注目トピックス 日本株
いい生活 Research Memo(1):大幅な増収増益、不動産クラウドを用いたソリューション展開で高成長ステージへ
配信日時:2022/12/15 15:41
配信元:FISCO
■要約
いい生活<3796>は、賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介などを行っている不動産事業者向けにクラウドサービスを提供するSaaS※企業である。「テクノロジーと心で、たくさんのいい生活を」というミッションの実現に向け、「心地いいくらしが循環する、社会のしくみをつくる」というビジョンを掲げている。不動産領域に特化し、取引に関連するあらゆる情報(物件情報、契約・成約情報、顧客情報等)を一元管理、ワンストップで扱えるクラウド型プラットフォーム(アプリケーション実行やデータ保存ができる基盤をWebで展開しているもの)を用いたサービスを提供し、成長を続けている。同社のサービスは不動産業界に特有の現場業務に関わる様々な課題を解決し、効率化するための機能が多数あり、効率化と収益向上を課題とする不動産関係者に注目されているサブスクリプションサービスである(月額利用料収入)。加えて同社は、顧客側のIT人材が不足している場合などに対応すべく、ソリューションサービスも提供している。システムの初期設定、導入・運用支援、システムツールの受託開発などを行うサービスである。2017年には弁護士ドットコム<6027>、2018年には SMBC GMO PAYMENT 株式会社、2019年にはGMOクラウド株式会社(現GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)<3788>、また2022年にはNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と業務提携をするなど積極的な業務提携を行い、事業基盤の拡大を図っている。
※SaaS(Software as a Service):提供者であるサーバー側で稼働するソフトウェアをインターネットなどを経由させることで、利用者側で必要な機能や分量のみを選択して利用できる提供形態のこと。
1. 2023年3月期第2四半期累計業績の概要
2023年3月期第2四半期累計(2022年4月−9月)の連結業績は、売上高で前年同期比10.2%増の1,287百万円、EBITDA(営業利益+減価償却費)は同23.4%増の307百万円、営業利益で同163.1%増の86百万円と2桁増収増益となった。サブスクリプションサービスについては、新規顧客開拓並びに高単価な案件の受注を獲得できたことにより、売上高が同5.8%増と好調に推移している。オンラインで効率的に不動産市場の様々な課題を解決できる同社サービスに対する引き合いが増加しているほか、新規導入に派生して受注する導入支援や運用支援案件の増加に伴い、ソリューションの売上高も同39.2%増とあらゆるサービスで増収となった。利益面では、増収でありながら人件費・外部委託費が前年同期と同水準であったことも増益の要因となった。
2. 2023年3月期通期の業績は拡大、売上は過去最高を更新する見通し
2023年3月期通期の業績予想は期初より据え置き、売上高で前期比9.0%増の2,653百万円、営業利益で同8.9%増の180百万円としている。売上高・営業利益ともに増収増益、通期では売上高で過去最高を更新する見通しだ。不動産取引市場は、新型コロナウイルス感染拡大を契機として在宅勤務の増加及び在宅時間の長期化を受けて需要が高まっている。また、ここにきて不動産関連法改正が頻繁に行われている。なかでも2021年6月から施行されている賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)では、主に不動産業者と不動産オーナーとの間のトラブルを防止してオーナーの利益を守るための規定が設けられている。賃貸住宅管理業者に対して及ぶ規制は、1)一定要件(想定管理戸数が200戸以上)を満たす場合、国土交通大臣への「登録」が必要になる、2)不動産オーナーとの管理受託契約の締結前に重要事項説明を義務付ける、3)有資格者や実務経験者の配置を義務付ける、4)財産の分別管理、5)オーナーへの定期報告義務、等があり、これらが規定されたことにより、賃貸住宅管理業者もシステムを活用していかないと適法に業務を行えないのではないかという懸念があり、需要も高まっている。これらの課題を解決するうえで、同社の提供するサービスは課題を解決するだけでなく、利便性が高く、効率的に業務を行えるという利点があるため、受注状況は順調に推移する見通しだ。
