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STIフードHD Research Memo(6):内外セブン-イレブンの成長に乗る
配信日時:2022/10/13 17:06
配信元:FISCO
■重点施策
3. セブン-イレブンとの取引拡大
セブン-イレブンは取引先に、供給力や品質、コンプライアンスなどに関する厳しい条件だけでなく、常に新商品や付加価値を高めたリニューアル商品を投入することを求めている。できなければ、(セブン-イレブンの想定だと売れなくなるため)取引先の商品は棚から外されてしまうことになる。その代わり、そうした条件をクリアできれば、2.5万店のネットワークで販売できるスケールメリットを享受できる。STIフードホールディングス<2932>に対してもセブン-イレブンの目は厳しいが、同社は高い技術を持った唯一の水産系ベンダーとして、新商品やリニューアル商品を継続的に投入することで、取引を拡大し売上高を増やしてきた。2022年12月期も2月にたことブロッコリーバジルサラダを始め、4月に焼き魚3品(鯖、銀鮭、ほっけ)などリニューアル商品を投入した。しかし、これは例年に比べて非常に少ない投入商品数といえる。というのも2022年12月期上期は、円安・原価高に加え、船橋工場の加熱調理室の一部火災による一時的な供給中止があり、商品企画にこうした新たな条件を織り込む必要が生じ、また、そのため売上を確保しやすい定番商品のリニューアルに注力したため、新商品投入のスケジュールが遅れることとなったからである。火災は短期的な影響にとどまっているので、課題は円安・原価高の吸収にある。今般の円安・原価高はインパクトが大きく、同社は原価低減にとどまらず価格改定もすることになった。影響はすでに2021年12月期下期から生じており、今のところ、付加価値を高めた価格改定は受け入れられている模様である。新商品のラインアップも2022年12月期第3四半期には出揃いつつあり、国内では再び取引を拡大し、売上を増やしていくタイミングに入ってきたといえよう。
セブン-イレブンとの取引拡大では、国内だけでなく、為替リスクなどをヘッジする意味合いもあって海外での販売比率を増加させる意向で、同社は海外事業の優先順位を上げて本格展開を開始した。アジアに関しては、2021年12月期に福岡工場において台湾向け出荷を開始、好評につき台湾全域6,000店に向けて焼魚の販売を本格化した。このほかアジアでは、フィリピンや上海への進出も視野に入れている。また、海外といえば、米国のセブン-イレブン(以下セブンインク)が急成長している。セブン&アイ・ホールディングスの子会社で、日本のセブン-イレブンの兄弟会社にあたるが、M&Aにより積極拡大を続けており、2021年12月期もSpeedwayの買収によって売上高が年間ベースで2兆円~3兆円上乗せとなっている。成長力も非常に強く、すでに日本のセブン-イレブンを上回る利益をあげている。こうした成長に乗れることは大きな魅力だが、さらに、米国では魚食が定着しつつある割に商品化がほとんどなされていないようだ。このためセブン&アイ・ホールディングスからも、米国への早期進出を促されている模様である。米国事業のスタートにあたって、取引先を持った工場を買収する計画で、すでにリサーチを開始しており、2023年12月期にセブンインク向けに食材の供給を開始、2024年12月期にはチルド食品や缶詰など食品を供給していくと見られる。また、既存取引先との商売を継続しつつ、滋賀工場での知見やセブンインク向け取引をアドオンすることで、早期に収益化する考えである。
「STONEROLLS」など自社ブランドも展開
4. 新たな販売拡大
同社の販売先はセブン-イレブン向けが85%と大半を締め、しかも年々構成比が上昇している。一方、店舗販売でリーチできない消費者にアプローチするという考え方から、セブン-イレブン以外の企業に対しても商品を販売している。特に大手通販、大手宅配など特徴のある小売パートナーと取引があり、水産系の惣菜や食材を健康食品通販や大手ミールキット宅配サービス、法人向け社食サービスといった企業へ販売している。また、自社サイトやアマゾンなど他社サイトで、石巻工場で生産した自社ブランド「STONEROLLS(ストンロルズ)」のさば缶シリーズや、これも自社ブランドの魚のおかずシリーズなどの「ichibi」を販売、今後、焼津からは「FIRE PORTS(ファイヤポーツ)」のブランドで商品を提供する予定である。ほかに、総合スーパー向けに缶詰を販売するなど販路の拡大を指向しており、今後も取引先を増やしていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
