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サイバーコム Research Memo(6):業務ソフトウェア開発及び制御ソフトウェア開発、サービス事業が2ケタ増収に
配信日時:2022/09/28 15:06
配信元:FISCO
■サイバーコム<3852>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比11.4%増の6,508百万円、営業利益は同21.4%増の1,141百万円と2期連続で過去最高を更新した。通信ソフトウェア開発は減収減益となったものの、業務ソフトウェアが好調を持続したほか、制御ソフトウェアも増収増益に転じた。
分野別の動向を見ると、通信ソフトウェア開発は売上高で前年同期比5.9%減の1,469百万円、営業利益で同4.4%減の206百万円となった。2020年12月期以降けん引役となっていた「通信基盤」分野の売上高は、開発案件の一巡により同3.5%減の1,272百万円となったほか、通信端末等の「その他通信」分野の売上高も同18.8%減の197百万円と減少傾向が続いた。一方、営業利益率は前年同期の13.8%に対して14.0%とほぼ同水準となった。
制御ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.5%増の1,466百万円と3期振りの増収に転じ、営業利益も同23.2%増の264百万円と2期振りの増益となった。コロナ禍や客先の内製化の影響で減収傾向が続いていた「車載」分野の売上高が同10.1%増の698百万円と3期振りの増収に転じたほか、「その他制御」分野もプリンタ用ドライバ開発案件の拡大により同25.2%増の767百万円と2期連続の増収となった。「車載」分野では新規顧客の開拓が進み、ボディ制御やECU関連の開発案件が増加した。ただし、ピーク時の売上(2019年12月期第2四半期累計971百万円)と比較すると7割程度にとどまっていることから、顧客開拓を進めながら売上拡大を目指していく。なお、「その他制御」分野をけん引したプリンタ用ドライバの開発案件については繁閑の波があり、2022年12月期第2四半期累計は繁忙期に当たったと見られる。同分野ではFA機器等のロボット制御系に注力しているものの大きな受注には至っておらず、主要顧客はリコーグループや東京エレクトロングループとなっている。一方、営業利益率は前年同期の17.2%から18.0%に上昇した。過去最高売上(1,707百万円)を記録した2019年12月期第2四半期累計の営業利益率が13.0%であったことからも、収益性は大きく向上していると言える。
業務ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.8%増の3,572百万円、営業利益で同31.6%増の670百万円と過去最高を更新した。業種別売上動向を見ると、金融向けが生命保険会社、信販会社向けなど全般的に好調に推移し同58.4%増の1,272百万円となったほか、注力分野である公共向けも顔認証システム案件の増加等により同26.7%増の576百万円となった。また、流通向けもEC構築案件や流通システムの開発案件が伸長し、同31.4%増の354百万円と2ケタ成長が続いた。一方、情報通信向けや製造業向け、医療向けは減収となったが、これは受注能力が限られるなかで選別受注を行った結果によるもので、受注環境は引き続き良好である。高付加価値案件を多く受注できたこともあり、営業利益率は前年同期の16.8%から18.8%に上昇し、過去最高水準となっている。
(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前年同期比11.4%増の1,746百万円、営業利益は同17.3%増の279百万円と連続増収増益となり、過去最高を更新した。SIサービスは、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウド移行・構築案件が堅調に推移し、5G基地局検証案件が好調に推移した。
また、自社プロダクトについても、主力の「Cyber Smartシリーズ」製品が年間保守料やクラウド使用料等の増加により堅調に推移した。2022年3月に販売を開始した高精度位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」も様々な業界から多くの問い合わせがあり、他社サービスとの連携など反響は上々で、今後の収益貢献が期待できる。
無借金経営で財務内容は健全、CMSでの資金運用を休止
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期第2四半期末における資産合計は前期末比1,248百万円減少の9,888百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では短期貸付金が富士ソフト向けCMS※の運用休止に伴い2,841百万円減少し、回収した2,841百万円のうち1,000百万円を合同運用指定金銭信託での資金運用として有価証券の取得に充当した。このほか、現金及び預金が883百万円増加し、売上債権が114百万円減少した。また、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が19百万円、無形固定資産(ソフトウェア)が3百万円、投資その他の資産が68百万円それぞれ減少した。
※CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とは、企業グループ全体の資金の状況を可視化し、資金の無駄遣いの防止や、資金の不足・不正など、資金に関わる様々なリスクに対応するための管理システムを言う。CMSを活用することにより、親会社は、企業グループ全体の資金を一元的に管理することが可能になり、資金効率の向上や内部統制の強化を図ることができる。
負債合計は、前期末比1,533百万円減少の3,558百万円となった。主な変動要因を見ると、流動負債では買掛金が58百万円増加した一方で、未払費用が258百万円、未払法人税等が257百万円、賞与引当金が34百万円それぞれ減少した。また、固定負債では退職給付引当金が退職給付信託の設定に伴い926百万円減少した。純資産は同285百万円増加の6,330百万円となった。配当金の支払及び四半期純利益の計上により、利益剰余金が285百万円増加した。