3. 中長期の成長戦略の概要
同社は中期的な数値目標として、顧客法人数5,000社、平均顧客単価(月額)10万円以上を目標にしている。成長戦略については、「顧客基盤の拡大」「収益力の強化」「将来への布石」を挙げ、サービスの進化及び導入支援顧客サポート体制の充実を目指す。利用法人数が右肩上がりであることからも、業務の作業効率の向上・費用対効果は実証済みであり、同社のサービスに興味を持つ潜在的な顧客へのアプローチを続けていく。「収益力の強化」では、ワンストップ提供による顧客単価上昇、運用支援サービスレベル向上による LTV(顧客生涯価値)拡大を行う。不動産管理業はサービスの利用期間が長期にわたるため、LTVの高い顧客層である。同社のサービスはSaaSのため、複数のサービスを一体化して利用できる状態であることから高い全体最適性を実現できる強みを生かして顧客満足度を高めることができる。「将来への布石」では、不動産プラットフォームへの進化を成長戦略として挙げている。中長期的に持続的かつ安定的な事業成長の確立を図るため、市場特化×SaaS×一元管理の最大化による高成長を推進する方針である。加えて、豊富なサービス群とソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを提供することで、競合他社との差別化を図っていく。市場構造の変化を追い風にして同社の成長ポテンシャルは高まっており、需要の増加に的確に対応することができれば、今後も年率2桁台の成長を継続していくことは可能と弊社では見ている。
4. 安定した配当の実施
同社は株主への利益還元策の一環として配当を経営の重要課題の1つと位置付けており、長期的な企業価値拡大のための内部留保充実とのバランスを総合的に判断し、当面の間は安定的かつ継続的な配当に努めていくことを基本方針としている。
■Key Points
・2023年3月期第2四半期累計業績は、売上高・営業利益ともに増収増益
・市場構造の変化に対する需要は引き続き旺盛で、2023年3月期は売上高は過去最高を更新する見通し
・不動産業界に特化した既存サービスと新サービスを強みに成長戦略を展開し、今後も2桁成長を目指す
・経営安定による長期的な連続配当を指標とする
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石灰達夫)
<NS>
いい生活<3796>は、賃貸管理、賃貸仲介、売買仲介などを行っている不動産事業者向けにクラウドサービスを提供するSaaS※企業である。「テクノロジーと心で、たくさんのいい生活を」というミッションの実現に向け、「心地いいくらしが循環する、社会のしくみをつくる」というビジョンを掲げている。不動産領域に特化し、取引に関連するあらゆる情報(物件情報、契約・成約情報、顧客情報等)を一元管理、ワンストップで扱えるクラウド型プラットフォーム(アプリケーション実行やデータ保存ができる基盤をWebで展開しているもの)を用いたサービスを提供し、成長を続けている。同社のサービスは不動産業界に特有の現場業務に関わる様々な課題を解決し、効率化するための機能が多数あり、効率化と収益向上を課題とする不動産関係者に注目されているサブスクリプションサービスである(月額利用料収入)。加えて同社は、顧客側のIT人材が不足している場合などに対応すべく、ソリューションサービスも提供している。システムの初期設定、導入・運用支援、システムツールの受託開発などを行うサービスである。2017年には弁護士ドットコム<6027>、2018年には SMBC GMO PAYMENT 株式会社、2019年にはGMOクラウド株式会社(現GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)<3788>、また2022年にはNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と業務提携をするなど積極的な業務提携を行い、事業基盤の拡大を図っている。
※SaaS(Software as a Service):提供者であるサーバー側で稼働するソフトウェアをインターネットなどを経由させることで、利用者側で必要な機能や分量のみを選択して利用できる提供形態のこと。
1. 2023年3月期第2四半期累計業績の概要
