注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:米物価指標を睨んだ神経質な展開
配信日時:2022/05/07 14:29
配信元:FISCO
■米株波乱のなか日経平均は堅調推移
先週・今週の日経平均は週間でそれぞれ257.36円安(-0.95%)、155.66円高(+0.58%)となった。終値では13週移動平均線や、75日移動平均線を超えた。
先週(4月25-28日)の日経平均は軟調な展開。連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済を中心とした景気減速懸念などから、週初から日経平均は500円を超える下落。その後、“GAFAM”の呼び名をもつ大型IT企業を含めた米主要企業の決算がまちまちな中、東京市場でも指数はもみ合いが続いた。一方、週末は信越化学<4063>やキーエンス<6861>、アドバンテスト<6857>などの好決算銘柄への買いが投資家心理の改善に寄与。前日にかけて空売り比率が高まっていたこともあり、国内の大型連休を前に買い戻しが強まり、日経平均は週前半の下げを半分程取り戻して終えた。
一方、2、6日と飛び石での立会いとなった5月第1週は、もみ合いの末に上昇。2日は決算を受けた米アマゾン・ドット・コムの株価急落が重しとなった一方、1ドル=130円を突破した円安進行や好決算銘柄への買いが相場を下支えした。
3-4日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り0.5ptの利上げと6月からの量的引き締め(QT)の開始が決定された。一方、0.75ptの利上げについて、パウエルFRB議長は「積極的には検討されていない」と言及したことで市場では安心感が先行、4日の米株市場は大幅高となった。ただ、FRBが高インフレを抑制することは困難との見方も根強く、翌5日の米株市場ではNYダウが一時1300ドル超下落するなど急反落。乱高下した米株市場を嫌気し、連休明け6日の日経平均は一時270円超と下落。一方、商品市況の上昇や為替相場の円安推移を背景とした関連銘柄の買いが相場を押し上げ、日経平均はその後プラスに転じて堅調推移となった。
■こまめな逆張り戦略が肝要
来週の日経平均は引き続き神経質な展開か。週半ばに米国で発表予定の4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が非常に注目され、結果を受けた米株市場の動きに翻弄される展開となりそうだ。
FOMC後の米株市場は乱高下が続いており、相場の方向感が定まらない。FOMC直後に一時低下した米10年債利回りは、3.1%と、2018年11月以来の水準を付けるなど再び上昇に転じており、週末の雇用統計を受けて一段高となっている。
欧州連合(EU)はロシア産石油の輸入を年内に停止する方針を示した。また、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成するOPECプラスが小幅な増産ペースを維持する姿勢を堅持したことなどから、原油先物相場は再び上昇基調を強めている。さらに、英イングランド銀行(中央銀行)が10月にインフレ率が10%を超えるとの見通しを示したこともあり、今後も世界的なインフレ懸念が根強くくすぶるだろう。こうしたなか、市場は、FRBが積極的な利上げ姿勢を示せば、警戒感から下落。一方で0.75ptの大幅利上げの可能性が後退しても、結局、インフレを抑えられないのではとの懸念から下落するなど、非常に脆い状態だ。
米国では11日には4月CPI、12日には4月PPIが発表予定で、非常に注目だ。インフレ懸念が根強いなか、インフレピークアウトを示唆した3月のCPIの結果に続き、4月のCPIでより明確な伸びの鈍化が示されれば、市場は安心感から再び上昇基調に転じる可能性が高い。その場合、FOMC前からすでに市場のセンチメントは機関も個人もかなり悲観的に傾いていたことから、リバウンドが長めに続く可能性があろう。一方、CPIやPPIの結果が予想を上回り、インフレピークアウト期待を打ち消す場合には、相場は一段の深押しが警戒される。今後も高いボラティリティー(変動率)が続きそうで、下落した時には買い、上昇した時には即座に売るといったこまめな逆張り戦略が引き続き求められよう。
■国内決算は佳境迎える
国内では決算発表が本格化する。9日の日本郵船<9101>、10日のソニーG<6758>、三菱商事<8058>、11日のトヨタ自動車<7203>、INPEX<1605>、12日のソフトバンクG<9984>、東京エレクトロン<8035>などと注目決算が目白押し。直近の相場動向を踏まえる限り、海運やコモディティなどの市況関連株の好決算には素直に買いが入りそうで、利益確定売りが先行した場合でも持ち直しは早そうだ。一方、需要のピークアウト懸念や金融引き締め懸念から、ハイテク株は好決算でも買いが手控えられることが予想される。物色動向としては、引き続きハイテク・グロース(成長)株は相対的に厳しく、コモディティ関連やディフェンシブ性の強い銘柄が好まれよう。
■米中CPI・PPI、景気ウォッチャー調査など
来週は9日に日銀金融政策決定会合議事要旨(3月17-18日開催)、3月毎月勤労統計調査、中国4月貿易収支、10日に3月家計調査、11日に3月景気動向指数、中国4月PPI、中国4月CPI、米4月CPI、米4月財政収支、米10年国債入札、12日に日銀金融政策決定会合の主な意見(4月27-28日開催)、4月都心オフィス空室率、4月景気ウォッチャー調査、米4月PPI、米30年国債入札、13日に5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出などを控える。