経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の54.3%から64.0%へ上昇した。無借金経営が続いているほか、金融資産(現金及び預金)も17億円強と潤沢なことから、財務の健全性は高いと判断できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比11.4%増の6,508百万円、営業利益は同21.4%増の1,141百万円と2期連続で過去最高を更新した。通信ソフトウェア開発は減収減益となったものの、業務ソフトウェアが好調を持続したほか、制御ソフトウェアも増収増益に転じた。
分野別の動向を見ると、通信ソフトウェア開発は売上高で前年同期比5.9%減の1,469百万円、営業利益で同4.4%減の206百万円となった。2020年12月期以降けん引役となっていた「通信基盤」分野の売上高は、開発案件の一巡により同3.5%減の1,272百万円となったほか、通信端末等の「その他通信」分野の売上高も同18.8%減の197百万円と減少傾向が続いた。一方、営業利益率は前年同期の13.8%に対して14.0%とほぼ同水準となった。
制御ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.5%増の1,466百万円と3期振りの増収に転じ、営業利益も同23.2%増の264百万円と2期振りの増益となった。コロナ禍や客先の内製化の影響で減収傾向が続いていた「車載」分野の売上高が同10.1%増の698百万円と3期振りの増収に転じたほか、「その他制御」分野もプリンタ用ドライバ開発案件の拡大により同25.2%増の767百万円と2期連続の増収となった。「車載」分野では新規顧客の開拓が進み、ボディ制御やECU関連の開発案件が増加した。ただし、ピーク時の売上(2019年12月期第2四半期累計971百万円)と比較すると7割程度にとどまっていることから、顧客開拓を進めながら売上拡大を目指していく。なお、「その他制御」分野をけん引したプリンタ用ドライバの開発案件については繁閑の波があり、2022年12月期第2四半期累計は繁忙期に当たったと見られる。同分野ではFA機器等のロボット制御系に注力しているものの大きな受注には至っておらず、主要顧客はリコーグループや東京エレクトロングループとなっている。一方、営業利益率は前年同期の17.2%から18.0%に上昇した。過去最高売上(1,707百万円)を記録した2019年12月期第2四半期累計の営業利益率が13.0%であったことからも、収益性は大きく向上していると言える。
業務ソフトウェア開発は売上高で前年同期比17.8%増の3,572百万円、営業利益で同31.6%増の670百万円と過去最高を更新した。業種別売上動向を見ると、金融向けが生命保険会社、信販会社向けなど全般的に好調に推移し同58.4%増の1,272百万円となったほか、注力分野である公共向けも顔認証システム案件の増加等により同26.7%増の576百万円となった。また、流通向けもEC構築案件や流通システムの開発案件が伸長し、同31.4%増の354百万円と2ケタ成長が続いた。一方、情報通信向けや製造業向け、医療向けは減収となったが、これは受注能力が限られるなかで選別受注を行った結果によるもので、受注環境は引き続き良好である。高付加価値案件を多く受注できたこともあり、営業利益率は前年同期の16.8%から18.8%に上昇し、過去最高水準となっている。
(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前年同期比11.4%増の1,746百万円、営業利益は同17.3%増の279百万円と連続増収増益となり、過去最高を更新した。SIサービスは、社会インフラ及び金融系を中心とした仮想化、クラウド移行・構築案件が堅調に推移し、5G基地局検証案件が好調に推移した。
また、自社プロダクトについても、主力の「Cyber Smartシリーズ」製品が年間保守料やクラウド使用料等の増加により堅調に推移した。2022年3月に販売を開始した高精度位置情報ソリューション「Cyber Position Navi Plus」も様々な業界から多くの問い合わせがあり、他社サービスとの連携など反響は上々で、今後の収益貢献が期待できる。
無借金経営で財務内容は健全、CMSでの資金運用を休止
3. 財務状況と経営指標
2022年12月期第2四半期末における資産合計は前期末比1,248百万円減少の9,888百万円となった。主な増減要因を見ると、流動資産では短期貸付金が富士ソフト向けCMS※の運用休止に伴い2,841百万円減少し、回収した2,841百万円のうち1,000百万円を合同運用指定金銭信託での資金運用として有価証券の取得に充当した。このほか、現金及び預金が883百万円増加し、売上債権が114百万円減少した。また、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が19百万円、無形固定資産(ソフトウェア)が3百万円、投資その他の資産が68百万円それぞれ減少した。
※CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とは、企業グループ全体の資金の状況を可視化し、資金の無駄遣いの防止や、資金の不足・不正など、資金に関わる様々なリスクに対応するための管理システムを言う。CMSを活用することにより、親会社は、企業グループ全体の資金を一元的に管理することが可能になり、資金効率の向上や内部統制の強化を図ることができる。
負債合計は、前期末比1,533百万円減少の3,558百万円となった。主な変動要因を見ると、流動負債では買掛金が58百万円増加した一方で、未払費用が258百万円、未払法人税等が257百万円、賞与引当金が34百万円それぞれ減少した。また、固定負債では退職給付引当金が退職給付信託の設定に伴い926百万円減少した。純資産は同285百万円増加の6,330百万円となった。配当金の支払及び四半期純利益の計上により、利益剰余金が285百万円増加した。
経営指標を見ると、自己資本比率は前期末の54.3%から64.0%へ上昇した。無借金経営が続いているほか、金融資産(現金及び預金)も17億円強と潤沢なことから、財務の健全性は高いと判断できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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