注目トピックス 日本株
はてな Research Memo(1):23年7月期は成長に向けた投資期間と位置付け、24年7月期以降の高成長を目指す
配信日時:2022/10/17 15:01
配信元:FISCO
■要約
はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等へと展開している。売上高の約48%はSaaS等のストック型収入で占められている。
1. 2022年7月期の業績概要
2022年7月期の業績は、売上高で前期比16.9%増の3,063百万円と8期連続の増収となり、営業利益は同30.6%増の324百万円と3期ぶりの増益に転じた※。売上高は、コンテンツプラットフォームサービスが広告収入の低迷等により同7.1%減となったものの、「はてなブログMedia」の運用件数当たりの平均月間売上の回復により、コンテンツマーケティングサービスが同20.1%増と3期ぶりに増収に転じたほか、テクノロジーソリューションサービスもSaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」や、マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」の導入が順調に進んだことにより、同24.1%増と好調を持続した。費用面では、人件費が同11.9%増、データセンター利用料(以下、DC利用料)が同11.1%増、その他費用が同27.3%増とそれぞれ増加したが、増収効果で吸収し営業利益率は前期の9.5%から10.6%に上昇した。
※2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているが、全体の収益に与える影響は軽微であることから、前期比は2021年7月期実績と比較している。
2. 2023年7月期の業績見通し
2023年7月期の業績は、売上高で前期比4.0%増の3,184百万円、営業利益で同54.8%減の147百万円と増収減益の見通し。売上高は、テクノロジーソリューションサービスが同11.2%増と2ケタ成長を持続するものの、コンテンツプラットフォームサービスが同10.5%減、コンテンツマーケティングサービスが同3.5%減とそれぞれ減収見込みとなっている。コンテンツプラットフォームサービスではアドネットワーク広告単価の急回復を見込まず、広告収入、課金収入ともに保守的な計画を立てている。また、コンテンツマーケティングサービスでは、「はてなブログMedia」の運用件数増加が続くものの、売上単価の大きい特定メディアの運用が終了する影響を織り込んでいる。一方、費用面では人件費で同6.7%増、DC利用料で同18.4%増、その他費用で同14.5%増を計画している。「GigaViewer」など受託開発案件の受注増に対応すべく人員の積極採用を図っていく。また、DC利用料の増加は、為替の円安進展によるクラウドサービス費用の増加が主因となっている。
3. 中期成長見通し
同社は中期目標として、2025年7月期に売上高40億円突破を掲げている。2024年7月期以降は3サービスすべてで売上を拡大し、年率15%増と成長を加速していく考えだ。けん引役となるのはテクノロジーソリューションサービスだ。「GigaViewer」を中心に大型案件の受注活動に取り組んでおり、こうした成果が2024年7月期以降のレベニューシェア売上やSaaS売上の増加につながってくると見ている。「GigaViewer」はWeb版でデファクトスタンダードとなっており、2022年8月末時点で14社19メディアに導入されている。今後は、Web版導入メディアに対してアプリ版の導入を推進していく方針だが、2021年11月に初めて1メディアにアプリ版を導入し、顧客からも高い評価を得ている。また、同時に広告運用やポイント販売等のマネタイズに共同で取り組むレベニューシェア型契約を進めることで、収益基盤を拡充していく戦略だ。一方、低迷が続いているコンテンツプラットフォームサービスは、「はてなブログ」で良質なコンテンツを増やし、アドネットワーク広告収入の拡大につなげていくほか、書き手の収益化を支援する新たなサービスの導入についても検討を進めている。コンテンツマーケティングサービスでは、運用件数の拡大とメディア当たり売上単価の向上に取り組んでいく。これらの戦略を推進することで売上高の2ケタ成長が続けば、営業利益率も中期的に20%近い水準まで戻るものと弊社では予想している。
■Key Points
・2022年7月期はテクノロジーソリューションサービスの好調により8期連続増収、3期ぶりの増益に転じる
・2023年7月期は大幅な事業成長に向けた先行投資などにより、増収減益の見通し
・テクノロジーソリューションサービスがけん引役となり、2024年7月期以降は2ケタ成長に回復
