午後3時のドルは121円後半で底堅い、一時急落も黒田総裁発言受け円買い一服
[東京 30日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日のニューヨーク市場終盤(122.84/87円)に比べてドル安/円高の121.98/00円で推移している。時間外取引での米長期金利の低下を背景に、ドルは午前中は軟調な展開となった。正午過ぎに日銀の黒田東彦総裁が首相官邸入りしたと伝わると、円安けん制への警戒感からドル売り/円買いが進行。ドルは一時121.32円まで下落した。ただ、その後の黒田総裁の発言から円安けん制スタンスはみられず、再びドル高/円安基調となった。
日銀の黒田東彦総裁は30日正午ごろから約1時間、岸田文雄首相と官邸で会談した。黒田総裁は会談後、記者団に対し、コロナ禍やロシア・ウクライナ情勢の世界経済への影響について話をしたとしたうえで、為替に関しては基本的に経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいという自身の考えを首相に伝えた、と述べた。
黒田総裁の発言を受けてドル/円の円高傾向は一服し、121円後半まで再びドル買い/円売りが進んだ。SMBC信託銀行のマーケットアナリスト・合澤史登氏は、昨日に神田真人財務官とアンディ・ボーコル米財務次官との日米財務官協議が開かれた直後だったので、「黒田総裁が首相官邸に入ったと伝わった時点では、円安けん制への警戒が一気に高まった」と話す。
ただ、会談後の黒田総裁の発言からは円安をけん制するような姿勢は確認されなかったため、安心感から再びドル買い/円売りが進行したとの見方を示した。
また、日銀が午後1時に臨時の国債買い入れを通告し、「日銀が金融緩和姿勢を変えないという強いメッセージが示され、ドル高/円安を支えた」(国内信託銀行)との意見もあった。
ドル/円は一時的に125円をトライした達成感から、ドル買いの一服感も意識されている。市場では「今は適切な水準を探っている状況。ただ、日米の金融政策の違いなど構図は変わっていないため、ドルが下がったところでは押し目買いも入りやすく、ドル/円の下値は固いのではないか」(国内証券)との声が聞かれた。
ドル/円 ユーロ/ドル ユーロ/円
午後3時現在 121.98/00 1.1111/15 135.55/59
午前9時現在 123.11/13 1.1090/94 136.55/59
NY午後5時 122.84/87 1.1085/89 136.21/25