ランチタイムコメント
日経平均は大幅続落、「インフレピークアウト・金利上昇一服」に再考の必要性も
配信日時:2022/04/18 12:08
配信元:FISCO
日経平均は大幅続落。496.53円安の26596.66円(出来高概算4億3125万株)で前場の取引を終えている。
先週末15日の米株式市場はイースター休暇に伴い休場。ただ、時間外取引の米10年債利回りが上昇し、ナスダック100先物が軟調ななか週明けの日経平均は261.74円安でスタート。午前中ごろに発表された中国1-3月期国内総生産(GDP)などの主要経済指標の結果は概ね予想並みかそれを上回る結果となったが、同国での都市封鎖(ロックダウン)が続いているなか反応は限定的だった。中国株も軟調ななか日経平均は前引けまで軟調な展開が続き、下げ幅は一時500円を超えた。
個別では、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、信越化<4063>、SHIFT<3697>などのハイテク・グロース(成長)株が総じて大きく下落。武田薬<4502>、味の素<2802>、KDDI<9433>などのディフェンシブ系も軟調。三井物産<8031>や日本製鉄<5401>など資源関連でも弱いものが散見される。ほか、業績予想を下方修正したJAL<9201>が下落。中古車価格の下落報道が嫌気され、関連株のIDOM<7599>が東証プライム値下がり率上位に入っている。一方、郵船<9101>や川崎汽船<9107>のほか、原油先物価格の上昇を背景にINPEX<1605>が上昇。業績予想の上方修正と自社株買いを発表したマルマエ<6264>は大幅高。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスによる株式保有が判明したクレディセゾン<8253>
が急伸し、値上がり率トップに躍り出た。
セクターではサービス、食料品、機械を筆頭にほぼ全面安。一方、鉱業と海運の2業種のみが上昇した。東証プライムの値下がり銘柄は全体の90%、対して値上がり銘柄は8%となっている。
週明けの日経平均は値幅を伴った下落で、先週もみ合っていた25日移動平均線を大きく下放れた。先週末の欧米市場が休場で目立った材料がないなか、時間外取引の米金利上昇や株価指数先物の下落が重しになっているのだろうが、それだけにしては下落幅が大きい。いまの相場の脆さを表しているようで、投資家も改めて押し目買いの入れにくさを実感していることだろう。
今週は目立ったイベント少ないため、今後も米金利動向などに神経質な展開が続きそうだ。一時1バレル=100ドルを割っていた米原油先物相場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)5月限が1バレル=106-108ドル近辺で推移するなど、じわりと上昇基調が続いている。もともと、90ドル台へ下落に転じた際も、期先物は下落していなかったため、再びの上昇は時間の問題とも言われていたが、改めて期近物が100ドルを回復してきたことで警戒感が強まっている。
先週、インフレピークアウトの見方の台頭とともに一時低下に転じていた米金利も、10年債利回りが東京時間で、本稿執筆時点、2.86%まで上昇してきている。5月、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ptの大幅利上げについては、短期金融市場ですでに9割程にまで織り込みが完了してきているにも関わらず、金利の上昇が一向に落ち着かないのは気掛かり。
11日の本稿「金融引き締めに“織り込み済み”ない?」で述べたことの繰り返しにはなるが、やはり、歴史的なインフレ高進局面での連続大幅利上げと“かつてないペース”での量的引き締め(QT)の同時進行という、異例の金融引き締めプロセスに向かう今年は、今までのような「織り込み済み」は通用しないのではないか。少なくともそうした可能性も考慮しておかなくてはいけない、非常に難しい相場局面にあることを再認識しておく必要がありそうだ。
連邦準備制度理事会(FRB)がインフレファイターとしてインフレ退治に躍起になるなか、10年物ですでに0.1%台にまでマイナス幅が縮小した米実質金利が、今後プラス圏に転じるのはもはや時間の問題だろう。これを踏まえれば、今後、米10年債利回りが3%を超えてくるのも時間の問題とみられ、3%超えも通過点に過ぎないのかもしれない。
その際には、株式益回りと国債利回りの差、いわゆるイールド・スプレッドの観点からも、株式への投資妙味は薄れてくる。インフレヘッジとしての株式投資への需要はあろうが、その際は、商社やエネルギー・非鉄金属などコモディティ関連くらいしか買われない可能性があり、相場全体の底上げには至らない展開も想定される。年始からの「グロース売り・コモディティ買い」はそろそろ一服と思っている投資家も多いかもしれないが、こうした考えには、今一度再考が必要かもしれない。
後場の日経平均は軟調な展開が続きそうだ。手掛かり材料難のなか、引き続き時間外取引の米金利や株価指数先物を睨んだ動きとならざるを得ない。連休明け今晩の米国市場で、実際に金利と株価がどう反応するかも見極めたいとの思惑もあろう。買い手に乏しいなか、更なる下値模索の可能性にも注意したい。