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等へと展開している。売上高の約48%はSaaS等のストック型収入で占められている。
1. 2022年7月期の業績概要
2022年7月期の業績は、売上高で前期比16.9%増の3,063百万円と8期連続の増収となり、営業利益は同30.6%増の324百万円と3期ぶりの増益に転じた※。売上高は、コンテンツプラットフォームサービスが広告収入の低迷等により同7.1%減となったものの、「はてなブログMedia」の運用件数当たりの平均月間売上の回復により、コンテンツマーケティングサービスが同20.1%増と3期ぶりに増収に転じたほか、テクノロジーソリューションサービスもSaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」や、マンガビューワ「GigaViewer(ギガビューワ)」の導入が順調に進んだことにより、同24.1%増と好調を持続した。費用面では、人件費が同11.9%増、データセンター利用料(以下、DC利用料)が同11.1%増、その他費用が同27.3%増とそれぞれ増加したが、増収効果で吸収し営業利益率は前期の9.5%から10.6%に上昇した。
※2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用しているが、全体の収益に与える影響は軽微であることから、前期比は2021年7月期実績と比較している。
2. 2023年7月期の業績見通し
2023年7月期の業績は、売上高で前期比4.0%増の3,184百万円、営業利益で同54.8%減の147百万円と増収減益の見通し。売上高は、テクノロジーソリューションサービスが同11.2%増と2ケタ成長を持続するものの、コンテンツプラットフォームサービスが同10.5%減、コンテンツマーケティングサービスが同3.5%減とそれぞれ減収見込みとなっている。コンテンツプラットフォームサービスではアドネットワーク広告単価の急回復を見込まず、広告収入、課金収入ともに保守的な計画を立てている。また、コンテンツマーケティングサービスでは、「はてなブログMedia」の運用件数増加が続くものの、売上単価の大きい特定メディアの運用が終了する影響を織り込んでいる。一方、費用面では人件費で同6.7%増、DC利用料で同18.4%増、その他費用で同14.5%増を計画している。「GigaViewer」など受託開発案件の受注増に対応すべく人員の積極採用を図っていく。また、DC利用料の増加は、為替の円安進展によるクラウドサービス費用の増加が主因となっている。
3. 中期成長見通し
同社は中期目標として、2025年7月期に売上高40億円突破を掲げている。2024年7月期以降は3サービスすべてで売上を拡大し、年率15%増と成長を加速していく考えだ。けん引役となるのはテクノロジーソリューションサービスだ。「GigaViewer」を中心に大型案件の受注活動に取り組んでおり、こうした成果が2024年7月期以降のレベニューシェア売上やSaaS売上の増加につながってくると見ている。「GigaViewer」はWeb版でデファクトスタンダードとなっており、2022年8月末時点で14社19メディアに導入されている。今後は、Web版導入メディアに対してアプリ版の導入を推進していく方針だが、2021年11月に初めて1メディアにアプリ版を導入し、顧客からも高い評価を得ている。また、同時に広告運用やポイント販売等のマネタイズに共同で取り組むレベニューシェア型契約を進めることで、収益基盤を拡充していく戦略だ。一方、低迷が続いているコンテンツプラットフォームサービスは、「はてなブログ」で良質なコンテンツを増やし、アドネットワーク広告収入の拡大につなげていくほか、書き手の収益化を支援する新たなサービスの導入についても検討を進めている。コンテンツマーケティングサービスでは、運用件数の拡大とメディア当たり売上単価の向上に取り組んでいく。これらの戦略を推進することで売上高の2ケタ成長が続けば、営業利益率も中期的に20%近い水準まで戻るものと弊社では予想している。
■Key Points
・2022年7月期はテクノロジーソリューションサービスの好調により8期連続増収、3期ぶりの増益に転じる
・2023年7月期は大幅な事業成長に向けた先行投資などにより、増収減益の見通し
・テクノロジーソリューションサービスがけん引役となり、2024年7月期以降は2ケタ成長に回復
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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