注目トピックス 日本株
STIフードHD Research Memo(7):強まる円安・原価高に対応する一方、成長へ向けた投資も
配信日時:2022/10/13 17:07
配信元:FISCO
■業績動向
1. 2022年12月期第2四半期の業績動向
STIフードホールディングス<2932>の2022年12月期第2四半期の業績は、売上高12,866百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益676百万円(同28.1%減)、経常利益704百万円(同27.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益469百万円(同25.6%減)と増収減益となった。円安・原価高など外部環境が当初想定以上に厳しくなったうえ、下期偏重型の収益構造のため通期計画に対する進捗率が50%に達していないが、期初の会社計画が保守的な前提になっているため、概ね計画線で推移している模様である。なお、2022年12月期の期首より収益認識に関する会計基準等を適用したことによって、売上高は172百万円減少したが、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はなかった。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症対策の行動規制が緩和され、経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢などに起因する世界的な資源価格の上昇や金融資本市場の変動による急激な円安が進行しており、依然景気の先行き不透明感は強い状況である。このため、物価上昇圧力が強まって消費者の生活防衛意識が高まるなど、消費動向にも影響が及んできた。食品業界は、世界的な需要増加や円安進行などにより原材料価格の高騰が続いているうえ、行動制限の緩和に伴う外食需要の復調により内食・中食需要の一部に反動減が見られるなど、厳しい環境が続いている。
このような環境のなか、同社は基本方針の実現に向けて重点施策の実行に注力した。この結果セブン-イレブン向けを中心に、食品は焼き魚やカップサラダなどの定番商品の販売が安定して伸長、食材も引き続き堅調に推移した。また、台湾セブン-イレブンへの出荷が順調に拡大する一方、より多くの顧客に同社商品を味わってもらうことを目的に、これまで取り扱いのなかった大手ECサイトのアマゾンや量販店への販売を開始した。しかし、一部設備かつ短期的とはいえ第1四半期に発生した船橋工場の火災の影響に加え、定番商品の価格改定はできたものの、急速な円安・原価高に対応した新商品の投入が遅れたことで、売上の伸びが1ケタ台にとどまることとなった。利益面では、定番商品の価格改定による売上総利益率上昇への寄与はあったものの、原材料価格高止まりの影響のほうが大きかったため売上総利益が減少、また、人材投資といった成長へ向けた先行費用などにより販管費が増加、営業利益は減益となった。なお、工場火災に関連して保険給付金77百万円を特別利益に計上した。
円安・原価高の対策は講じているが、効果にやや時間
2. 円安・原価高対策と直近業況の推移
2022年12月期第2四半期の業績は、前年同期と比較すると低迷ということになる。しかし、2021年12月期上期までは順調に成長しており、その後の低迷の理由もはっきりしているため、成長性が失われたわけではないと考える。当然のことながら、同社も対策を講じている。具体的な業況の流れと対策としては、2021年12月期第2四半期までは、魚惣菜に続いてカップサラダが定番化するなど、食品、食材ともにセブン-イレブン内でシェアを拡大、一方で年々練度が上がることで生産効率が上昇し採算も向上、高い利益成長を続けてきた。2021年12月期下期に入ると、世界の魚食の広がりを背景にタコを中心に水産原材料の価格が高騰、さらに円安傾向となったこともあり、売上は大きく伸びたものの採算が低下した。2022年12月期上期は、円安・原価高に対応した新商品の開発に迫られたが、円安・原価高を吸収するため定番商品のリニューアルを優先したことで新商品の開発が遅れたこと、リニューアル商品は価格改定を伴っているため従前の売上水準に戻すのに時間がかかったこと、円安も原価高も想定を超えるインパクトとなったことなどにより、コスト抑制も進めたものの収益回復が遅れてしまった。特に重要な対策は、新商品もリニューアル商品も、円安・原価高を吸収できる価格設定と、それに見合った価値のある商品設計ということになるが、商品開発や価格改定の浸透にはタイムラグがあるため、効果は2022年12月期上期の段階で一部顕在化したのみであった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
