中国PPI、10月は20年12月以来の下落 CPIは前年比2.1%上昇
[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が9日発表した10月の生産者物価指数(PPI)は前年比1.3%下落し、2020年12月以来のマイナスとなった。厳しい新型コロナウイルス規制や不動産部門の低迷を背景に、内需の減速と生産活動の混乱が浮き彫りになった。
PPIの市場予想は1.5%下落、9月は0.9%上昇だった。
統計局は、PPIの下落傾向は前年の高い水準や資源価格の下落を一部反映していると説明した。
内訳は石炭採掘・選炭が16.5%下落、非鉄金属の精錬・圧延が21.1%減と、どちらも前月から下げが加速した。
10月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%上昇。伸びは29カ月ぶりの高水準だった9月の2.8%から鈍化し、市場予想の2.4%も下回った。食料価格の下落が全体の伸び鈍化につながった。コアインフレ率は0.6%で9月と変わらなかった。
食品価格は前年比7.0%上昇し、前月の8.8%上昇から減速。9月に12.1%上昇だった生鮮野菜価格は8.1%下落した。
半面、CPIの主要項目である豚肉価格は前年比51.8%上昇し、9月の36%上昇から加速した。
ジョーンズ・ラング・ラサールのチーフエコノミスト兼調査部門責任者、ブルース・パン氏は「内需低迷や輸出軟化といった悪材料は、中国がデフレに陥ることを警戒させる」と述べた。
中国経済はコロナ感染再拡大やそれに伴う厳格な行動規制に打撃を受けているほか、10月の貿易統計で輸出入が同時に減少するなど成長の原動力不足が鮮明になっている。
野村のアナリストは顧客向けノートで「中国と他の工業国のPPIが大きく乖離していることは、中国が製造業で競争力を幾分獲得しており、中国の輸出を後押しする可能性を意味する」と指摘。「しかし、世界成長の悪化は外需をへこませている」とした。
キャピタル・エコノミクスの中国担当シニアエコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は「結局のところ、インフレが中国の主要な政策制約になることはないだろう。つまり、人民元の対ドル減価を減速させるための中国人民銀行(中央銀行)の取り組みなど、今のところ金融緩和の障壁は他にもある」と語った。