注目トピックス 日本株
クリレスHD Research Memo(3):2023年2月期上期は、実質営業利益で約7億円の黒字化を実現
配信日時:2022/10/19 15:13
配信元:FISCO
■決算概要
2023年2月期上期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前年同期比57.7%増の54,407百万円、営業利益が同30.4%減の5,087百万円、税引前利益が同29.9%減の5,026百万円、親会社の所有者に帰属する四半期純利益が同27.2%減の3,511百万円と、協力金の減少等により表面上は増収減益となった。しかしながら、IFRS基準を採用しているクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の前期営業利益約73億円には、約113億円の協力金が含まれており、これを差し引くと実質的には約40億円の赤字であったところ、今期の営業利益約51億円に含まれる協力金約44億円を差し引くと、約7億円の黒字を確保している。かかる協力金の影響を除外した場合には、実質的に増収増益と黒字転換を達成したものと評価できる。一方、計画(社内目標値)に対しては、コロナ第7波の影響を受け、売上収益及び各利益ともに若干下回る進捗となっている。重視する調整後EBITDAについても前年同期比11.1%減の13,444百万円と協力金の減少等により減少したものの、高い水準を維持している。
売上収益は、コロナ禍からの一定の回復によりすべてのカテゴリーで増収を確保した。ただ、計画を若干下回ったのは、第1四半期こそ想定どおりに滑り出したものの、コロナ第7波の影響により回復ペースが鈍化したことが理由である。四半期ごとの実質既存店売上高(連結)の動きを見ると、第1四半期がコロナ禍前比(2020年2月期比)68.7%(計画は68.9%)とほぼ計画どおりに推移した一方、第2四半期は同75.1%(計画は80.1%)と計画を下回り、その結果、上期累計でも同72.3%(計画は74.4%)と下振れる進捗となっている。
新規出店については、アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直しを進める方針の下、新規16店舗を出店する一方、不採算店舗及び契約終了により27店舗退店し、2022年8月末の総店舗数は1,026店舗となった。また、立地環境や顧客ニーズに合わせ、16店舗の業態変更を行った。
損益面では、コロナ禍に伴う協力金等が前年同期よりも減少したことにより減益となったものの、その点は想定内である。営業利益が計画を下回ったのは、売上収益の下振れに加え、保守的に減損損失を追加計上(計画比5億円増)したことが理由である。もっとも、協力金(約44億円)を含まない実質的な営業利益において約7億円の黒字化を達成したところは、本来の収益力を評価するうえで特筆すべきポイントと言える。特に、昨今のインフレに伴う厳しい収益環境※にあるなか、これまで進めてきた筋肉質なコスト構造への転換が奏功し、各経費率(原価率、人件費率、諸経費率)はコロナ禍においても安定した水準を維持することができた。
※原油価格高騰及び円安による原材料高、人件費及び光熱費の上昇など。
財政状態については、資産合計が前期末比ほぼ横ばいの134,556百万円となった一方、親会社の所有者に帰属する持分は内部留保の積み増しにより同17.8%増の28,027万円に増加したことから、親会社所有者帰属持分比率は20.8%(前期末は17.8%)に改善した。
各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。
(1) CR カテゴリー
売上収益は前年同期比39.0%増の19,361 百万円、カテゴリーCF※1は同31.4%減の3,339百万円となった。売上収益は、郊外SCを中心に一定の回復を実現したものの、コロナ第7波の影響を受け実質既存店売上高のコロナ禍前比は68.1%(前年同期は47.2%)と緩やかな回復にとどまった。また、CFの減少は協力金等の減少によるものであり、その点は想定内である。コストコントロールの継続により本来の収益力は維持することができている。新規出店6店舗※2、退店18店舗、グループ内移管により7店舗が増加した結果、2022年8月末の店舗数は521 店舗となった。
※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)は、調整後EBITDA(=営業利益+その他の営業費用−協賛金収入等を除くその他の売上収益+減価償却費+非経常的費用項目)をベースとしている(以下、同様)。
