注目トピックス 日本株
Appier Research Memo(1):最先端のAIプラットフォームの提供により顧客のROI向上を目指す
配信日時:2022/10/19 16:41
配信元:FISCO
■要約
Appier Group<4180>は、人工知能(以下、AI)を使って顧客のマーケティング投資に対して予測可能な売上に貢献するソリューションを提供するSaaS※1企業である。潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセス(以下、フル・ファネル※2)をカバーする包括的なAIソリューションをワンストップで提供している。同社のソリューション間の連携により、分断された顧客データを簡単に統合し、データと行動を価値に変換することで、顧客にさらなるROI※3の向上をもたらしている。また、同社のソリューションは、AI導入に必要な開発期間とリソースを大幅に短縮することができる。マーケティング担当者にとっては、保有しているユーザーデータを活用し、コンシューマージャーニーの「フルファネル」に対応することで、日々の課題に合わせ、様々な手作業を自動化し、より戦略的な意思決定に集中できるようになる。また、経営層においては、CMO(Chief Marketing Officer)をはじめとする経営幹部が、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を活用することで、マーケティングの意思決定を、過去のデータに基づく受動的な対応から、消費者の行動を予測した能動的な意思決定に変化させることができ、その結果、重要な場面でのより効果的な関与や機会損失の最小化を可能にする。同社のソリューションは、マーケティングとセールスの幅広い事例に対応し、顧客のマーケティング投資に対して測定可能なリターンを提供するため、効率的な新規顧客獲得と既存顧客の堅調な維持・拡大により、事業の成長を持続させている。
※1 Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。
※2 「ファネル」は「じょうご」の意味。顧客の商品・サービスの購入における行動フローを表すマーケティング用語。
※3 マーケティングへの投資額に対して得た利益の比率。
1. 2022年12月期第2四半期累計業績の概要
2022年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益が前年同期比54.2%増の8,557百万円、EBITDAが475百万円(前年同期はマイナス144百万円)、営業損失が92百万円(同783百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失が233百万円(同858百万円の損失)となった。既存顧客の利用が継続して拡大したことに加え、新規顧客の獲得に注力した結果、売上収益は当初の目標を上回って着地した。また、米国及びEMEAの売上収益は2022年12月期第2四半期(4~6月)において前年同期比9倍超、売上収益全体に占める比率は12%と大きく伸長した。利益面では、「CrossX(クロスエックス)」のアルゴリズム精度向上に伴いマーケティングキャンペーンの効率が上がったこと、売上総利益率が比較的高い「AIQUA(アイコア)」「AiDeal(アイディール)」「AIXON(アイソン)」等の売上増加により売上総利益率が前年同期比1.3パーセント改善した結果、EBITDAは2021年12月期下期に引き続き黒字が定着し、各利益の損失幅は大幅に縮小した。
2. 2022年12月期業績の見通し
2022年12月期の連結業績予想について同社は、2022年8月に上方修正を発表した。上方修正後の予想は売上収益が前期比45.8%増の18,455百万円、EBITDAが1,068百万円、営業損失が84百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失が287百万円としている。第2四半期(4~6月)の新規顧客獲得及び既存顧客拡大が予想を上回って着地したことにより、売上収益及び各利益段階ともに同年5月に公表した上方修正を上回って推移していることを受け、2度目の上方修正となった。一方で、マクロ経済環境の影響は限定的であると考えられる。その背景として、(1) 同社のソリューションは顧客のマーケティング投資に対して予測可能なリターン(ROI)を提供し、収益成長の加速と事業インパクトを直接もたらすものであることに加えて、(2) 同社の顧客企業は大規模なエンタープライズが中心であり経済環境の変化に対しての耐性が高く事業安定性を有していること等が挙げられる。同社の国際的な地域拡大、新規顧客の獲得、既存顧客との取引拡大は継続すると想定しており、下期業績についての見通しは楽観的である。なお、営業利益については、増収及びオペレーティング・レベレッジの改善により下期に黒字化し、通期では損益分岐に近い水準を予定している。
3. 中長期的な経営戦略
事業活動におけるAIの導入状況を見てみると、AI利用の重要性に対する認識は高まっているものの、専門技術を有するスタッフの欠乏や分析対象となるデータの分断により、AIの導入を完了している企業は少ないのが現状だ。一方で、インターネットやモバイルデバイスの急速な普及とファーストパーティーデータ活用ニーズの高まり、不確実な事業環境でのROI予測の重要性などを背景に、今後もAIの重要性が高まっていくことが予想される。このような事業環境で同社は、中長期的な経営戦略として(1) AI技術の継続的な強化と新たなソリューションの開発、(2) 顧客基盤の地域及び業種拡大、(3) アップセル(既利用ソリューションの増加)・クロスセル(他ソリューションの提供)による 既存顧客との取引拡大、(4) TAM(Total Addressable Market=獲得可能な最大市場規模)の拡大、(5) M&A戦略、を掲げ、これらを推進することで事業拡大と企業価値向上を目指している。
■Key Points
・「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」というミッションの下、AIを使って顧客のマーケティング投資に対して予測可能な売上に貢献するソリューションを提供するSaaS企業
・2022年12月期第2四半期累計業績は成長と収益性を両立し、事業指標も継続的に改善
・第2四半期累計実績が上振れて着地したことから、2022年12月期業績予想を2度目の上方修正