<FA>
先週・今週の日経平均は週間でそれぞれ257.36円安(-0.95%)、155.66円高(+0.58%)となった。終値では13週移動平均線や、75日移動平均線を超えた。
先週(4月25-28日)の日経平均は軟調な展開。連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済を中心とした景気減速懸念などから、週初から日経平均は500円を超える下落。その後、“GAFAM”の呼び名をもつ大型IT企業を含めた米主要企業の決算がまちまちな中、東京市場でも指数はもみ合いが続いた。一方、週末は信越化学<4063>やキーエンス<6861>、アドバンテスト<6857>などの好決算銘柄への買いが投資家心理の改善に寄与。前日にかけて空売り比率が高まっていたこともあり、国内の大型連休を前に買い戻しが強まり、日経平均は週前半の下げを半分程取り戻して終えた。
一方、2、6日と飛び石での立会いとなった5月第1週は、もみ合いの末に上昇。2日は決算を受けた米アマゾン・ドット・コムの株価急落が重しとなった一方、1ドル=130円を突破した円安進行や好決算銘柄への買いが相場を下支えした。
3-4日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り0.5ptの利上げと6月からの量的引き締め(QT)の開始が決定された。一方、0.75ptの利上げについて、パウエルFRB議長は「積極的には検討されていない」と言及したことで市場では安心感が先行、4日の米株市場は大幅高となった。ただ、FRBが高インフレを抑制することは困難との見方も根強く、翌5日の米株市場ではNYダウが一時1300ドル超下落するなど急反落。乱高下した米株市場を嫌気し、連休明け6日の日経平均は一時270円超と下落。一方、商品市況の上昇や為替相場の円安推移を背景とした関連銘柄の買いが相場を押し上げ、日経平均はその後プラスに転じて堅調推移となった。
■こまめな逆張り戦略が肝要
来週の日経平均は引き続き神経質な展開か。週半ばに米国で発表予定の4月の消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)が非常に注目され、結果を受けた米株市場の動きに翻弄される展開となりそうだ。
FOMC後の米株市場は乱高下が続いており、相場の方向感が定まらない。FOMC直後に一時低下した米10年債利回りは、3.1%と、2018年11月以来の水準を付けるなど再び上昇に転じており、週末の雇用統計を受けて一段高となっている。
欧州連合(EU)はロシア産石油の輸入を年内に停止する方針を示した。また、石油輸出国機構(OPEC)と非OPEC主要産油国で構成するOPECプラスが小幅な増産ペースを維持する姿勢を堅持したことなどから、原油先物相場は再び上昇基調を強めている。さらに、英イングランド銀行(中央銀行)が10月にインフレ率が10%を超えるとの見通しを示したこともあり、今後も世界的なインフレ懸念が根強くくすぶるだろう。こうしたなか、市場は、FRBが積極的な利上げ姿勢を示せば、警戒感から下落。一方で0.75ptの大幅利上げの可能性が後退しても、結局、インフレを抑えられないのではとの懸念から下落するなど、非常に脆い状態だ。
米国では11日には4月CPI、12日には4月PPIが発表予定で、非常に注目だ。インフレ懸念が根強いなか、インフレピークアウトを示唆した3月のCPIの結果に続き、4月のCPIでより明確な伸びの鈍化が示されれば、市場は安心感から再び上昇基調に転じる可能性が高い。その場合、FOMC前からすでに市場のセンチメントは機関も個人もかなり悲観的に傾いていたことから、リバウンドが長めに続く可能性があろう。一方、CPIやPPIの結果が予想を上回り、インフレピークアウト期待を打ち消す場合には、相場は一段の深押しが警戒される。今後も高いボラティリティー(変動率)が続きそうで、下落した時には買い、上昇した時には即座に売るといったこまめな逆張り戦略が引き続き求められよう。
■国内決算は佳境迎える
国内では決算発表が本格化する。9日の日本郵船<9101>、10日のソニーG<6758>、三菱商事<8058>、11日のトヨタ自動車<7203>、INPEX<1605>、12日のソフトバンクG<9984>、東京エレクトロン<8035>などと注目決算が目白押し。直近の相場動向を踏まえる限り、海運やコモディティなどの市況関連株の好決算には素直に買いが入りそうで、利益確定売りが先行した場合でも持ち直しは早そうだ。一方、需要のピークアウト懸念や金融引き締め懸念から、ハイテク株は好決算でも買いが手控えられることが予想される。物色動向としては、引き続きハイテク・グロース(成長)株は相対的に厳しく、コモディティ関連やディフェンシブ性の強い銘柄が好まれよう。
■米中CPI・PPI、景気ウォッチャー調査など
来週は9日に日銀金融政策決定会合議事要旨(3月17-18日開催)、3月毎月勤労統計調査、中国4月貿易収支、10日に3月家計調査、11日に3月景気動向指数、中国4月PPI、中国4月CPI、米4月CPI、米4月財政収支、米10年国債入札、12日に日銀金融政策決定会合の主な意見(4月27-28日開催)、4月都心オフィス空室率、4月景気ウォッチャー調査、米4月PPI、米30年国債入札、13日に5月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出などを控える。
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