注目トピックス 日本株
エラン Research Memo(1):入院前・中・後の「困った」を解決するプラットフォームへの進化目指す
配信日時:2022/03/18 16:01
配信元:FISCO
■要約
エラン<6099>は、病院や介護老人保健施設等の入院患者・入所者が、身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院・面会・退院」できるように、衣類・タオル類洗濯サービス付レンタルなど、入院・入所生活に必要な日常生活用品をセットにした入院セットサービスのCSセットを提供している。
1. 入院セットサービスのパイオニアかつ最大手
同社は入院セットサービスを組織的にビジネス展開したパイオニアで、後発他社をリードする最大手である。CSセットは、サービスを利用する入院患者・入所者とその家族だけではなく、病院・介護老人保健施設等、リネンサプライ業者等にとっても大きなメリットがあり、同社を中心に「WIN-WIN-WIN」の関係を構築した共存共栄型ビジネスモデルである。さらに、利用者ニーズや採算ラインを見極めながらプラン設定する独自のノウハウの蓄積を強みとしている。こうした共存共栄型ビジネスモデルや独自ノウハウの蓄積が同社の競合優位性となっている。
2. 契約施設数及び利用者数は増加基調
CSセットの収益は入院患者や入所者から受け取るサービス利用料収入であり、契約施設数や利用者数の増加に伴ってサービス利用料収入が増加するというストック型収益モデルである。そしてCSセットの契約施設数及び月間利用者数(期末月の利用者数)は増加基調である。契約施設数は2021年12月期末で1,814施設となった。前期末との比較で200施設(12.4%)増加した。契約施設のストックが大幅に積み上がっている。月間利用者数は2021年12月期末で341,410人となった。前期末との比較で57,855人(20.4%)増加した。CSセットの認知度向上、導入施設数の増加、既存契約施設における利用率上昇などで、月間利用者数は契約施設数の増加を上回る大幅な伸長率となった。
3. 「困った」を解決するビジネスとして新サービス・新事業の展開加速
同社はCSセットを入院中の「困った」を解決するビジネスと位置付けており、さらなる成長に向けて、より付加価値の高い新サービス・新事業への展開を加速している。入院費用保証サービス付入院セットの「CSセットR」や、利用患者に起因する損害事故補償サービス付入院セットの「CSセットLC入院保証」は2021年12月期に本格普及期に入った。入退院・入退所の困りごとに対する「キクミミ」サービスや、退院後に自宅での生活に慣れるまでの期間に順次発生する困りごとを総合的にサポートする「退院セット」も開発し、本格展開に向けて準備を進めている。さらに2022年12月期には、電子カルテ事業や沖縄新事業(子会社の(株)琉球エラン)などの立ち上げ準備を進める方針だ。グループ力強化の面では、個人請求・カスタマーサポートの子会社(株)エランサービスにおける他社からの請求業務請負が、2021年12月期末で入院セット運営会社4社・22施設に拡大した。
4. 2021年12月期は計画を上回る大幅増収増益
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.4%増の31,635百万円、営業利益が同35.3%増の2,798百万円、経常利益が同31.2%増の2,818百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.8%増の1,905百万円となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴う営業活動自粛の影響があったが、契約施設数及び利用者数が順調に増加した。修正計画(2021年11月11日付の2回目の上方修正値)を上回る大幅増収増益となり、13期連続増収増益を達成した。利益面では、コロナ禍に伴って一部消耗品の仕入コストが上昇し、人件費も増加したが、増収効果や生産性向上効果などに加えて、コロナ禍による営業活動自粛で営業経費が抑制されたことも寄与した。
5. 2022年12月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比17.0%増の37,000百万円、営業利益が同7.2%増の3,000百万円、経常利益が同7.1%増の3,020百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.9%増の2,000百万円としている。契約施設数及び利用者数の順調な増加、高利用率の継続などで増収増益予想(14期連続増収増益予想)としている。利益面は人員増に伴う人件費の増加、オリジナル患者衣の本格投入に伴う一時的な原価率の上昇、コロナ禍で減少していた営業経費の反動増、新支店・新規事業立ち上げ費用などを考慮して小幅増益にとどまる予想としている。弊社では同社予想に対して保守的と見ており、特に利益面で上振れの可能性が高いと考えている。
6. 更なる市場開拓余地
同社のCSセットがメインターゲットとする市場は、ベッド数50床以上の病院及び介護老人保健施設等である。いずれの分野でもCSセットの認知度が向上して普及ステージに入り、契約施設数は増加基調である。ただし市場開拓余地は依然として大きい。2021年12月期末の同社推定による市場開拓率は、ベッド数50床以上の病院で15.9%、ベッド数50床以上の介護老人保健施設等で7.2%に過ぎない。ターゲット層となる高齢者単身世帯、一人親世帯、若年層単身世帯の増加など事業環境は良好であり、CSセットのさらなる市場開拓余地は大きいと言えるだろう。
7. CSセットのプラットフォーム化により中長期成長ポテンシャル大きい
