後場の投資戦略
インフレピークアウトで買い転換への好機?
配信日時:2022/04/13 12:08
配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;26755.05;+420.07TOPIX;1882.48;+18.85
[後場の投資戦略]
日経平均は前日の米株安に反して大幅反発。前日まで相対的に弱かった半導体関連株や高バリュエーション株の総じて強い動きを見る限り、米CPI前に持ち高調整で売っていたハイテク・グロ−ス株をイベント通過で買い戻しているといったところか。
しかし、日経平均は本日の大幅反発でも、26900円台に位置する25日移動平均線にはまだ遠く及ばない水準であり、短期的なリバウンドの域を出ていない。また、米CPIを通過したことで一時的にあく抜け感が台頭しているのかもしれないが、今晩には米3月PPIの発表が控えている。川下分野の動向を反映するCPIよりも、川上分野の動きを映すPPIの方が先行性は高いと考えられ、CPIの結果だけを受けてインフレピークアウトを判断するのは気が早いだろう。
12日、FRBのブレイナード理事は利上げとバランスシート縮小の「複合的な効果により、年内には速やかに政策スタンスがより中立的なものになる」と発言。また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も、政策金利を、経済を刺激も減速させもしない中立レンジにできるだけ迅速に引き上げるべきだと述べ、さらに、物価圧力が持続する場合にはそれ以上の行動を取る可能性があるとの認識を示したという。
コアCPIの伸びは予想を下回ったとはいえ、前年同月比で+6.5%だ。連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする+2%を3倍も超えており、仮にピークアウトしたとしても、高い物価水準はしばらく長く続く可能性が高い。コア指数の前月比の伸びも+0.3%と予想(+0.5%)を下回ったとはいえ、前月比で伸びていることに変わりはない。また、CPIの構成項目の中で、下方硬直性を有し、インフレ動向を見定めるうえでより重要な、家賃などから成る住居費は前年同月比で+5.0%と2月の+4.7%から伸びが加速し、前月比では2カ月連続で+0.5%と伸びが鈍化していない。
こうしたCPIの結果内容と高官らの発言を踏まえると、FRBの金融引き締め懸念という今年最大のリスク要因を巡っては、何も状況が改善していないとも言える。日々相場を見ていれば、一日の動きを巡っていちいち様々な憶測や予想が飛び交うのは致し方ないが、本質的なことは今日と昨日とで何も変わっていないということを認識しておくべきだろう。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した4月のファンドマネジャー調査によると、景気悪化を見込む投資家の割合は過去最高となり、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)の予想は2008年8月以来の高水準になったという。興味深いのは、投資家の姿勢が極端に悲観に傾くなか、同社の逆張り指標である買いシグナルが点灯したにも関わらず、同社のストラテジストは、この買いシグナルに乗ずるべきではなく、戻り待ちの売りを推奨しているという。また、今年に入ってからの株価下落は「2022年の前菜」にすぎず、メインコースとも言うべき本格的な下げはこれからやって来るとも指摘したという。
前回、同指標が同じくらいに弱気に至ったのは新型コロナパンデミックが発生した直後の2020年3月だった。この時は、それ以降に実施された世界的な超大規模金融緩和策の影響で、実際、株価は記録的な上昇を見せ、結果として、BofAの逆張り指標は有効に機能した。しかし、今はFRBが超大規模緩和策を急速に巻き戻そうとしており、状況が正反対だ。同社ストラテジストの「買いシグナルに乗ずるべきでない」との指摘は的を射ていると考えるのが合理的か。
後場の日経平均は戻り一服か。今晩の米3月PPIを控えて改めて警戒感が強まる可能性もあり、次第に上値が重くなりそうだ。堅調推移が続いたとしても、25日移動平均線に近づく場面では戻り待ちの売りが上値を抑えよう。
(仲村幸浩)
<AK>
日経平均;26755.05;+420.07TOPIX;1882.48;+18.85
[後場の投資戦略]
日経平均は前日の米株安に反して大幅反発。前日まで相対的に弱かった半導体関連株や高バリュエーション株の総じて強い動きを見る限り、米CPI前に持ち高調整で売っていたハイテク・グロ−ス株をイベント通過で買い戻しているといったところか。
しかし、日経平均は本日の大幅反発でも、26900円台に位置する25日移動平均線にはまだ遠く及ばない水準であり、短期的なリバウンドの域を出ていない。また、米CPIを通過したことで一時的にあく抜け感が台頭しているのかもしれないが、今晩には米3月PPIの発表が控えている。川下分野の動向を反映するCPIよりも、川上分野の動きを映すPPIの方が先行性は高いと考えられ、CPIの結果だけを受けてインフレピークアウトを判断するのは気が早いだろう。
12日、FRBのブレイナード理事は利上げとバランスシート縮小の「複合的な効果により、年内には速やかに政策スタンスがより中立的なものになる」と発言。また、リッチモンド連銀のバーキン総裁も、政策金利を、経済を刺激も減速させもしない中立レンジにできるだけ迅速に引き上げるべきだと述べ、さらに、物価圧力が持続する場合にはそれ以上の行動を取る可能性があるとの認識を示したという。
コアCPIの伸びは予想を下回ったとはいえ、前年同月比で+6.5%だ。連邦準備制度理事会(FRB)の目標とする+2%を3倍も超えており、仮にピークアウトしたとしても、高い物価水準はしばらく長く続く可能性が高い。コア指数の前月比の伸びも+0.3%と予想(+0.5%)を下回ったとはいえ、前月比で伸びていることに変わりはない。また、CPIの構成項目の中で、下方硬直性を有し、インフレ動向を見定めるうえでより重要な、家賃などから成る住居費は前年同月比で+5.0%と2月の+4.7%から伸びが加速し、前月比では2カ月連続で+0.5%と伸びが鈍化していない。
こうしたCPIの結果内容と高官らの発言を踏まえると、FRBの金融引き締め懸念という今年最大のリスク要因を巡っては、何も状況が改善していないとも言える。日々相場を見ていれば、一日の動きを巡っていちいち様々な憶測や予想が飛び交うのは致し方ないが、本質的なことは今日と昨日とで何も変わっていないということを認識しておくべきだろう。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)が実施した4月のファンドマネジャー調査によると、景気悪化を見込む投資家の割合は過去最高となり、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)の予想は2008年8月以来の高水準になったという。興味深いのは、投資家の姿勢が極端に悲観に傾くなか、同社の逆張り指標である買いシグナルが点灯したにも関わらず、同社のストラテジストは、この買いシグナルに乗ずるべきではなく、戻り待ちの売りを推奨しているという。また、今年に入ってからの株価下落は「2022年の前菜」にすぎず、メインコースとも言うべき本格的な下げはこれからやって来るとも指摘したという。
前回、同指標が同じくらいに弱気に至ったのは新型コロナパンデミックが発生した直後の2020年3月だった。この時は、それ以降に実施された世界的な超大規模金融緩和策の影響で、実際、株価は記録的な上昇を見せ、結果として、BofAの逆張り指標は有効に機能した。しかし、今はFRBが超大規模緩和策を急速に巻き戻そうとしており、状況が正反対だ。同社ストラテジストの「買いシグナルに乗ずるべきでない」との指摘は的を射ていると考えるのが合理的か。
後場の日経平均は戻り一服か。今晩の米3月PPIを控えて改めて警戒感が強まる可能性もあり、次第に上値が重くなりそうだ。堅調推移が続いたとしても、25日移動平均線に近づく場面では戻り待ちの売りが上値を抑えよう。
(仲村幸浩)
<AK>
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