ランチタイムコメント
日経平均は反発、金融政策や株式需給を巡り考察
配信日時:2022/03/29 12:18
配信元:FISCO
日経平均は反発。166.84円高の28110.73円(出来高概算6億2000万株)で前場の取引を終えている。
日銀が28日、10年物国債を決まった利回り(0.25%)で無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を一定期間行う「連続指し値オペ」を初めて実施すると発表し、為替市場では一時1ドル=125円台まで円安が進行。また、同日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、94ドル高となった。ロシアとウクライナの停戦協議への期待が相場を押し上げた。また、10年物国債利回りの上昇一服でハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は+1.30%と反発。本日の日経平均は円安や米株高を好感した買いが先行し、229円高からスタートした。3月期末の権利付き最終売買日とあって、配当取りの買いや配当再投資の動きに期待した買いが入り、前場中ごろを過ぎると28227.53円(283.64円高)まで上昇する場面があったが、上値では利益確定の売りも出て伸び悩んだ。
個別では、郵船<9101>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、川崎船<9107>など売買代金上位は全般堅調。郵船などは配当利回りの高さから買いが優勢となっている。前日の米ハイテク株高の流れを引き継いでレーザーテック<6920>
が4%の上昇となり、三井ハイテク<6966>は大幅反発して取引時間中の上場来高値を更新した。また、業績上方修正を発表したあすか製薬HD<4886>が急伸し、エンビプロHD<5698>はストップ高を付けている。一方、東エレク<8035>やOLC<4661>が小安く、JT<2914>は軟調。NY原油先物相場の反落などから市況関連株の一角に売りが広がり、石油資源<1662>や大阪チタ<5726>が東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、輸送用機器、海運業、小売業などが上昇率上位。一方、石油・石炭製品、水産・農林業、陸運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の51%、対して値下がり銘柄は45%となっている。
本日の日経平均は3ケタの上昇で前場を折り返した。円安・米株高が支援材料となり、配当取りの動きや配当再投資への期待も相場を押し上げているが、一方で利益確定の売りが上値を抑えている。日足チャートを見ると、28000円台まで浮上してきた5日移動平均線をやや上回る水準で推移。売買代金上位では値がさグロース(成長)株や高配当銘柄を中心に全般堅調だが、市況関連銘柄や経済活動の再開に絡んだ銘柄に売りが出ているようだ。前引けの日経平均が+0.60%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.57%。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円弱とさほど膨らんでいない。
新興市場ではマザーズ指数が+3.73%と3日ぶり大幅反発。前日は-3.76%と大きく下落しており、米金利やハイテク株の動向を睨んでやや値動きが荒くなっている。本日はグロース株高の流れからメルカリ<4385>などの主力IT株が堅調。エッジテクノロジ<
4268>は連日で賑わいを見せている。
さて、日銀が初の「連続指し値オペ」実施で金利抑制姿勢を示し、インフレ対応に傾く米国との金利差拡大観測から円相場が一時1ドル=125円台まで下落した。輸出企業の採算改善に期待する声がある一方、インフレや金利の上昇、それに円安圧力が強まるなかで金融政策の舵取りが一段と難しさを増すとの指摘もある。黒田東彦総裁の任期も残すところ1年ほどだが、日銀は緩和堅持の姿勢のようだ。海外投資家がこの点どのように評価するか注視したいところ。
米市場では28日、10年物国債利回りが2.46%(-0.02pt)に低下した。原油先物相場の反落を受けてインフレ懸念がやや後退したようだ。ただ、金融政策の影響を受けやすい2年物は2.33%(+0.06pt)に上昇。このところ市場では連邦準備理事会(FRB)が今後複数の会合で0.5ptの利上げを行うとの見方が多く出ており、金融引き締め観測は一段と強まっているとみた方がいいだろう。
国内外の金融政策とともに、年度末から新年度にかけての株式市場の需給状況も注目される。需給良化による一段の株高期待が根強い一方、以前に少々触れたとおり、ここまで海外投資家による株価指数先物の買い戻しが急速に進んだとみられるのは気掛かり。日本取引所グループが発表した投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家は3月第2~3週(7~18日)にTOPIX先物を9200億円近く買い越した。先週も日々の先物手口を見ると外資系証券のTOPIX先物買い越しが多く見られたため、この3週で1兆円あまり買い越した可能性もあるだろう。この間、日経平均は9日安値24681.74円(取引時間中)から25日高値28338.81円(同)まで値幅にして3600円超の大幅上昇となった。
相応に外国人投資家の買い戻しが進んでいることに違和感はない。
次回5月3日~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて米金融政策を巡る思惑が続くほか、企業の事業環境が大きく変化し、新年度の業績見通しを見極めたいとのムードも出てくるだろう。新年度相場の行方を慎重に見極めたい。差し当たり、本日は米国で3月消費者信頼感指数や1月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、2月求人件数(JOLT)、それに半導体マイクロン・テクノロジーの決算などが発表される。米経済が堅調維持できるか注目されそうだ。
