今年の新興国投資、中国株敬遠なら相対的に傷浅く 海外勢が売り
[ロンドン 26日 ロイター] - 今年の新興国株式市場は総じて下落しているが、中国株を敬遠した投資家は相対的に傷が浅くなっている。今週の中国株下落でこうした傾向はさらに強まっている。
iシェアーズ新興市場(中国を除く)ETFは今年25%下落と、2017年の取引開始以降で最悪の下げを記録しているが、中国株を組み込んだiシェアーズMSCI新興市場ETFの下落率は30%に達している。
上海と深センの株式市場に上場する有力企業300銘柄で構成するCSI300指数は1月から35%下落。
24日の市場では、中国の新指導部が経済成長を犠牲にしてイデオロギー重視の政策を優先するとの懸念が広がり、海外勢が中国資産を投げ売りした。
厳格な新型コロナウイルス規制や不動産危機の深刻化が来年の景気回復に向けた政府の取り組みに影を落としている。
BNPパリバの中国担当チーフエコノミスト、XD・チェン氏は「共産党の新たな路線、ゼロコロナ政策の長期化、世界的な景気後退の高いリスク、地政学的な課題を踏まえると、当社の来年の経済成長予測5.3%には下振れリスクがある」と指摘。
世界最大の資産運用会社ブラックロックは、習近平総書記の3期目続投で「経済・市場の国家管理強化に道が開かれた」とし、中国資産には高いリスクプレミアムが必要になるとの見方を示した。
「中国は低成長期に入りつつあり、こうした成長見通しは、過去よりも低い市場のリターンにつながる可能性が高いという当社の見方が裏付けられた」としている。
海外勢は24日、ストックコネクト(株式相互取引)を通じて179億元(25億ドル)の中国本土株を売り越した。売り越し額は14年のストックコネクト導入以降で最大。25日は28億元(3億9000万ドル)の買い越しだった。