注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:米実質金利の安定背景にリバウンドに期待
配信日時:2022/05/14 14:26
配信元:FISCO
■インフレ巡る思惑などで乱高下
日経平均は週間で575.91円安(-2.13%)と大幅に反落。終値で13週、26週移動平均線を下回った。週初9日の日経平均は684.22円安と急落。米4月雇用統計の結果を受けて連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感が一段と強まった。米10年債利回りが2018年11月以来の高水準を記録するなか米ハイテク株安を受け、日経平均も急落。10日は152.24円安と続落。FRBの急速な利上げや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済の減速などを背景に景気後退懸念が強まり、投資家のリスク回避の動きが継続。日経平均は一時500円超下落したが、中盤から買い戻され、26000円は回復。
11日は46.54円高と小幅反発。米4月消費者物価指数(CPI)を前にした警戒感から持ち高を傾けにくい展開となった。朝安後は切り返して堅調に推移していたが、午後に決算を発表したトヨタ自動車<7203>の今期見通しが市場予想を下回ると機械的な売りが出たと思われ、日経平均も連れ安の展開に。
12日は464.92円安と大幅反落。米CPIが予想を上回ったことで、金融引き締め加速などの懸念が再び強まった。ハイテク株を中心に売りが加速し、米主要株価指数が揃って年初来安値を更新するなか、東京市場も下落を強いられた。
週末13日は678.93円高と一転して大幅反発。ナスダック総合指数が小幅ながら反発したことで安心感が台頭したほか、前日に500円近く下落していたことから朝方から買い戻しが先行。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで一気に買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、本決算を発表したソフトバンクグループ<9984>があく抜け感から12%高となるなど、値がさのハイテク株の急伸劇も指数を押し上げた。
■債券市場ではインフレピークアウト織り込む
来週の日経平均は堅調な展開か。急ピッチで調整している米株市場だが、目先は修正リバウンドが入ると想定され、米主要株価指数の反発に並走する形で、東京市場でも今週末のリバウンドが継続すると予想。
米CPIは総合と変動の激しい品目を除いたコアがともに市場予想を上回った。今までインフレをけん引してきたモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られた一方、新たにサービス分野での価格上昇が目立った。米4月卸売物価指数(PPI)は総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、コアでは予想を下回り、まちまちな結果だった。
インフレ懸念とインフレピークアウト期待が混在する一方、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%(前日比-0.11pt)と大幅に低下。4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下している。米10年債利回りも今週後半には2.8%台へと低下するなど、低下基調にあり、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められている様子。
株式市場の3月中旬からの強烈なリバウンド時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し、その後4月からはしっぺ返しを食らう展開だった。しかし、今回は、当時とは反対に、米主要株価指数が年初来安値を更新する一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念が後退するかのような動きが続いている。今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、米主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。
米BEIは4月21日の3.02%をピークに12日時点の2.59%まで低下しているのに対し、米10年債利回りは5月6日の3.14%の高値から12日時点の2.85%まで低下。米BEIの方が先にピークを付け、下落率も大きい。インフレ懸念が払しょくされていないことを踏まえれば、BEIがここから更に低下する余地は小さいとみられ、遅れて調整を始めた米長期金利の方がまだ低下余地がありそうだ。実際、13日には米BEIが2.69%と大きめに上昇した一方、米長期金利の上昇は限定的だった。
パウエルFRB議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を改めて示した。政策金利の上昇ペースが明確になったことを背景に名目金利がこのまま安定した基調を続ける一方、BEIが上昇を続ければ、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下につながり、ハイテク株を中心に相場の反転が期待できよう。
■ハイテク・グロースのリバウンドに期待
今週末は本決算を発表したソフトバンクグループが大幅な赤字を計上しながらも、あく抜け感から株価が急伸。こうした動きからも目先はハイテク・グロース株のリバウンドに期待。一方、来週は中国で重要経済指標が発表予定。都市封鎖が続く同国では経済指標の悪化が警戒され、中国地域での売上比率が高い銘柄などには警戒しておきたい。
■中国4月鉱工業生産、米4月小売売上高など