(小林大純)
<AK>
日銀が28日、10年物国債を決まった利回り(0.25%)で無制限に買い入れる指し値オペ(公開市場操作)を一定期間行う「連続指し値オペ」を初めて実施すると発表し、為替市場では一時1ドル=125円台まで円安が進行。また、同日の米株式市場でNYダウは3日続伸し、94ドル高となった。ロシアとウクライナの停戦協議への期待が相場を押し上げた。また、10年物国債利回りの上昇一服でハイテク株が買われ、ナスダック総合指数は+1.30%と反発。本日の日経平均は円安や米株高を好感した買いが先行し、229円高からスタートした。3月期末の権利付き最終売買日とあって、配当取りの買いや配当再投資の動きに期待した買いが入り、前場中ごろを過ぎると28227.53円(283.64円高)まで上昇する場面があったが、上値では利益確定の売りも出て伸び悩んだ。
個別では、郵船<9101>、トヨタ自<7203>、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、川崎船<9107>など売買代金上位は全般堅調。郵船などは配当利回りの高さから買いが優勢となっている。前日の米ハイテク株高の流れを引き継いでレーザーテック<6920>
が4%の上昇となり、三井ハイテク<6966>は大幅反発して取引時間中の上場来高値を更新した。また、業績上方修正を発表したあすか製薬HD<4886>が急伸し、エンビプロHD<5698>はストップ高を付けている。一方、東エレク<8035>やOLC<4661>が小安く、JT<2914>は軟調。NY原油先物相場の反落などから市況関連株の一角に売りが広がり、石油資源<1662>や大阪チタ<5726>が東証1部下落率上位に顔を出している。
セクターでは、輸送用機器、海運業、小売業などが上昇率上位。一方、石油・石炭製品、水産・農林業、陸運業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の51%、対して値下がり銘柄は45%となっている。
本日の日経平均は3ケタの上昇で前場を折り返した。円安・米株高が支援材料となり、配当取りの動きや配当再投資への期待も相場を押し上げているが、一方で利益確定の売りが上値を抑えている。日足チャートを見ると、28000円台まで浮上してきた5日移動平均線をやや上回る水準で推移。売買代金上位では値がさグロース(成長)株や高配当銘柄を中心に全般堅調だが、市況関連銘柄や経済活動の再開に絡んだ銘柄に売りが出ているようだ。前引けの日経平均が+0.60%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.57%。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円弱とさほど膨らんでいない。
新興市場ではマザーズ指数が+3.73%と3日ぶり大幅反発。前日は-3.76%と大きく下落しており、米金利やハイテク株の動向を睨んでやや値動きが荒くなっている。本日はグロース株高の流れからメルカリ<4385>などの主力IT株が堅調。エッジテクノロジ<
4268>は連日で賑わいを見せている。
さて、日銀が初の「連続指し値オペ」実施で金利抑制姿勢を示し、インフレ対応に傾く米国との金利差拡大観測から円相場が一時1ドル=125円台まで下落した。輸出企業の採算改善に期待する声がある一方、インフレや金利の上昇、それに円安圧力が強まるなかで金融政策の舵取りが一段と難しさを増すとの指摘もある。黒田東彦総裁の任期も残すところ1年ほどだが、日銀は緩和堅持の姿勢のようだ。海外投資家がこの点どのように評価するか注視したいところ。
米市場では28日、10年物国債利回りが2.46%(-0.02pt)に低下した。原油先物相場の反落を受けてインフレ懸念がやや後退したようだ。ただ、金融政策の影響を受けやすい2年物は2.33%(+0.06pt)に上昇。このところ市場では連邦準備理事会(FRB)が今後複数の会合で0.5ptの利上げを行うとの見方が多く出ており、金融引き締め観測は一段と強まっているとみた方がいいだろう。
国内外の金融政策とともに、年度末から新年度にかけての株式市場の需給状況も注目される。需給良化による一段の株高期待が根強い一方、以前に少々触れたとおり、ここまで海外投資家による株価指数先物の買い戻しが急速に進んだとみられるのは気掛かり。日本取引所グループが発表した投資主体別売買動向を見ると、外国人投資家は3月第2~3週(7~18日)にTOPIX先物を9200億円近く買い越した。先週も日々の先物手口を見ると外資系証券のTOPIX先物買い越しが多く見られたため、この3週で1兆円あまり買い越した可能性もあるだろう。この間、日経平均は9日安値24681.74円(取引時間中)から25日高値28338.81円(同)まで値幅にして3600円超の大幅上昇となった。
相応に外国人投資家の買い戻しが進んでいることに違和感はない。
次回5月3日~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて米金融政策を巡る思惑が続くほか、企業の事業環境が大きく変化し、新年度の業績見通しを見極めたいとのムードも出てくるだろう。新年度相場の行方を慎重に見極めたい。差し当たり、本日は米国で3月消費者信頼感指数や1月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、2月求人件数(JOLT)、それに半導体マイクロン・テクノロジーの決算などが発表される。米経済が堅調維持できるか注目されそうだ。
(小林大純)
<AK>
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