後場の投資戦略
偶発的な好材料重複で急伸も持続性に疑問符
配信日時:2022/10/04 12:19
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;26840.75;+624.96TOPIX;1894.86;+47.28
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は大幅続伸で一気に節目の27000円を窺うかのような展開となっている。5日移動平均線が上向きに転じ、短期的には直近の急落の反動が継続する公算が大きい。一方、25日、75日、200日線が集中する27400円前後にはまだ距離があるほか、下向きの25日線が75日線を上から下抜くデッドクロスが目前となっている。まだ下落トレンド延長の構図は続いており、短期リバウンド後には再び戻り待ちの売りが待ち構えていそうだ。
10月に入ってからの株高についても、月替わりで9月末にかけての資金フローが反転したに過ぎないとの指摘が聞かれ、本格的な反発よりは自律反発と捉えている投資家の方が多い様子。それでも、日経平均が前日、6月20日安値25520.23円よりも上の位置からリバウンドした点は下値を切り上げている点からポジティブに捉えられる。
前日は、英国政府が最高所得税率引き下げを撤回したことで欧州の財政不安が和らぎ、グローバルに金利が低下。さらに、前日に発表された米9月サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が50.9と、8月(52.8)及び市場予想(52.0)を下回り、好不況の境界値である50割れを窺う水準にまで低下。なかでも新規受注の項目が大幅に低下し、47.1と50を下回り景気後退懸念が強まったこともあり、9月下旬に一時4.0%を超えた米10年債利回りは3.63%にまで低下した。こうした悪い経済指標が米連邦準備制度理事会(FRB)の政策方針を転換させるのではとの俄かな期待も後押し材料になったようだ。
しかし、前日の株高は資金フローによるところが大きいとの見方が多いほか、FRBの政策転換については、先日の9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での公表結果で剥落したはず。直近も、複数のFRB高官から、時期尚早の利下げ転換を戒める発言が相次いでいる。そもそも、FRBはインフレ抑制のために景気を減速させると公言しているわけで、ISM製造業景況指数が50を下回ったところで本来政策転換への期待を高めるのはナンセンス。前日は、調査会社ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏やバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストであるマイケル・ハーネット氏らによる11月利上げ打ち止めに関する指摘が重なったこともあり、こうした利下げ転換期待が再び個人投資家を中心に高まったようであるが、これはやはり時期尚早な面を否めない。
他にも、国際連合(UN)の補助機関である国連貿易開発会議(UNCTAD)が、FRBや他国の中央銀行に利上げ停止を要請していると伝わっている。UNCTADはFRBをはじめとした各国の中央銀行が利上げを続ければ、世界経済が景気後退に陥り、その後長期停滞に追い込むリスクがあると警告しているという。こうした発言も政策転換期待を高めているのかもしれないが、実際にこれが政策転換に繋がる可能性は低いだろう。仮に、こうした事態を受けてFRBが政策スタンスの転換を臭わせるようなことがあれば、確かに株式市場は底打ちしたとの見方は強まるが、これまでの政策主張との整合性の観点から中央銀行としての信頼性に傷がつきそうで、市場が動揺する可能性もあろう。その場合、インフレ懸念が再燃する可能性もある。
月初の資金フロー変化に加えて、株価反発を誘う材料が重なっただけで、やはり本質的には株価下落トレンドの構図は変わっていないと考えられる。株高の持続性を確認するうえで今晩以降の米国市場の動きは重要であり、様子見ムードから後場は買いが一巡してこう着感の強い展開となりそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;26840.75;+624.96TOPIX;1894.86;+47.28
[後場の投資戦略]
本日の日経平均は大幅続伸で一気に節目の27000円を窺うかのような展開となっている。5日移動平均線が上向きに転じ、短期的には直近の急落の反動が継続する公算が大きい。一方、25日、75日、200日線が集中する27400円前後にはまだ距離があるほか、下向きの25日線が75日線を上から下抜くデッドクロスが目前となっている。まだ下落トレンド延長の構図は続いており、短期リバウンド後には再び戻り待ちの売りが待ち構えていそうだ。
10月に入ってからの株高についても、月替わりで9月末にかけての資金フローが反転したに過ぎないとの指摘が聞かれ、本格的な反発よりは自律反発と捉えている投資家の方が多い様子。それでも、日経平均が前日、6月20日安値25520.23円よりも上の位置からリバウンドした点は下値を切り上げている点からポジティブに捉えられる。
前日は、英国政府が最高所得税率引き下げを撤回したことで欧州の財政不安が和らぎ、グローバルに金利が低下。さらに、前日に発表された米9月サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数が50.9と、8月(52.8)及び市場予想(52.0)を下回り、好不況の境界値である50割れを窺う水準にまで低下。なかでも新規受注の項目が大幅に低下し、47.1と50を下回り景気後退懸念が強まったこともあり、9月下旬に一時4.0%を超えた米10年債利回りは3.63%にまで低下した。こうした悪い経済指標が米連邦準備制度理事会(FRB)の政策方針を転換させるのではとの俄かな期待も後押し材料になったようだ。
しかし、前日の株高は資金フローによるところが大きいとの見方が多いほか、FRBの政策転換については、先日の9月米連邦公開市場委員会(FOMC)での公表結果で剥落したはず。直近も、複数のFRB高官から、時期尚早の利下げ転換を戒める発言が相次いでいる。そもそも、FRBはインフレ抑制のために景気を減速させると公言しているわけで、ISM製造業景況指数が50を下回ったところで本来政策転換への期待を高めるのはナンセンス。前日は、調査会社ヤルデニ・リサーチのエド・ヤルデニ氏やバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストであるマイケル・ハーネット氏らによる11月利上げ打ち止めに関する指摘が重なったこともあり、こうした利下げ転換期待が再び個人投資家を中心に高まったようであるが、これはやはり時期尚早な面を否めない。
他にも、国際連合(UN)の補助機関である国連貿易開発会議(UNCTAD)が、FRBや他国の中央銀行に利上げ停止を要請していると伝わっている。UNCTADはFRBをはじめとした各国の中央銀行が利上げを続ければ、世界経済が景気後退に陥り、その後長期停滞に追い込むリスクがあると警告しているという。こうした発言も政策転換期待を高めているのかもしれないが、実際にこれが政策転換に繋がる可能性は低いだろう。仮に、こうした事態を受けてFRBが政策スタンスの転換を臭わせるようなことがあれば、確かに株式市場は底打ちしたとの見方は強まるが、これまでの政策主張との整合性の観点から中央銀行としての信頼性に傷がつきそうで、市場が動揺する可能性もあろう。その場合、インフレ懸念が再燃する可能性もある。
月初の資金フロー変化に加えて、株価反発を誘う材料が重なっただけで、やはり本質的には株価下落トレンドの構図は変わっていないと考えられる。株高の持続性を確認するうえで今晩以降の米国市場の動きは重要であり、様子見ムードから後場は買いが一巡してこう着感の強い展開となりそうだ。
(仲村幸浩)
<AK>
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