来週は16日に4月企業物価指数、4月工作機械受注、中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、米5月ニューヨーク連銀景気指数、17日に米4月小売売上高、18日に1-3月期GDP速報値、米4月住宅着工件数、19日に4月貿易収支、3月機械受注、米5月フィラデルフィア連銀景気指数、米4月中古住宅販売、20日に4月全国消費者物価指数などが公表予定。
<FA>
日経平均は週間で575.91円安(-2.13%)と大幅に反落。終値で13週、26週移動平均線を下回った。週初9日の日経平均は684.22円安と急落。米4月雇用統計の結果を受けて連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めへの警戒感が一段と強まった。米10年債利回りが2018年11月以来の高水準を記録するなか米ハイテク株安を受け、日経平均も急落。10日は152.24円安と続落。FRBの急速な利上げや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済の減速などを背景に景気後退懸念が強まり、投資家のリスク回避の動きが継続。日経平均は一時500円超下落したが、中盤から買い戻され、26000円は回復。
11日は46.54円高と小幅反発。米4月消費者物価指数(CPI)を前にした警戒感から持ち高を傾けにくい展開となった。朝安後は切り返して堅調に推移していたが、午後に決算を発表したトヨタ自動車<7203>の今期見通しが市場予想を下回ると機械的な売りが出たと思われ、日経平均も連れ安の展開に。
12日は464.92円安と大幅反落。米CPIが予想を上回ったことで、金融引き締め加速などの懸念が再び強まった。ハイテク株を中心に売りが加速し、米主要株価指数が揃って年初来安値を更新するなか、東京市場も下落を強いられた。
週末13日は678.93円高と一転して大幅反発。ナスダック総合指数が小幅ながら反発したことで安心感が台頭したほか、前日に500円近く下落していたことから朝方から買い戻しが先行。5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)は25951.24円で、これを早々に上回ったことで一気に買い戻しが強まった。また、米長期金利が低下するなか、本決算を発表したソフトバンクグループ<9984>があく抜け感から12%高となるなど、値がさのハイテク株の急伸劇も指数を押し上げた。
■債券市場ではインフレピークアウト織り込む
来週の日経平均は堅調な展開か。急ピッチで調整している米株市場だが、目先は修正リバウンドが入ると想定され、米主要株価指数の反発に並走する形で、東京市場でも今週末のリバウンドが継続すると予想。
米CPIは総合と変動の激しい品目を除いたコアがともに市場予想を上回った。今までインフレをけん引してきたモノ・財に関する価格にピークアウト感が見られた一方、新たにサービス分野での価格上昇が目立った。米4月卸売物価指数(PPI)は総合の伸びが前年比で予想を上回った一方、コアでは予想を下回り、まちまちな結果だった。
インフレ懸念とインフレピークアウト期待が混在する一方、期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)は12日、2.59%(前日比-0.11pt)と大幅に低下。4月21日に付けた最高値3.02%から大きく低下している。米10年債利回りも今週後半には2.8%台へと低下するなど、低下基調にあり、債券市場ではインフレ加速を見込んだトレードの巻き戻しが進められている様子。
株式市場の3月中旬からの強烈なリバウンド時には、債券市場で織り込みが加速するインフレ懸念を無視する形で上昇し、その後4月からはしっぺ返しを食らう展開だった。しかし、今回は、当時とは反対に、米主要株価指数が年初来安値を更新する一方、債券市場ではそれまでのインフレ懸念が後退するかのような動きが続いている。今回も株式市場が債券市場を後追いするかのような形が繰り返されるのだとすれば、今後、米主要株価指数はリバウンド局面に入る可能性があろう。
米BEIは4月21日の3.02%をピークに12日時点の2.59%まで低下しているのに対し、米10年債利回りは5月6日の3.14%の高値から12日時点の2.85%まで低下。米BEIの方が先にピークを付け、下落率も大きい。インフレ懸念が払しょくされていないことを踏まえれば、BEIがここから更に低下する余地は小さいとみられ、遅れて調整を始めた米長期金利の方がまだ低下余地がありそうだ。実際、13日には米BEIが2.69%と大きめに上昇した一方、米長期金利の上昇は限定的だった。
パウエルFRB議長は12日、今後2回の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ptずつ利上げするのが適切となる公算が大きいと、5月FOMC後の記者会見時と同様の見解を改めて示した。政策金利の上昇ペースが明確になったことを背景に名目金利がこのまま安定した基調を続ける一方、BEIが上昇を続ければ、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利の低下につながり、ハイテク株を中心に相場の反転が期待できよう。
■ハイテク・グロースのリバウンドに期待
今週末は本決算を発表したソフトバンクグループが大幅な赤字を計上しながらも、あく抜け感から株価が急伸。こうした動きからも目先はハイテク・グロース株のリバウンドに期待。一方、来週は中国で重要経済指標が発表予定。都市封鎖が続く同国では経済指標の悪化が警戒され、中国地域での売上比率が高い銘柄などには警戒しておきたい。
■中国4月鉱工業生産、米4月小売売上高など
来週は16日に4月企業物価指数、4月工作機械受注、中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、米5月ニューヨーク連銀景気指数、17日に米4月小売売上高、18日に1-3月期GDP速報値、米4月住宅着工件数、19日に4月貿易収支、3月機械受注、米5月フィラデルフィア連銀景気指数、米4月中古住宅販売、20日に4月全国消費者物価指数などが公表予定。
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