・AI技術の強化や顧客拡大、M&A戦略などを推進することで、事業拡大と企業価値向上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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Appier Group<4180>は、人工知能(以下、AI)を使って顧客のマーケティング投資に対して予測可能な売上に貢献するソリューションを提供するSaaS※1企業である。潜在的なユーザーの予測及び獲得からユーザーの維持及び関係構築、販売に至るマーケティングのすべてのプロセス(以下、フル・ファネル※2)をカバーする包括的なAIソリューションをワンストップで提供している。同社のソリューション間の連携により、分断された顧客データを簡単に統合し、データと行動を価値に変換することで、顧客にさらなるROI※3の向上をもたらしている。また、同社のソリューションは、AI導入に必要な開発期間とリソースを大幅に短縮することができる。マーケティング担当者にとっては、保有しているユーザーデータを活用し、コンシューマージャーニーの「フルファネル」に対応することで、日々の課題に合わせ、様々な手作業を自動化し、より戦略的な意思決定に集中できるようになる。また、経営層においては、CMO(Chief Marketing Officer)をはじめとする経営幹部が、将来のユーザー行動を予測し、そこから得られる知見を活用することで、マーケティングの意思決定を、過去のデータに基づく受動的な対応から、消費者の行動を予測した能動的な意思決定に変化させることができ、その結果、重要な場面でのより効果的な関与や機会損失の最小化を可能にする。同社のソリューションは、マーケティングとセールスの幅広い事例に対応し、顧客のマーケティング投資に対して測定可能なリターンを提供するため、効率的な新規顧客獲得と既存顧客の堅調な維持・拡大により、事業の成長を持続させている。
※1 Software as a Serviceの略。インターネット等の通信ネットワークを通じて、利用者が必要なものを必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアまたはその提供形態。
※2 「ファネル」は「じょうご」の意味。顧客の商品・サービスの購入における行動フローを表すマーケティング用語。
※3 マーケティングへの投資額に対して得た利益の比率。
1. 2022年12月期第2四半期累計業績の概要
2022年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上収益が前年同期比54.2%増の8,557百万円、EBITDAが475百万円(前年同期はマイナス144百万円)、営業損失が92百万円(同783百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失が233百万円(同858百万円の損失)となった。既存顧客の利用が継続して拡大したことに加え、新規顧客の獲得に注力した結果、売上収益は当初の目標を上回って着地した。また、米国及びEMEAの売上収益は2022年12月期第2四半期(4~6月)において前年同期比9倍超、売上収益全体に占める比率は12%と大きく伸長した。利益面では、「CrossX(クロスエックス)」のアルゴリズム精度向上に伴いマーケティングキャンペーンの効率が上がったこと、売上総利益率が比較的高い「AIQUA(アイコア)」「AiDeal(アイディール)」「AIXON(アイソン)」等の売上増加により売上総利益率が前年同期比1.3パーセント改善した結果、EBITDAは2021年12月期下期に引き続き黒字が定着し、各利益の損失幅は大幅に縮小した。
2. 2022年12月期業績の見通し
2022年12月期の連結業績予想について同社は、2022年8月に上方修正を発表した。上方修正後の予想は売上収益が前期比45.8%増の18,455百万円、EBITDAが1,068百万円、営業損失が84百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失が287百万円としている。第2四半期(4~6月)の新規顧客獲得及び既存顧客拡大が予想を上回って着地したことにより、売上収益及び各利益段階ともに同年5月に公表した上方修正を上回って推移していることを受け、2度目の上方修正となった。一方で、マクロ経済環境の影響は限定的であると考えられる。その背景として、(1) 同社のソリューションは顧客のマーケティング投資に対して予測可能なリターン(ROI)を提供し、収益成長の加速と事業インパクトを直接もたらすものであることに加えて、(2) 同社の顧客企業は大規模なエンタープライズが中心であり経済環境の変化に対しての耐性が高く事業安定性を有していること等が挙げられる。同社の国際的な地域拡大、新規顧客の獲得、既存顧客との取引拡大は継続すると想定しており、下期業績についての見通しは楽観的である。なお、営業利益については、増収及びオペレーティング・レベレッジの改善により下期に黒字化し、通期では損益分岐に近い水準を予定している。
3. 中長期的な経営戦略
事業活動におけるAIの導入状況を見てみると、AI利用の重要性に対する認識は高まっているものの、専門技術を有するスタッフの欠乏や分析対象となるデータの分断により、AIの導入を完了している企業は少ないのが現状だ。一方で、インターネットやモバイルデバイスの急速な普及とファーストパーティーデータ活用ニーズの高まり、不確実な事業環境でのROI予測の重要性などを背景に、今後もAIの重要性が高まっていくことが予想される。このような事業環境で同社は、中長期的な経営戦略として(1) AI技術の継続的な強化と新たなソリューションの開発、(2) 顧客基盤の地域及び業種拡大、(3) アップセル(既利用ソリューションの増加)・クロスセル(他ソリューションの提供)による 既存顧客との取引拡大、(4) TAM(Total Addressable Market=獲得可能な最大市場規模)の拡大、(5) M&A戦略、を掲げ、これらを推進することで事業拡大と企業価値向上を目指している。
■Key Points
・「ソフトウェアをよりスマートに、AIでROIを向上させる」というミッションの下、AIを使って顧客のマーケティング投資に対して予測可能な売上に貢献するソリューションを提供するSaaS企業
・2022年12月期第2四半期累計業績は成長と収益性を両立し、事業指標も継続的に改善
・第2四半期累計実績が上振れて着地したことから、2022年12月期業績予想を2度目の上方修正
・AI技術の強化や顧客拡大、M&A戦略などを推進することで、事業拡大と企業価値向上を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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