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グローセル Research Memo(1):ルネサス製品を中心とする半導体・電子部品商社
配信日時:2022/07/07 16:21
配信元:FISCO
■要約
グローセル<9995>は半導体を中心とした技術系電子部品商社で、旧(株)ルネサスイーストンから2019年7月1日付で商号変更した。ルネサスエレクトロニクス<6723>(以下、ルネサス)の有力特約店という立場にあり、取扱商品はルネサス製半導体が中心となっているが、国内外において新規商材の発掘にも余念がない。注目すべきは、2018年4月から開始した半導体ひずみセンサー(製品名「STREAL(ストリアル)」)のビジネス。高性能な製品の自社開発・展開に多くの企業から注目が集まっている。利益率が高いことに加え、工業用途だけでなく社会インフラや文化的な目的(伝統的技能の継承等。)にも使える可能性が広がっており、今後の同社の業績を様変わりさせる可能性が高まっている。
1. 2022年3月期連結業績(実績)
2022年3月期の連結業績は、売上高が67,259百万円(前期比12.4%増)、営業利益953百万円(前期は493百万円の損失)、経常利益が1,199百万円(同261百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が362百万円(同367万円の損失)となった。前期(特に上半期)が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた時期であったことから、その反動もあり業績は大きく回復した。主要仕入先であるルネサスの商流移管(2021年4月から)の影響で、売上高は約8,400百万円目減りしたが、それでも増収を確保した。分野別では、産業分野に加え、主力の自動車向けが生産台数の回復に伴い大きく増加した。利益面では、高採算品の比率が高まったことで粗利率が前期比1.3pt改善した一方で、販管費は「STREAL」研究開発費の増加や海外の売上高増に伴う物流費増加などにより同1.9%増となった。この結果、営業損益は大きく改善し3期ぶりに営業黒字を計上した。注力商品である「STREAL」の売上高は、同66.7%増の2,550百万円となり順調に拡大している。なお、経営基盤強化施策推進に伴う構造改革費用1,152百万円を特別損失として計上したことから最終損益は赤字となった。
2. 2023年3月期の連結業績:商流移管の影響で減収減益だが実質は続伸予想
進行中の2023年3月期については、現時点では売上高65,000百万円(前期比3.4%減)、営業利益755百万円(同20.8%減)、経常利益750百万円(同37.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益570百万円(前期は362百万円の損失)が予想されている。引き続きルネサスの商流移管の影響が残り、売上高で約12,600百万円、粗利で約1,380百万円の減少が見込まれている。ただしこの影響を除けば約19%の増収予想となっており、実質では改善が続く見込みである。製品別ではすべての商品で増収を見込んでいる。注目の「STREAL」は、一部顧客向けが遅延しているものの約3,000百万円(同17.6%増)を見込んでいる。
3. 新中期経営計画を発表:2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円を目指す
同社は、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「SSG2021」を推進していたが、売上高と営業利益の目標は未達に終わった。しかし会社は、「デザイン-イン(以下、D-in)と定性的な体質変化の目標は達成できた」と述べている。この結果を踏まえ、新たな中期経営計画「プロジェクト“S”」(2023年3月期~2025年3月期)を発表した。活動指針として「経営基盤の強化」「売上・事業の拡大」「サステナビリティ経営の実践」を掲げており、数値目標として2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円(営業利益率2.4%)、ROE5.9%を目指している。容易な目標ではないだろうが、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・自動車及び産業分野向けを主力とする半導体商社。ADASやIoT関連にも展開
・2022年3月期は営業黒字達成。「STREAL」も順調に拡大
・新中期経営計画で、2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<SI>
グローセル<9995>は半導体を中心とした技術系電子部品商社で、旧(株)ルネサスイーストンから2019年7月1日付で商号変更した。ルネサスエレクトロニクス<6723>(以下、ルネサス)の有力特約店という立場にあり、取扱商品はルネサス製半導体が中心となっているが、国内外において新規商材の発掘にも余念がない。注目すべきは、2018年4月から開始した半導体ひずみセンサー(製品名「STREAL(ストリアル)」)のビジネス。高性能な製品の自社開発・展開に多くの企業から注目が集まっている。利益率が高いことに加え、工業用途だけでなく社会インフラや文化的な目的(伝統的技能の継承等。)にも使える可能性が広がっており、今後の同社の業績を様変わりさせる可能性が高まっている。
1. 2022年3月期連結業績(実績)
2022年3月期の連結業績は、売上高が67,259百万円(前期比12.4%増)、営業利益953百万円(前期は493百万円の損失)、経常利益が1,199百万円(同261百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失が362百万円(同367万円の損失)となった。前期(特に上半期)が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けた時期であったことから、その反動もあり業績は大きく回復した。主要仕入先であるルネサスの商流移管(2021年4月から)の影響で、売上高は約8,400百万円目減りしたが、それでも増収を確保した。分野別では、産業分野に加え、主力の自動車向けが生産台数の回復に伴い大きく増加した。利益面では、高採算品の比率が高まったことで粗利率が前期比1.3pt改善した一方で、販管費は「STREAL」研究開発費の増加や海外の売上高増に伴う物流費増加などにより同1.9%増となった。この結果、営業損益は大きく改善し3期ぶりに営業黒字を計上した。注力商品である「STREAL」の売上高は、同66.7%増の2,550百万円となり順調に拡大している。なお、経営基盤強化施策推進に伴う構造改革費用1,152百万円を特別損失として計上したことから最終損益は赤字となった。
2. 2023年3月期の連結業績:商流移管の影響で減収減益だが実質は続伸予想
進行中の2023年3月期については、現時点では売上高65,000百万円(前期比3.4%減)、営業利益755百万円(同20.8%減)、経常利益750百万円(同37.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益570百万円(前期は362百万円の損失)が予想されている。引き続きルネサスの商流移管の影響が残り、売上高で約12,600百万円、粗利で約1,380百万円の減少が見込まれている。ただしこの影響を除けば約19%の増収予想となっており、実質では改善が続く見込みである。製品別ではすべての商品で増収を見込んでいる。注目の「STREAL」は、一部顧客向けが遅延しているものの約3,000百万円(同17.6%増)を見込んでいる。
3. 新中期経営計画を発表:2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円を目指す
同社は、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画「SSG2021」を推進していたが、売上高と営業利益の目標は未達に終わった。しかし会社は、「デザイン-イン(以下、D-in)と定性的な体質変化の目標は達成できた」と述べている。この結果を踏まえ、新たな中期経営計画「プロジェクト“S”」(2023年3月期~2025年3月期)を発表した。活動指針として「経営基盤の強化」「売上・事業の拡大」「サステナビリティ経営の実践」を掲げており、数値目標として2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円(営業利益率2.4%)、ROE5.9%を目指している。容易な目標ではないだろうが、今後の動向に注目したい。
■Key Points
・自動車及び産業分野向けを主力とする半導体商社。ADASやIoT関連にも展開
・2022年3月期は営業黒字達成。「STREAL」も順調に拡大
・新中期経営計画で、2025年3月期に売上高800億円、営業利益19.2億円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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