注目トピックス 日本株
アイル Research Memo(1):2022年7月期の営業利益は4期連続で最高益を更新、売上総利益向上施策が奏功
配信日時:2022/10/07 16:41
配信元:FISCO
■要約
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。事業区分は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズが主力のシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」や実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」が主力のWebソリューション事業(CROSS事業、その他Web事業)からなる。ITによる「リアル」と「Web」の融合でデジタル変革(DX※1)を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、「BX※2」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術により変革し、新たな価値を創造すること。
※2 ITによる「リアル」と「Web」の融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーション(BACKSIDE TRANSFORMATION)のこと。
同社は利益重視戦略として、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを推進しており、売上総利益率の改善に寄与している。2022年7月期の売上総利益率は52.1%(2019年7月期比10.1ポイント上昇)、システムソリューション事業52.3%(同10.7ポイント上昇)、CROSS事業57.2%(同2.6ポイント上昇)と大きく改善した。
1. 2022年7月期の業績概要
2022年7月期の連結業績※1は、売上高が12,944百万円、営業利益が2,100百万円、経常利益が2,121百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,377百万円となった。また、予想比達成率については、売上高で2.7%下回ったものの、営業利益で5.0%、経常利益で4.7%、親会社株主に帰属する当期純利益で6.2%上回り、営業利益は4期連続で最高益を更新した。売上高は、会計基準変更の影響のほか、システムソリューション事業のイニシャル減少や半導体不足の影響を受け未達となったものの、第3四半期以降は回復傾向にある。利益面については、ここ数年来継続している売上総利益向上施策が奏功し、超過して着地した。また、ストック売上高※2は前期比16.0%増の5,576百万円、全社売上高に対する構成比は同6.7ポイント上昇し43.1%となり、初めて40%を超えたほか、全社の売上総利益率も同5.6ポイント上昇し52.1%となり、初めて50%を超えた。
※1 2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、対前期増減率は記載していない。
※2 2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用していることに伴いサプライ品取引実績をストックから除いており、前期比は2021年7月期の各数値を比較のため遡及修正した場合の値。また、2022年7月期第3四半期より親子間の連結相殺処理をストックにも適用している。
2. 2023年7月期の業績見通し
2023年7月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.9%増の14,100百万円、営業利益が同14.3%増の2,400百万円、経常利益が同14.4%増の2,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.7%増の1,553百万円としている。引き続き加速するDX化ニーズを取り込み、システムソリューション事業・Webソリューション事業ともに増収増益基調を見込んでいる。また、ストック売上比率は45%を計画している。利益面では、既存顧客のハード入替が一時的に集中し営業利益率の伸びは鈍化することを想定して、クラウドへの移行提案も推進する。トピックスとしては、「CROSS MALL」の次世代サービスを2023年7月期中に提供する予定だ。次世代サービスでは、ボーダレス化と複数チャネル化に対応する機能と自動連携機能によるデータ融合により、「ネットショップ一元管理」だけでなく、「業務全体の一元管理」をクラウドで実現する。同社が提唱するBXを推進し、顧客の業務効率化から価値創造の実現を目指していく方針だ。
3. 成長戦略
3ヶ年中期経営計画(2023年7月期~2025年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高15,400百万円、営業利益3,000百万円、営業利益率19.5%、経常利益3,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,937百万円を目指すほか、中期目標として2025年7月期に営業利益率21.2%を掲げている。クラウド比率の上昇と利益向上施策の進捗を加味し、2024年7月期の営業利益以下を上方修正した。成長に向けた基本戦略としては、「CROSS-OVER シナジー」戦略を推進し、独自開発のサービス・製品を高付加価値トータルソリューションパッケージとして市場に提供することで高収益体質の構築に取り組む方針だ。また、ストックの継続的な成長とイニシャルの利益改善施策により、さらなる利益拡大を目指す。
なお、同社は事業ポリシーとして「BX」を掲げ、単なるDXによる効率化だけでなく、有機的なサービス提案とコンサルティングによる変革により価値創造を実現することを目指す。また、ミッション及びバリューに基づき社員が活躍できる風土づくりや制度の整備などを推進し、業績や企業価値、環境を向上させることで、さらなる好循環を目指している。
■Key Points
・「CROSS-OVERシナジー」戦略で顧客の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業
・2022年7月期の各利益は予想を上回って着地。売上総利益率の向上により、営業利益は4期連続で最高益を更新
・2023年7月期は、引き続き加速するDX化ニーズを取り込むことで増収・2ケタ増益を見込む
・BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<SI>
アイル<3854>は、中堅・中小企業の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業である。事業区分は、基幹業務管理システム「アラジンオフィス」シリーズが主力のシステムソリューション事業、クラウド型でサービス提供する複数ECサイト一元管理ソフト「CROSS MALL」や実店舗とECの顧客・ポイント一元管理ソフト「CROSS POINT」が主力のWebソリューション事業(CROSS事業、その他Web事業)からなる。ITによる「リアル」と「Web」の融合でデジタル変革(DX※1)を支援する「CROSS-OVER シナジー」戦略をベースとして、DXによる効率化支援にとどまらず、「BX※2」という新しい概念による価値創造支援の実現を目指している。
※1 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、従来のビジネスモデルやビジネス手段といったものをデジタル技術により変革し、新たな価値を創造すること。
※2 ITによる「リアル」と「Web」の融合でDXを支援する同社独自の「CROSS-OVER シナジー」戦略によるバックサイドトランスフォーメーション(BACKSIDE TRANSFORMATION)のこと。
同社は利益重視戦略として、開発・カスタマイズ時の工程管理・品質管理強化や生産性向上、ストック売上拡大などを推進しており、売上総利益率の改善に寄与している。2022年7月期の売上総利益率は52.1%(2019年7月期比10.1ポイント上昇)、システムソリューション事業52.3%(同10.7ポイント上昇)、CROSS事業57.2%(同2.6ポイント上昇)と大きく改善した。
1. 2022年7月期の業績概要
2022年7月期の連結業績※1は、売上高が12,944百万円、営業利益が2,100百万円、経常利益が2,121百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が1,377百万円となった。また、予想比達成率については、売上高で2.7%下回ったものの、営業利益で5.0%、経常利益で4.7%、親会社株主に帰属する当期純利益で6.2%上回り、営業利益は4期連続で最高益を更新した。売上高は、会計基準変更の影響のほか、システムソリューション事業のイニシャル減少や半導体不足の影響を受け未達となったものの、第3四半期以降は回復傾向にある。利益面については、ここ数年来継続している売上総利益向上施策が奏功し、超過して着地した。また、ストック売上高※2は前期比16.0%増の5,576百万円、全社売上高に対する構成比は同6.7ポイント上昇し43.1%となり、初めて40%を超えたほか、全社の売上総利益率も同5.6ポイント上昇し52.1%となり、初めて50%を超えた。
※1 2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、対前期増減率は記載していない。
※2 2022年7月期より「収益認識に関する会計基準」等を適用していることに伴いサプライ品取引実績をストックから除いており、前期比は2021年7月期の各数値を比較のため遡及修正した場合の値。また、2022年7月期第3四半期より親子間の連結相殺処理をストックにも適用している。
2. 2023年7月期の業績見通し
2023年7月期の連結業績予想は、売上高が前期比8.9%増の14,100百万円、営業利益が同14.3%増の2,400百万円、経常利益が同14.4%増の2,426百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同12.7%増の1,553百万円としている。引き続き加速するDX化ニーズを取り込み、システムソリューション事業・Webソリューション事業ともに増収増益基調を見込んでいる。また、ストック売上比率は45%を計画している。利益面では、既存顧客のハード入替が一時的に集中し営業利益率の伸びは鈍化することを想定して、クラウドへの移行提案も推進する。トピックスとしては、「CROSS MALL」の次世代サービスを2023年7月期中に提供する予定だ。次世代サービスでは、ボーダレス化と複数チャネル化に対応する機能と自動連携機能によるデータ融合により、「ネットショップ一元管理」だけでなく、「業務全体の一元管理」をクラウドで実現する。同社が提唱するBXを推進し、顧客の業務効率化から価値創造の実現を目指していく方針だ。
3. 成長戦略
3ヶ年中期経営計画(2023年7月期~2025年7月期、1年ごとに更新するローリング方式)では、2024年7月期に売上高15,400百万円、営業利益3,000百万円、営業利益率19.5%、経常利益3,026百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,937百万円を目指すほか、中期目標として2025年7月期に営業利益率21.2%を掲げている。クラウド比率の上昇と利益向上施策の進捗を加味し、2024年7月期の営業利益以下を上方修正した。成長に向けた基本戦略としては、「CROSS-OVER シナジー」戦略を推進し、独自開発のサービス・製品を高付加価値トータルソリューションパッケージとして市場に提供することで高収益体質の構築に取り組む方針だ。また、ストックの継続的な成長とイニシャルの利益改善施策により、さらなる利益拡大を目指す。
なお、同社は事業ポリシーとして「BX」を掲げ、単なるDXによる効率化だけでなく、有機的なサービス提案とコンサルティングによる変革により価値創造を実現することを目指す。また、ミッション及びバリューに基づき社員が活躍できる風土づくりや制度の整備などを推進し、業績や企業価値、環境を向上させることで、さらなる好循環を目指している。
■Key Points
・「CROSS-OVERシナジー」戦略で顧客の経営力アップを支援するトータルシステムソリューション企業
・2022年7月期の各利益は予想を上回って着地。売上総利益率の向上により、営業利益は4期連続で最高益を更新
・2023年7月期は、引き続き加速するDX化ニーズを取り込むことで増収・2ケタ増益を見込む
・BXによる価値創造支援の進化により成長加速を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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