ランチタイムコメント
日経平均は大幅反落、パウエル氏講演のタカ派内容受けて投資家心理悪化
配信日時:2022/08/29 12:12
配信元:FISCO
日経平均は大幅反落。789.70円安の27851.68円(出来高概算5億7491万株)で前場の取引を終えている。
前週末26日の米株式市場のNYダウは1008.38ドル安(-3.03%)と大幅反落。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言が想定以上にタカ派的となったため、金利高警戒感に投資家心理が悪化し売りが加速した。同時に景気後退懸念を受けた売りも再燃、ナスダック総合指数も3.94%安と大幅に反落、主要株価指数がそろって大幅に下落した米株市場を受けて、日経平均は前週末比480.32円安からスタート。その後は、下げ幅をじりじりと拡げる展開となった。
個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>、アドバンテ<6857>などの半導体関連株が大幅下落、商船三井<9104>や日本郵船<9101>などの海運株も軟調。ファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>なども大幅安、メルカリ<4385>やベイカレント<6532>、リクルートHD<6098>などの主力グロース株も大幅に下落、ソニーG<6758>やダイキン<6367>なども冴えなかった。ほか、株式売出による需給悪化を嫌気されたプロネクサス<7893>、大規模売出による需給悪化を警戒されたカーバイド<4064>などが急落、サーバーワークス<4434>、SREホールディングス<2980>などが値下がり率上位に顔を出した。
一方、INPEX<1605>やENEOS<5020>などが前週末比で均衡状態。SBIHDが株式追加取得を発表してこれを好感されたチェンジ<3962>、株式分割実施を発表した日鉄鉱<1515>
などが大幅高となった。クロスキャット<2307>、新田ゼラチン<4977>、FIG<4392>などが値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは精密機器、機械、サービスが下落率上位となった一方、石油・石炭、鉱業が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の6%、対して値下がり銘柄は92%となっている。
本日の日経平均株価は、大きく下落してスタートした後じりじりと下げ幅を拡げる展開となった。パウエル議長の発言が想定以上にタカ派的となったことや米株大幅安の流れを受けて国内でも投資家心理が悪化、寄り付きで25日移動平均線を割り込んだ。アジア市況や米株先物が軟調に推移するなか、日経平均株価も軟調な展開が続いた。
新興市場も売り優勢の展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は、大きく下落してスタートしたあとマイナス圏で軟調もみ合い展開となった。ハト派寄りの見解が想定されていたジャクソンホール会議でのパウエル氏の講演がタカ派な内容となったことで個人投資家心理が悪化。前引け時点で東証マザーズ指数が2.50%安、東証グロース市場Core指数が4.28%安で時価総額上位銘柄中心に軟調な展開となっていることが窺えた。
さて、ジャクソンホール会議でのパウエル議長は「7月のインフレ指標が低下したことは歓迎すべきこと」だとしつつも、FRBが目指しているものには「程遠い」と話し、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での3会合連続となる0.75ポイント利上げの可能性を示唆した。インフレ抑制のために高金利を維持する方針を示し、早急な金融緩和への転換にはリスクが伴うと指摘。インフレ抑制策が短期的には景気に悪影響を及ぼしても、長期的な経済成長には必要なことだと痛みを受け入れる姿勢も見せている。
ジャクソンホール会議開催前のFRB高官発言にも注目したい。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は25日に高インフレは多くが予想している以上に持続するとの見方を示し、政策金利を年末までに3.75%-4.00%に引き上げたいとの認識を改めて示している。米カンザスシティー連銀のジョージ総裁もFRBは政策金利を景気抑制的な水準まで引き上げておらず、当面は4%を上回る地点にもっていく必要があるかもしれないと語っていた。今週末は米8月雇用統計の発表が控えているが、これらの結果次第では9月FOMCでの利上げ幅拡大への警戒感がより一層高まりそうで、最大の注目が集まるだろう。
また、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「資産市場の価値は全体として20-25%下落するだろう」と予想している。同氏の予想によれば、量的引き締めと利上げはインフレと経済成長の両方を押し下げるが、インフレのほうがしぶとく、結果的に長期債を中心にあらゆる金利が上昇するとみている。金融経済と実体経済の間には大幅な乖離があると指摘。25%程度の下落は、ナスダック100指数で9600pt付近となっており2020年のコロナショック前の水準、現段階では筆者も今後同水準まで下落する可能性があることを念頭に置いて相場を見守っている。
さて、今週は米国や中国で景気指標や経済指標など、多くの重要な指標が発表される。これらの動向が明らかになるまでは積極的に売買する動きは限られるだろう。金融引き締め長期化で主力グロース株やバリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株に向かい風となるなか、インフレ抑制策による景気後退懸念も強まっており景気敏感株も手掛けにくい。後場の日経平均は、下げ幅をさらに広げる展開が続くか。前場に続いてアジア市況や米株先物の動向に注目しつつ日経平均株価の動きを見守っていきたい。
