超長期中心に円債積み増し、ペースは「上期対比でやや加速」=22年度下期・第一生命運用計画
[東京 24日 ロイター] - 第一生命保険は2022年度下期の一般勘定運用で、中長期的なリスク削減の取り組みの一環で、円建て債券の残高の積み増しを計画している。円債買いのペースについては、上期は金利先高観から抑制していたが、下期は「やや加速させる」という。
24日に開催した資産運用計画説明会で、堀川耕平運用企画部長が明らかにした。
第一生命では上期に続き、下期も経済価値ベースの資本充足率の安定化に向け「市場関連リスクの削減を運用の1丁目1番地として、主に長期債の積み増しにより金利リスクの削減と、株式リスクの削減を進める」(堀川氏)方針だという。
このうち円債は、責任準備金対応債券の積み増しなどにより残高を増加させる。
堀川氏は、投資対象の国債は「30─40年の超長期ゾーンが基本」とした上で、ペースについては「上期はリスク削減のために粛々と買うなか、金利が上昇するとの見方を持っていたので積み増しのスピードはある程度抑えていた。それを下期はやや加速するような形で、多少のメリハリをつける」と述べた。
日銀の金融政策について、同社では「少なくとも年度いっぱいはイールドカーブ・コントロール(YCC)政策は守られ、政策変更はないと思っている。ただし市場の需給や海外投資家を中心とした思惑で一時的に金利が上昇することは過去にもあったし、今後も無いとは言い切れない」との想定を置いている。
また外債については、為替ヘッジ付き・オープンともに「金利や為替の水準次第」として下期の増減の方向性を明示していないが、同社では米国など海外金利の上昇に伴って第1・四半期だけで6000億円減らすなど、上期はヘッジ外債を売却、またオープン外債の残高も小幅に縮小させた。「ヘッジコストは(年度初め)当初に我々が思ったよりも大分上がってきている」(堀川氏)という。
国内株式は、経済価値ベースの資本充足率の安定化に向けた株式リスクの削減を目的に売却を行うため、上期に続き、残高は減少を見込む。一方、外国株式の増減はリスク許容度や株価水準次第という。
このほかオルタナティブ資産は、上期に続き残高を積やす計画。ヘッジファンドではポートフォリオ全体のリスク分散につながる戦略に投資、プライベートエクイティは収益力向上を目指してバイアウトファンド・インフラファンド投資を強化する。
不動産も、用途分散を目的とした新規投資や入れ替えにより、上期に続いて残高は増加させる方針。
第一生命の一般勘定の資産残高は、3月末時点で37兆4623億円。うち外貨建て資産は9兆5209億円(25.4%)。
22年度下期の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。▲はマイナス。
日本10年国債利回り ▲0.10―0.40%(0.25%)
米10年国債利回り 3.3―4.5%(3.8%)
日経平均株価 2万3000―3万3000円(2万8000円)
NYダウ 2万5000─3万5000ドル(3万ドル)
ドル/円 135―155円(145円)
ユーロ/円 130―150円(141円)
(植竹知子)