1. 2022年12月期第2四半期の業績動向
STIフードホールディングス<2932>の2022年12月期第2四半期の業績は、売上高12,866百万円(前年同期比3.7%増)、営業利益676百万円(同28.1%減)、経常利益704百万円(同27.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益469百万円(同25.6%減)と増収減益となった。円安・原価高など外部環境が当初想定以上に厳しくなったうえ、下期偏重型の収益構造のため通期計画に対する進捗率が50%に達していないが、期初の会社計画が保守的な前提になっているため、概ね計画線で推移している模様である。なお、2022年12月期の期首より収益認識に関する会計基準等を適用したことによって、売上高は172百万円減少したが、営業利益、経常利益および税金等調整前四半期純利益への影響はなかった。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症対策の行動規制が緩和され、経済活動が正常化に向かう一方、ウクライナ情勢などに起因する世界的な資源価格の上昇や金融資本市場の変動による急激な円安が進行しており、依然景気の先行き不透明感は強い状況である。このため、物価上昇圧力が強まって消費者の生活防衛意識が高まるなど、消費動向にも影響が及んできた。食品業界は、世界的な需要増加や円安進行などにより原材料価格の高騰が続いているうえ、行動制限の緩和に伴う外食需要の復調により内食・中食需要の一部に反動減が見られるなど、厳しい環境が続いている。
このような環境のなか、同社は基本方針の実現に向けて重点施策の実行に注力した。この結果セブン-イレブン向けを中心に、食品は焼き魚やカップサラダなどの定番商品の販売が安定して伸長、食材も引き続き堅調に推移した。また、台湾セブン-イレブンへの出荷が順調に拡大する一方、より多くの顧客に同社商品を味わってもらうことを目的に、これまで取り扱いのなかった大手ECサイトのアマゾンや量販店への販売を開始した。しかし、一部設備かつ短期的とはいえ第1四半期に発生した船橋工場の火災の影響に加え、定番商品の価格改定はできたものの、急速な円安・原価高に対応した新商品の投入が遅れたことで、売上の伸びが1ケタ台にとどまることとなった。利益面では、定番商品の価格改定による売上総利益率上昇への寄与はあったものの、原材料価格高止まりの影響のほうが大きかったため売上総利益が減少、また、人材投資といった成長へ向けた先行費用などにより販管費が増加、営業利益は減益となった。なお、工場火災に関連して保険給付金77百万円を特別利益に計上した。
円安・原価高の対策は講じているが、効果にやや時間
2. 円安・原価高対策と直近業況の推移
2022年12月期第2四半期の業績は、前年同期と比較すると低迷ということになる。しかし、2021年12月期上期までは順調に成長しており、その後の低迷の理由もはっきりしているため、成長性が失われたわけではないと考える。当然のことながら、同社も対策を講じている。具体的な業況の流れと対策としては、2021年12月期第2四半期までは、魚惣菜に続いてカップサラダが定番化するなど、食品、食材ともにセブン-イレブン内でシェアを拡大、一方で年々練度が上がることで生産効率が上昇し採算も向上、高い利益成長を続けてきた。2021年12月期下期に入ると、世界の魚食の広がりを背景にタコを中心に水産原材料の価格が高騰、さらに円安傾向となったこともあり、売上は大きく伸びたものの採算が低下した。2022年12月期上期は、円安・原価高に対応した新商品の開発に迫られたが、円安・原価高を吸収するため定番商品のリニューアルを優先したことで新商品の開発が遅れたこと、リニューアル商品は価格改定を伴っているため従前の売上水準に戻すのに時間がかかったこと、円安も原価高も想定を超えるインパクトとなったことなどにより、コスト抑制も進めたものの収益回復が遅れてしまった。特に重要な対策は、新商品もリニューアル商品も、円安・原価高を吸収できる価格設定と、それに見合った価値のある商品設計ということになるが、商品開発や価格改定の浸透にはタイムラグがあるため、効果は2022年12月期上期の段階で一部顕在化したのみであった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
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