(仲村幸浩)
<AK>
先週末15日の米株式市場はイースター休暇に伴い休場。ただ、時間外取引の米10年債利回りが上昇し、ナスダック100先物が軟調ななか週明けの日経平均は261.74円安でスタート。午前中ごろに発表された中国1-3月期国内総生産(GDP)などの主要経済指標の結果は概ね予想並みかそれを上回る結果となったが、同国での都市封鎖(ロックダウン)が続いているなか反応は限定的だった。中国株も軟調ななか日経平均は前引けまで軟調な展開が続き、下げ幅は一時500円を超えた。
個別では、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>、リクルートHD<6098>、キーエンス<6861>、信越化<4063>、SHIFT<3697>などのハイテク・グロース(成長)株が総じて大きく下落。武田薬<4502>、味の素<2802>、KDDI<9433>などのディフェンシブ系も軟調。三井物産<8031>や日本製鉄<5401>など資源関連でも弱いものが散見される。ほか、業績予想を下方修正したJAL<9201>が下落。中古車価格の下落報道が嫌気され、関連株のIDOM<7599>が東証プライム値下がり率上位に入っている。一方、郵船<9101>や川崎汽船<9107>のほか、原油先物価格の上昇を背景にINPEX<1605>が上昇。業績予想の上方修正と自社株買いを発表したマルマエ<6264>は大幅高。旧村上ファンド系の投資会社シティインデックスイレブンスによる株式保有が判明したクレディセゾン<8253>
が急伸し、値上がり率トップに躍り出た。
セクターではサービス、食料品、機械を筆頭にほぼ全面安。一方、鉱業と海運の2業種のみが上昇した。東証プライムの値下がり銘柄は全体の90%、対して値上がり銘柄は8%となっている。
週明けの日経平均は値幅を伴った下落で、先週もみ合っていた25日移動平均線を大きく下放れた。先週末の欧米市場が休場で目立った材料がないなか、時間外取引の米金利上昇や株価指数先物の下落が重しになっているのだろうが、それだけにしては下落幅が大きい。いまの相場の脆さを表しているようで、投資家も改めて押し目買いの入れにくさを実感していることだろう。
今週は目立ったイベント少ないため、今後も米金利動向などに神経質な展開が続きそうだ。一時1バレル=100ドルを割っていた米原油先物相場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)5月限が1バレル=106-108ドル近辺で推移するなど、じわりと上昇基調が続いている。もともと、90ドル台へ下落に転じた際も、期先物は下落していなかったため、再びの上昇は時間の問題とも言われていたが、改めて期近物が100ドルを回復してきたことで警戒感が強まっている。
先週、インフレピークアウトの見方の台頭とともに一時低下に転じていた米金利も、10年債利回りが東京時間で、本稿執筆時点、2.86%まで上昇してきている。5月、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5ptの大幅利上げについては、短期金融市場ですでに9割程にまで織り込みが完了してきているにも関わらず、金利の上昇が一向に落ち着かないのは気掛かり。
11日の本稿「金融引き締めに“織り込み済み”ない?」で述べたことの繰り返しにはなるが、やはり、歴史的なインフレ高進局面での連続大幅利上げと“かつてないペース”での量的引き締め(QT)の同時進行という、異例の金融引き締めプロセスに向かう今年は、今までのような「織り込み済み」は通用しないのではないか。少なくともそうした可能性も考慮しておかなくてはいけない、非常に難しい相場局面にあることを再認識しておく必要がありそうだ。
連邦準備制度理事会(FRB)がインフレファイターとしてインフレ退治に躍起になるなか、10年物ですでに0.1%台にまでマイナス幅が縮小した米実質金利が、今後プラス圏に転じるのはもはや時間の問題だろう。これを踏まえれば、今後、米10年債利回りが3%を超えてくるのも時間の問題とみられ、3%超えも通過点に過ぎないのかもしれない。
その際には、株式益回りと国債利回りの差、いわゆるイールド・スプレッドの観点からも、株式への投資妙味は薄れてくる。インフレヘッジとしての株式投資への需要はあろうが、その際は、商社やエネルギー・非鉄金属などコモディティ関連くらいしか買われない可能性があり、相場全体の底上げには至らない展開も想定される。年始からの「グロース売り・コモディティ買い」はそろそろ一服と思っている投資家も多いかもしれないが、こうした考えには、今一度再考が必要かもしれない。
後場の日経平均は軟調な展開が続きそうだ。手掛かり材料難のなか、引き続き時間外取引の米金利や株価指数先物を睨んだ動きとならざるを得ない。連休明け今晩の米国市場で、実際に金利と株価がどう反応するかも見極めたいとの思惑もあろう。買い手に乏しいなか、更なる下値模索の可能性にも注意したい。
(仲村幸浩)
<AK>
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