注目トピックス 日本株
エーバランス Research Memo(1):2022年6月期は過去業績を更新、中期経営計画は上方修正へ
配信日時:2022/09/22 17:01
配信元:FISCO
■要約
Abalance<3856>グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。また、2020年11月にベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を特定子会社化し、業容を大きく拡大している。同社は、VSUNの年間生産能力について2.6GWと、生産量は世界ランキングの上位に入るとしており、日系ではトップクラスとなる。主要販売地域は欧米だが、今後は南米をはじめとするそのほかの地域に展開していくことを見据えて、生産能力を2030年に8GWまで拡大する計画であり、連結業績をけん引するものと期待される。VSUNはベトナム「UPCoM店頭市場」への上場(IPO)の前提となる株式公開登録に向けて手続を進めているが、同社は上場後も連結対象子会社化を維持する方針である。また同グループは、3ヶ年の中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)を2021年10月に発表した。初年度となる2022年6月期において、売上高はVSUNの業績拡大により最終年度の目標値を大幅に超過したため、2024年6月期の計画値について見直しを予定している。
1. 2022年6月期の業績概要
2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比243.6%増の92,435百万円、営業利益で同24.7%増の1,697百万円、経常利益で同19.0%増の1,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同61.3%増の867百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高業績を大幅更新した。売上高は2021年6月期第2四半期から連結対象に加わったVSUNの売上(太陽光パネル製造事業)が同289.2%増の81,775百万円と伸長したことに加え、グリーンエネルギー事業もM&A効果等により同92.7%増の10,234百万円と好調に推移したことが増収要因となった。利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で太陽光パネルの部材費や海上運送費が高騰した影響から、太陽光パネル製造事業でセグメント利益率が一時的に低下したものの、第3四半期以降に価格転嫁に取り組んだ効果もあって同事業の営業利益が前期比69.3%増の1,238百万円となったほか、グリーンエネルギー事業も同19.7%増の1,204百万円となるなど主力事業がけん引した。
2. 2023年6月期の業績見通し
2023年6月期の連結業績は、売上高で前期比19.0%増の110,000百万円、営業利益で同70.8%増の2,900百万円、経常利益で同86.0%増の2,810百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同47.6%増の1,280百万円を見込む。太陽光パネル製造事業の売上高は旺盛な受注を背景に、前期比22.3%増の100,000百万円を計画し、セグメント利益も生産効率化や価格転嫁等の取り組みにより一定水準の改善を見込んでいる。2022年6月期第4四半期の売上高が32,200百万円、セグメント利益率が2.5%となっており、直近の受注状況も欧州からの引き合いが活発なことから、会社計画は上振れする可能性が高いと見られる。グリーンエネルギー事業についてはストック型ビジネスモデルへの転換を進めており、自社開発並びにM&Aにより売電収入等のストック売上を3,000百万円超の水準まで増加する計画となっている。
3. 中期経営計画の進捗状況と成長戦略
同社は、2024年6月期までの3ヶ年中期経営計画を2021年10月に発表した。同期間を2030年グループビジョン「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンに、グループの持続的成長と企業価値の最大化を図る方針を掲げた。業績目標としては2024年6月期に売上高590億円、営業利益36億円、経常利益31億円を掲げていたが、太陽光パネル製造事業が当初想定を上回るペースで急成長したことで売上高は1年目で最終年度目標を超過した。このため今後速やかに業績目標の見直しを発表する予定にしている。太陽光パネル製造事業は旺盛な需要を背景に、能力増強を前倒しで進める予定となっており、当初計画していた3.6GW(現況2.6 GW)からさらに引き上げる可能性もあると言う。売電収入による安定収益基盤の確立は、2030年グループビジョンの最重要戦略である。発電所の自社開発による保有化に加えて、大型のM&Aを実行することで成長スピードを加速する考えで、2024年6月期までに発電能力150MWの保有を目指す。中長期的な企業価値向上に向けた施策として、同社は以下のポイントに取り組む方針を示している。
・VSUNの業績拡大、持続的な成長、及び利益率の改善
・自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)の申請強化、ソーラー・シェアリングの推進、脱炭素化を目指す企業(SBT、RE100等)や自治体に対する新たな事業機会の訴求・ソリューションの提示
・再生エネルギー分野を中心としたM&Aの実行、多様な資金調達手段の確保
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・VSUNのベトナム「UPCoM店頭市場」IPOに向けて、株式公開制度への登録
・ESGレーティング・スコアを意識した情報開示(TCFD※)、英文開示の拡充
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社等との提携推進
・プライム市場への指定替え 等
※TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれ、投資家が適切な投資判断ができるよう、気候変動に関わる企業のガバナンスや戦略、リスク管理、指標と目標について開示することを推奨している。
■Key Points
・同社グループは、「グリーンエネルギー事業」と「太陽光パネル製造事業」を両輪とした再生可能エネルギーの総合カンパニー、VSUNのパネル製造能力は日系企業の中ではトップクラス
・2022年6月期業績は主力2事業の伸長により過去最高業績を大幅更新
・2023年6月期業績計画は、外部環境の急変がない限り会社計画を上回る可能性が高い
