2009年のような規模の景気悪化になるとの自らの見解をあらためて示したようだ。「下降相場では、かなり極端なことが起こり得る」と主張したうえで、「不安定な株式市場で証拠金負債を持たないようにアドバイスしたい。」と語ったとブルームバーグで報じている。
筆者や多くの市場関係者が従来から警戒するように、来年初めにかけて更に下落するというシナリオが現実味を帯びてきたといっても過言ではない。本日は海外勢の多くがすでにクリスマス休暇などに入って全体的に商いが薄く、年末ということもあり今年最終週となる今週にさらに大きく動くことは考えにくい。筆者は、今週の動きを注視しつつも、来年どのように株式市場が推移していくかじっくり考える時間としたい。さて、後場の日経平均はもみ合い展開が続くか。年末で取引参加者の減少が続くなか、日経平均がプラス圏を維持できるかに注目しておきたい。
<AK>
日経平均;26369.77;+134.52TOPIX;1900.06;+2.12
[後場の投資戦略]
本日の日経平均株価は、プラス圏での堅調もみ合い展開が続いている。シカゴ先物にサヤ寄せする格好から、本日の日経平均はやや買いが先行。先週の大幅な下落に対する自律反発といったところで寄り付き後に上げ幅を3桁に広げた。ただ、26日は米国のほか主要な株式市場がクリスマスの振替で休場となることから、海外勢のフローは限られ薄商いになると見込まれている。
一方、新興市場では軟調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は下落してスタート。その後は、マザーズ指数が軟調もみ合い展開に、東証グロース市場Core指数は前週末終値付近まで下げ幅を縮小して、プラス圏に浮上する場面も見られた。年末特有の個人投資家の損出し売りもすでに一巡してきたと推察され、需給面での重荷は大分和らいでいる。ただ、米長期金利は上昇しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株は手掛けにくい展開が続いている。前引け時点で東証マザーズ指数が0.35%安、東証グロース市場Core指数が0.09%安。
さて、前週は世界的に様々なリスクが散見されるなか、日銀金融政策決定会合は想定外のネガティブサプライズとなった。前週はこの話題で持ちきりだったため、詳細は前週の当欄を見てほしいため詳細な解説は控える。ここで注目しておきたいことは、従来の月曜日当欄で述べてきたように市場が動揺する材料がいきなり飛び込んできた事実である。
引き続き、雇用統計やインフレ指標、FRB高官の発言、地政学リスクの動向など、警戒する材料は多い。上記材料の中で、今後市場にとってネガティブな材料が出てくる可能性もあろう。また、何度も言うように、暗号資産業界に衝撃を与えた暗号資産取引所FTX破綻と似たことが、株式市場でもいきなり起きる可能性は0ではない。
FRBがインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数は、11月の総合指数が前年同月比で1年強ぶりの低い伸びとなった。ただ、パウエル議長率いるFRBにとって、賃金は急ペースでの上昇が続いている。利上げサイクルの終盤に近づいているものの、物価上昇圧力が持続的な減速トレンドになるまで、金利は長期にわたり高水準に据え置かれる見通しとなっている。
前週の記事で恐縮だが、22日には「米モルガン・スタンレーやJPモルガンなどの有力ストラテジストは、来年上期に株はまたも下落すると警戒感を示す。」とブルームバーグが報じている。経済成長の鈍化や高インフレが企業利益に影響を及ぼすだけでなく、中央銀行がタカ派姿勢を維持していることが背景となる。弱気派として知られるモルガン・スタンレーのマイケル・ウィルソン氏は、「来年1-3月期にS&P500はさらに最大21%落ち込む可能性もある。」と示唆している。
また、電気自動車(EV)メーカー米テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏は株式市場で「集団パニック」が起きるリスクがあると警鐘を鳴らしている。マスク氏はポッドキャストで、景気後退が間近で2009年のような規模の景気悪化になるとの自らの見解をあらためて示したようだ。「下降相場では、かなり極端なことが起こり得る」と主張したうえで、「不安定な株式市場で証拠金負債を持たないようにアドバイスしたい。」と語ったとブルームバーグで報じている。
筆者や多くの市場関係者が従来から警戒するように、来年初めにかけて更に下落するというシナリオが現実味を帯びてきたといっても過言ではない。本日は海外勢の多くがすでにクリスマス休暇などに入って全体的に商いが薄く、年末ということもあり今年最終週となる今週にさらに大きく動くことは考えにくい。筆者は、今週の動きを注視しつつも、来年どのように株式市場が推移していくかじっくり考える時間としたい。さて、後場の日経平均はもみ合い展開が続くか。年末で取引参加者の減少が続くなか、日経平均がプラス圏を維持できるかに注目しておきたい。
<AK>
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