※2 ゴルフ場内レストランの新規業務受託(4店舗)など。
(2) SFP カテゴリー
売上収益は前年同期比204.5%増の10,129百万円、カテゴリーCFは同4.8%増の1,667百万円となった。売上収益は、コロナ禍の影響(時短営業・休業、酒類提供制限等)により大きく落ち込んだ前年同期との比較では大幅な回復を実現したものの、コロナ第7波の拡大とともに回復ペースが鈍化し、実質既存店売上高はコロナ禍前比61.2%(前年同期は18.3%)にとどまった。一方、CFについては協力金等が減少したものの、売上収益の回復やコストコントロールの継続により増加させることができた。新規出店1店舗、退店5店舗、グループ内フランチャイズにより1店舗が減少した結果、2022年8月末の店舗数は210店舗となった。
(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前年同期比38.1%増の17,093百万円、カテゴリーCFは同10.0%減の2,489百万円となった。売上収益は、日常ブランド業態(ベーカリーやそば・つけめん等)を中心に堅調に推移し、実質既存店売上高はコロナ禍前比72.5%(前年同期は52.6%)と回復してきた。一方、CFが前年同期比で減少したのは、協力金の減少によるものであり、実質的な収益力は売上収益の回復とともに改善が進んでいる。新規出店7店舗※、退店3店舗、グループ内移管により6店舗が減少した結果、2022年8月末の店舗数は239店舗となった。
※JA全農とのコラボによる出店(「みのりカフェ」長崎/「銀河離宮」岩手)のほか、道の駅やサービスエリア等にも出店した。
(4) 海外カテゴリー
売上収益は前年同期比59.0%増の8,620百万円、カテゴリーCFは同178.7%増の811百万円となった。売上収益は、ワクチンの普及に伴ってコロナ禍からの回復が早かった北米(特に西海岸)を中心に好調に推移し、実質既存店売上高はコロナ禍前比111.3%(前年同期は69.1%)とコロナ禍前を大きく上回った。また、CFについても大幅な改善を図ることができた。新規出店2店舗※、退店1 店舗により、2022年8月末の店舗数は56店舗となった。
※米国サンタモニカに「OSTERIA del Fornaio」、タイに「かごの屋」(FC)を出店した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NS>
2023年2月期上期の業績(IFRS基準)は、売上収益が前年同期比57.7%増の54,407百万円、営業利益が同30.4%減の5,087百万円、税引前利益が同29.9%減の5,026百万円、親会社の所有者に帰属する四半期純利益が同27.2%減の3,511百万円と、協力金の減少等により表面上は増収減益となった。しかしながら、IFRS基準を採用しているクリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>の前期営業利益約73億円には、約113億円の協力金が含まれており、これを差し引くと実質的には約40億円の赤字であったところ、今期の営業利益約51億円に含まれる協力金約44億円を差し引くと、約7億円の黒字を確保している。かかる協力金の影響を除外した場合には、実質的に増収増益と黒字転換を達成したものと評価できる。一方、計画(社内目標値)に対しては、コロナ第7波の影響を受け、売上収益及び各利益ともに若干下回る進捗となっている。重視する調整後EBITDAについても前年同期比11.1%減の13,444百万円と協力金の減少等により減少したものの、高い水準を維持している。
売上収益は、コロナ禍からの一定の回復によりすべてのカテゴリーで増収を確保した。ただ、計画を若干下回ったのは、第1四半期こそ想定どおりに滑り出したものの、コロナ第7波の影響により回復ペースが鈍化したことが理由である。四半期ごとの実質既存店売上高(連結)の動きを見ると、第1四半期がコロナ禍前比(2020年2月期比)68.7%(計画は68.9%)とほぼ計画どおりに推移した一方、第2四半期は同75.1%(計画は80.1%)と計画を下回り、その結果、上期累計でも同72.3%(計画は74.4%)と下振れる進捗となっている。
新規出店については、アフターコロナを見据えたポートフォリオの見直しを進める方針の下、新規16店舗を出店する一方、不採算店舗及び契約終了により27店舗退店し、2022年8月末の総店舗数は1,026店舗となった。また、立地環境や顧客ニーズに合わせ、16店舗の業態変更を行った。