<AK>
前週末26日の米株式市場のNYダウは1008.38ドル安(-3.03%)と大幅反落。連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言が想定以上にタカ派的となったため、金利高警戒感に投資家心理が悪化し売りが加速した。同時に景気後退懸念を受けた売りも再燃、ナスダック総合指数も3.94%安と大幅に反落、主要株価指数がそろって大幅に下落した米株市場を受けて、日経平均は前週末比480.32円安からスタート。その後は、下げ幅をじりじりと拡げる展開となった。
個別では、レーザーテック<6920>や東エレク<8035>、アドバンテ<6857>などの半導体関連株が大幅下落、商船三井<9104>や日本郵船<9101>などの海運株も軟調。ファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>なども大幅安、メルカリ<4385>やベイカレント<6532>、リクルートHD<6098>などの主力グロース株も大幅に下落、ソニーG<6758>やダイキン<6367>なども冴えなかった。ほか、株式売出による需給悪化を嫌気されたプロネクサス<7893>、大規模売出による需給悪化を警戒されたカーバイド<4064>などが急落、サーバーワークス<4434>、SREホールディングス<2980>などが値下がり率上位に顔を出した。
一方、INPEX<1605>やENEOS<5020>などが前週末比で均衡状態。SBIHDが株式追加取得を発表してこれを好感されたチェンジ<3962>、株式分割実施を発表した日鉄鉱<1515>
などが大幅高となった。クロスキャット<2307>、新田ゼラチン<4977>、FIG<4392>などが値上がり率上位に顔を出した。
セクターでは精密機器、機械、サービスが下落率上位となった一方、石油・石炭、鉱業が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の6%、対して値下がり銘柄は92%となっている。
本日の日経平均株価は、大きく下落してスタートした後じりじりと下げ幅を拡げる展開となった。パウエル議長の発言が想定以上にタカ派的となったことや米株大幅安の流れを受けて国内でも投資家心理が悪化、寄り付きで25日移動平均線を割り込んだ。アジア市況や米株先物が軟調に推移するなか、日経平均株価も軟調な展開が続いた。
新興市場も売り優勢の展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は、大きく下落してスタートしたあとマイナス圏で軟調もみ合い展開となった。ハト派寄りの見解が想定されていたジャクソンホール会議でのパウエル氏の講演がタカ派な内容となったことで個人投資家心理が悪化。前引け時点で東証マザーズ指数が2.50%安、東証グロース市場Core指数が4.28%安で時価総額上位銘柄中心に軟調な展開となっていることが窺えた。
さて、ジャクソンホール会議でのパウエル議長は「7月のインフレ指標が低下したことは歓迎すべきこと」だとしつつも、FRBが目指しているものには「程遠い」と話し、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での3会合連続となる0.75ポイント利上げの可能性を示唆した。インフレ抑制のために高金利を維持する方針を示し、早急な金融緩和への転換にはリスクが伴うと指摘。インフレ抑制策が短期的には景気に悪影響を及ぼしても、長期的な経済成長には必要なことだと痛みを受け入れる姿勢も見せている。
ジャクソンホール会議開催前のFRB高官発言にも注目したい。米セントルイス地区連銀のブラード総裁は25日に高インフレは多くが予想している以上に持続するとの見方を示し、政策金利を年末までに3.75%-4.00%に引き上げたいとの認識を改めて示している。米カンザスシティー連銀のジョージ総裁もFRBは政策金利を景気抑制的な水準まで引き上げておらず、当面は4%を上回る地点にもっていく必要があるかもしれないと語っていた。今週末は米8月雇用統計の発表が控えているが、これらの結果次第では9月FOMCでの利上げ幅拡大への警戒感がより一層高まりそうで、最大の注目が集まるだろう。
また、ヘッジファンド運営会社ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「資産市場の価値は全体として20-25%下落するだろう」と予想している。同氏の予想によれば、量的引き締めと利上げはインフレと経済成長の両方を押し下げるが、インフレのほうがしぶとく、結果的に長期債を中心にあらゆる金利が上昇するとみている。金融経済と実体経済の間には大幅な乖離があると指摘。25%程度の下落は、ナスダック100指数で9600pt付近となっており2020年のコロナショック前の水準、現段階では筆者も今後同水準まで下落する可能性があることを念頭に置いて相場を見守っている。
さて、今週は米国や中国で景気指標や経済指標など、多くの重要な指標が発表される。これらの動向が明らかになるまでは積極的に売買する動きは限られるだろう。金融引き締め長期化で主力グロース株やバリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株に向かい風となるなか、インフレ抑制策による景気後退懸念も強まっており景気敏感株も手掛けにくい。後場の日経平均は、下げ幅をさらに広げる展開が続くか。前場に続いてアジア市況や米株先物の動向に注目しつつ日経平均株価の動きを見守っていきたい。
<AK>
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