3. セブン-イレブンとの取引拡大
セブン-イレブンは取引先に、供給力や品質、コンプライアンスなどに関する厳しい条件だけでなく、常に新商品や付加価値を高めたリニューアル商品を投入することを求めている。できなければ、(セブン-イレブンの想定だと売れなくなるため)取引先の商品は棚から外されてしまうことになる。その代わり、そうした条件をクリアできれば、2.5万店のネットワークで販売できるスケールメリットを享受できる。STIフードホールディングス<2932>に対してもセブン-イレブンの目は厳しいが、同社は高い技術を持った唯一の水産系ベンダーとして、新商品やリニューアル商品を継続的に投入することで、取引を拡大し売上高を増やしてきた。2022年12月期も2月にたことブロッコリーバジルサラダを始め、4月に焼き魚3品(鯖、銀鮭、ほっけ)などリニューアル商品を投入した。しかし、これは例年に比べて非常に少ない投入商品数といえる。というのも2022年12月期上期は、円安・原価高に加え、船橋工場の加熱調理室の一部火災による一時的な供給中止があり、商品企画にこうした新たな条件を織り込む必要が生じ、また、そのため売上を確保しやすい定番商品のリニューアルに注力したため、新商品投入のスケジュールが遅れることとなったからである。火災は短期的な影響にとどまっているので、課題は円安・原価高の吸収にある。今般の円安・原価高はインパクトが大きく、同社は原価低減にとどまらず価格改定もすることになった。影響はすでに2021年12月期下期から生じており、今のところ、付加価値を高めた価格改定は受け入れられている模様である。新商品のラインアップも2022年12月期第3四半期には出揃いつつあり、国内では再び取引を拡大し、売上を増やしていくタイミングに入ってきたといえよう。
セブン-イレブンとの取引拡大では、国内だけでなく、為替リスクなどをヘッジする意味合いもあって海外での販売比率を増加させる意向で、同社は海外事業の優先順位を上げて本格展開を開始した。アジアに関しては、2021年12月期に福岡工場において台湾向け出荷を開始、好評につき台湾全域6,000店に向けて焼魚の販売を本格化した。このほかアジアでは、フィリピンや上海への進出も視野に入れている。また、海外といえば、米国のセブン-イレブン(以下セブンインク)が急成長している。セブン&アイ・ホールディングスの子会社で、日本のセブン-イレブンの兄弟会社にあたるが、M&Aにより積極拡大を続けており、2021年12月期もSpeedwayの買収によって売上高が年間ベースで2兆円~3兆円上乗せとなっている。成長力も非常に強く、すでに日本のセブン-イレブンを上回る利益をあげている。こうした成長に乗れることは大きな魅力だが、さらに、米国では魚食が定着しつつある割に商品化がほとんどなされていないようだ。このためセブン&アイ・ホールディングスからも、米国への早期進出を促されている模様である。米国事業のスタートにあたって、取引先を持った工場を買収する計画で、すでにリサーチを開始しており、2023年12月期にセブンインク向けに食材の供給を開始、2024年12月期にはチルド食品や缶詰など食品を供給していくと見られる。また、既存取引先との商売を継続しつつ、滋賀工場での知見やセブンインク向け取引をアドオンすることで、早期に収益化する考えである。
「STONEROLLS」など自社ブランドも展開
4. 新たな販売拡大
同社の販売先はセブン-イレブン向けが85%と大半を締め、しかも年々構成比が上昇している。一方、店舗販売でリーチできない消費者にアプローチするという考え方から、セブン-イレブン以外の企業に対しても商品を販売している。特に大手通販、大手宅配など特徴のある小売パートナーと取引があり、水産系の惣菜や食材を健康食品通販や大手ミールキット宅配サービス、法人向け社食サービスといった企業へ販売している。また、自社サイトやアマゾンなど他社サイトで、石巻工場で生産した自社ブランド「STONEROLLS(ストンロルズ)」のさば缶シリーズや、これも自社ブランドの魚のおかずシリーズなどの「ichibi」を販売、今後、焼津からは「FIRE PORTS(ファイヤポーツ)」のブランドで商品を提供する予定である。ほかに、総合スーパー向けに缶詰を販売するなど販路の拡大を指向しており、今後も取引先を増やしていく方針である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SI>
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