損益面では、コロナ禍に伴う協力金等が前年同期よりも減少したことにより減益となったものの、その点は想定内である。営業利益が計画を下回ったのは、売上収益の下振れに加え、保守的に減損損失を追加計上(計画比5億円増)したことが理由である。もっとも、協力金(約44億円)を含まない実質的な営業利益において約7億円の黒字化を達成したところは、本来の収益力を評価するうえで特筆すべきポイントと言える。特に、昨今のインフレに伴う厳しい収益環境※にあるなか、これまで進めてきた筋肉質なコスト構造への転換が奏功し、各経費率(原価率、人件費率、諸経費率)はコロナ禍においても安定した水準を維持することができた。
※原油価格高騰及び円安による原材料高、人件費及び光熱費の上昇など。
財政状態については、資産合計が前期末比ほぼ横ばいの134,556百万円となった一方、親会社の所有者に帰属する持分は内部留保の積み増しにより同17.8%増の28,027万円に増加したことから、親会社所有者帰属持分比率は20.8%(前期末は17.8%)に改善した。
各カテゴリー別の業績は以下のとおりである。
(1) CR カテゴリー
売上収益は前年同期比39.0%増の19,361 百万円、カテゴリーCF※1は同31.4%減の3,339百万円となった。売上収益は、郊外SCを中心に一定の回復を実現したものの、コロナ第7波の影響を受け実質既存店売上高のコロナ禍前比は68.1%(前年同期は47.2%)と緩やかな回復にとどまった。また、CFの減少は協力金等の減少によるものであり、その点は想定内である。コストコントロールの継続により本来の収益力は維持することができている。新規出店6店舗※2、退店18店舗、グループ内移管により7店舗が増加した結果、2022年8月末の店舗数は521 店舗となった。
※1 カテゴリーCF(キャッシュ・フロー)は、調整後EBITDA(=営業利益+その他の営業費用−協賛金収入等を除くその他の売上収益+減価償却費+非経常的費用項目)をベースとしている(以下、同様)。
※2 ゴルフ場内レストランの新規業務受託(4店舗)など。
(2) SFP カテゴリー
売上収益は前年同期比204.5%増の10,129百万円、カテゴリーCFは同4.8%増の1,667百万円となった。売上収益は、コロナ禍の影響(時短営業・休業、酒類提供制限等)により大きく落ち込んだ前年同期との比較では大幅な回復を実現したものの、コロナ第7波の拡大とともに回復ペースが鈍化し、実質既存店売上高はコロナ禍前比61.2%(前年同期は18.3%)にとどまった。一方、CFについては協力金等が減少したものの、売上収益の回復やコストコントロールの継続により増加させることができた。新規出店1店舗、退店5店舗、グループ内フランチャイズにより1店舗が減少した結果、2022年8月末の店舗数は210店舗となった。
(3) 専門ブランドカテゴリー
売上収益は前年同期比38.1%増の17,093百万円、カテゴリーCFは同10.0%減の2,489百万円となった。売上収益は、日常ブランド業態(ベーカリーやそば・つけめん等)を中心に堅調に推移し、実質既存店売上高はコロナ禍前比72.5%(前年同期は52.6%)と回復してきた。一方、CFが前年同期比で減少したのは、協力金の減少によるものであり、実質的な収益力は売上収益の回復とともに改善が進んでいる。新規出店7店舗※、退店3店舗、グループ内移管により6店舗が減少した結果、2022年8月末の店舗数は239店舗となった。
※JA全農とのコラボによる出店(「みのりカフェ」長崎/「銀河離宮」岩手)のほか、道の駅やサービスエリア等にも出店した。
(4) 海外カテゴリー
売上収益は前年同期比59.0%増の8,620百万円、カテゴリーCFは同178.7%増の811百万円となった。売上収益は、ワクチンの普及に伴ってコロナ禍からの回復が早かった北米(特に西海岸)を中心に好調に推移し、実質既存店売上高はコロナ禍前比111.3%(前年同期は69.1%)とコロナ禍前を大きく上回った。また、CFについても大幅な改善を図ることができた。新規出店2店舗※、退店1 店舗により、2022年8月末の店舗数は56店舗となった。
※米国サンタモニカに「OSTERIA del Fornaio」、タイに「かごの屋」(FC)を出店した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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