・2024年6月期までの中期業績目標は想定を大きく上回るペースで進捗、上方修正を行う予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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Abalance<3856>グループは、ESG・SDGsを推進する再生可能エネルギーの総合カンパニーである。主力の太陽光発電に関しては企画・開発から施工・販売・保守・売電まですべてを手掛け、2030年の保有発電容量1GWを目指している。また、2020年11月にベトナムの大手太陽電池パネルモジュールメーカーであるVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下、VSUN)を特定子会社化し、業容を大きく拡大している。同社は、VSUNの年間生産能力について2.6GWと、生産量は世界ランキングの上位に入るとしており、日系ではトップクラスとなる。主要販売地域は欧米だが、今後は南米をはじめとするそのほかの地域に展開していくことを見据えて、生産能力を2030年に8GWまで拡大する計画であり、連結業績をけん引するものと期待される。VSUNはベトナム「UPCoM店頭市場」への上場(IPO)の前提となる株式公開登録に向けて手続を進めているが、同社は上場後も連結対象子会社化を維持する方針である。また同グループは、3ヶ年の中期経営計画(2022年6月期~2024年6月期)を2021年10月に発表した。初年度となる2022年6月期において、売上高はVSUNの業績拡大により最終年度の目標値を大幅に超過したため、2024年6月期の計画値について見直しを予定している。
1. 2022年6月期の業績概要
2022年6月期の連結業績は、売上高で前期比243.6%増の92,435百万円、営業利益で同24.7%増の1,697百万円、経常利益で同19.0%増の1,510百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同61.3%増の867百万円といずれも会社計画を上回り、過去最高業績を大幅更新した。売上高は2021年6月期第2四半期から連結対象に加わったVSUNの売上(太陽光パネル製造事業)が同289.2%増の81,775百万円と伸長したことに加え、グリーンエネルギー事業もM&A効果等により同92.7%増の10,234百万円と好調に推移したことが増収要因となった。利益面では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)で太陽光パネルの部材費や海上運送費が高騰した影響から、太陽光パネル製造事業でセグメント利益率が一時的に低下したものの、第3四半期以降に価格転嫁に取り組んだ効果もあって同事業の営業利益が前期比69.3%増の1,238百万円となったほか、グリーンエネルギー事業も同19.7%増の1,204百万円となるなど主力事業がけん引した。
2. 2023年6月期の業績見通し
2023年6月期の連結業績は、売上高で前期比19.0%増の110,000百万円、営業利益で同70.8%増の2,900百万円、経常利益で同86.0%増の2,810百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同47.6%増の1,280百万円を見込む。太陽光パネル製造事業の売上高は旺盛な受注を背景に、前期比22.3%増の100,000百万円を計画し、セグメント利益も生産効率化や価格転嫁等の取り組みにより一定水準の改善を見込んでいる。2022年6月期第4四半期の売上高が32,200百万円、セグメント利益率が2.5%となっており、直近の受注状況も欧州からの引き合いが活発なことから、会社計画は上振れする可能性が高いと見られる。グリーンエネルギー事業についてはストック型ビジネスモデルへの転換を進めており、自社開発並びにM&Aにより売電収入等のストック売上を3,000百万円超の水準まで増加する計画となっている。
3. 中期経営計画の進捗状況と成長戦略
同社は、2024年6月期までの3ヶ年中期経営計画を2021年10月に発表した。同期間を2030年グループビジョン「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すための助走期間と位置付け、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を成長エンジンに、グループの持続的成長と企業価値の最大化を図る方針を掲げた。業績目標としては2024年6月期に売上高590億円、営業利益36億円、経常利益31億円を掲げていたが、太陽光パネル製造事業が当初想定を上回るペースで急成長したことで売上高は1年目で最終年度目標を超過した。このため今後速やかに業績目標の見直しを発表する予定にしている。太陽光パネル製造事業は旺盛な需要を背景に、能力増強を前倒しで進める予定となっており、当初計画していた3.6GW(現況2.6 GW)からさらに引き上げる可能性もあると言う。売電収入による安定収益基盤の確立は、2030年グループビジョンの最重要戦略である。発電所の自社開発による保有化に加えて、大型のM&Aを実行することで成長スピードを加速する考えで、2024年6月期までに発電能力150MWの保有を目指す。中長期的な企業価値向上に向けた施策として、同社は以下のポイントに取り組む方針を示している。
・VSUNの業績拡大、持続的な成長、及び利益率の改善
・自家消費案件(ノンフィット、ノンファーム)の申請強化、ソーラー・シェアリングの推進、脱炭素化を目指す企業(SBT、RE100等)や自治体に対する新たな事業機会の訴求・ソリューションの提示
・再生エネルギー分野を中心としたM&Aの実行、多様な資金調達手段の確保
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・VSUNのベトナム「UPCoM店頭市場」IPOに向けて、株式公開制度への登録
・ESGレーティング・スコアを意識した情報開示(TCFD※)、英文開示の拡充
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社等との提携推進
・プライム市場への指定替え 等
※TCFD (Task Force on Climate-related Financial Disclosures)とは、「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれ、投資家が適切な投資判断ができるよう、気候変動に関わる企業のガバナンスや戦略、リスク管理、指標と目標について開示することを推奨している。
■Key Points
・同社グループは、「グリーンエネルギー事業」と「太陽光パネル製造事業」を両輪とした再生可能エネルギーの総合カンパニー、VSUNのパネル製造能力は日系企業の中ではトップクラス
・2022年6月期業績は主力2事業の伸長により過去最高業績を大幅更新
・2023年6月期業績計画は、外部環境の急変がない限り会社計画を上回る可能性が高い
・2024年6月期までの中期業績目標は想定を大きく上回るペースで進捗、上方修正を行う予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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