2023年3月期第2四半期累計(2022年4月−9月)の連結業績は、売上高で前年同期比10.2%増の1,287百万円、EBITDA(営業利益+減価償却費)は同23.4%増の307百万円、営業利益で同163.1%増の86百万円と2桁増収増益となった。サブスクリプションサービスについては、新規顧客開拓並びに高単価な案件の受注を獲得できたことにより、売上高が同5.8%増と好調に推移している。オンラインで効率的に不動産市場の様々な課題を解決できる同社サービスに対する引き合いが増加しているほか、新規導入に派生して受注する導入支援や運用支援案件の増加に伴い、ソリューションの売上高も同39.2%増とあらゆるサービスで増収となった。利益面では、増収でありながら人件費・外部委託費が前年同期と同水準であったことも増益の要因となった。
2. 2023年3月期通期の業績は拡大、売上は過去最高を更新する見通し
2023年3月期通期の業績予想は期初より据え置き、売上高で前期比9.0%増の2,653百万円、営業利益で同8.9%増の180百万円としている。売上高・営業利益ともに増収増益、通期では売上高で過去最高を更新する見通しだ。不動産取引市場は、新型コロナウイルス感染拡大を契機として在宅勤務の増加及び在宅時間の長期化を受けて需要が高まっている。また、ここにきて不動産関連法改正が頻繁に行われている。なかでも2021年6月から施行されている賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)では、主に不動産業者と不動産オーナーとの間のトラブルを防止してオーナーの利益を守るための規定が設けられている。賃貸住宅管理業者に対して及ぶ規制は、1)一定要件(想定管理戸数が200戸以上)を満たす場合、国土交通大臣への「登録」が必要になる、2)不動産オーナーとの管理受託契約の締結前に重要事項説明を義務付ける、3)有資格者や実務経験者の配置を義務付ける、4)財産の分別管理、5)オーナーへの定期報告義務、等があり、これらが規定されたことにより、賃貸住宅管理業者もシステムを活用していかないと適法に業務を行えないのではないかという懸念があり、需要も高まっている。これらの課題を解決するうえで、同社の提供するサービスは課題を解決するだけでなく、利便性が高く、効率的に業務を行えるという利点があるため、受注状況は順調に推移する見通しだ。
3. 中長期の成長戦略の概要
同社は中期的な数値目標として、顧客法人数5,000社、平均顧客単価(月額)10万円以上を目標にしている。成長戦略については、「顧客基盤の拡大」「収益力の強化」「将来への布石」を挙げ、サービスの進化及び導入支援顧客サポート体制の充実を目指す。利用法人数が右肩上がりであることからも、業務の作業効率の向上・費用対効果は実証済みであり、同社のサービスに興味を持つ潜在的な顧客へのアプローチを続けていく。「収益力の強化」では、ワンストップ提供による顧客単価上昇、運用支援サービスレベル向上による LTV(顧客生涯価値)拡大を行う。不動産管理業はサービスの利用期間が長期にわたるため、LTVの高い顧客層である。同社のサービスはSaaSのため、複数のサービスを一体化して利用できる状態であることから高い全体最適性を実現できる強みを生かして顧客満足度を高めることができる。「将来への布石」では、不動産プラットフォームへの進化を成長戦略として挙げている。中長期的に持続的かつ安定的な事業成長の確立を図るため、市場特化×SaaS×一元管理の最大化による高成長を推進する方針である。加えて、豊富なサービス群とソリューションを組み合わせるなど付加価値の高いサービスを提供することで、競合他社との差別化を図っていく。市場構造の変化を追い風にして同社の成長ポテンシャルは高まっており、需要の増加に的確に対応することができれば、今後も年率2桁台の成長を継続していくことは可能と弊社では見ている。
4. 安定した配当の実施
同社は株主への利益還元策の一環として配当を経営の重要課題の1つと位置付けており、長期的な企業価値拡大のための内部留保充実とのバランスを総合的に判断し、当面の間は安定的かつ継続的な配当に努めていくことを基本方針としている。
■Key Points
・2023年3月期第2四半期累計業績は、売上高・営業利益ともに増収増益
・市場構造の変化に対する需要は引き続き旺盛で、2023年3月期は売上高は過去最高を更新する見通し
・不動産業界に特化した既存サービスと新サービスを強みに成長戦略を展開し、今後も2桁成長を目指す
・経営安定による長期的な連続配当を指標とする
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石灰達夫)
<NS>
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