CSセットは入院中の「困った」を解決するサービスである。この考え方を基本として、入院中の「困った」を解決するサービスにとどまらず、入院前・退院後の周辺領域の「困った」も解決するビジネス創出を目指している。CSセット利用者情報を活用し、入院前~入院中~退院後のすべてのステージにおいて、入院患者及びその家族向けのプラットフォームサービスとして進化させる戦略だ。入院セット市場における同社の競争優位性は圧倒的である。また市場開拓余地は依然として大きい。入院セットビジネスというと、やや地味なビジネスに感じる部分もあるが、弊社では、同社の成長シナリオに変化はなく、CSセットのプラットフォーム化を通じて中長期成長ポテンシャルは大きいと評価している。
■Key Points
・入院CSセットを組織的にビジネス展開したパイオニアかつ最大手
・契約施設数及び利用者数が増加基調で2022年12月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
・市場開拓余地は大きく、CSセットのプラットフォーム化で成長ポテンシャル大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
エラン<6099>は、病院や介護老人保健施設等の入院患者・入所者が、身の回り品を準備しなくても「手ぶらで入院・面会・退院」できるように、衣類・タオル類洗濯サービス付レンタルなど、入院・入所生活に必要な日常生活用品をセットにした入院セットサービスのCSセットを提供している。
1. 入院セットサービスのパイオニアかつ最大手
同社は入院セットサービスを組織的にビジネス展開したパイオニアで、後発他社をリードする最大手である。CSセットは、サービスを利用する入院患者・入所者とその家族だけではなく、病院・介護老人保健施設等、リネンサプライ業者等にとっても大きなメリットがあり、同社を中心に「WIN-WIN-WIN」の関係を構築した共存共栄型ビジネスモデルである。さらに、利用者ニーズや採算ラインを見極めながらプラン設定する独自のノウハウの蓄積を強みとしている。こうした共存共栄型ビジネスモデルや独自ノウハウの蓄積が同社の競合優位性となっている。
2. 契約施設数及び利用者数は増加基調
CSセットの収益は入院患者や入所者から受け取るサービス利用料収入であり、契約施設数や利用者数の増加に伴ってサービス利用料収入が増加するというストック型収益モデルである。そしてCSセットの契約施設数及び月間利用者数(期末月の利用者数)は増加基調である。契約施設数は2021年12月期末で1,814施設となった。前期末との比較で200施設(12.4%)増加した。契約施設のストックが大幅に積み上がっている。月間利用者数は2021年12月期末で341,410人となった。前期末との比較で57,855人(20.4%)増加した。CSセットの認知度向上、導入施設数の増加、既存契約施設における利用率上昇などで、月間利用者数は契約施設数の増加を上回る大幅な伸長率となった。
3. 「困った」を解決するビジネスとして新サービス・新事業の展開加速
同社はCSセットを入院中の「困った」を解決するビジネスと位置付けており、さらなる成長に向けて、より付加価値の高い新サービス・新事業への展開を加速している。入院費用保証サービス付入院セットの「CSセットR」や、利用患者に起因する損害事故補償サービス付入院セットの「CSセットLC入院保証」は2021年12月期に本格普及期に入った。入退院・入退所の困りごとに対する「キクミミ」サービスや、退院後に自宅での生活に慣れるまでの期間に順次発生する困りごとを総合的にサポートする「退院セット」も開発し、本格展開に向けて準備を進めている。さらに2022年12月期には、電子カルテ事業や沖縄新事業(子会社の(株)琉球エラン)などの立ち上げ準備を進める方針だ。グループ力強化の面では、個人請求・カスタマーサポートの子会社(株)エランサービスにおける他社からの請求業務請負が、2021年12月期末で入院セット運営会社4社・22施設に拡大した。
4. 2021年12月期は計画を上回る大幅増収増益
2021年12月期の連結業績は、売上高が前期比21.4%増の31,635百万円、営業利益が同35.3%増の2,798百万円、経常利益が同31.2%増の2,818百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同31.8%増の1,905百万円となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)に伴う営業活動自粛の影響があったが、契約施設数及び利用者数が順調に増加した。修正計画(2021年11月11日付の2回目の上方修正値)を上回る大幅増収増益となり、13期連続増収増益を達成した。利益面では、コロナ禍に伴って一部消耗品の仕入コストが上昇し、人件費も増加したが、増収効果や生産性向上効果などに加えて、コロナ禍による営業活動自粛で営業経費が抑制されたことも寄与した。
5. 2022年12月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
2022年12月期の連結業績予想は、売上高が前期比17.0%増の37,000百万円、営業利益が同7.2%増の3,000百万円、経常利益が同7.1%増の3,020百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.9%増の2,000百万円としている。契約施設数及び利用者数の順調な増加、高利用率の継続などで増収増益予想(14期連続増収増益予想)としている。利益面は人員増に伴う人件費の増加、オリジナル患者衣の本格投入に伴う一時的な原価率の上昇、コロナ禍で減少していた営業経費の反動増、新支店・新規事業立ち上げ費用などを考慮して小幅増益にとどまる予想としている。弊社では同社予想に対して保守的と見ており、特に利益面で上振れの可能性が高いと考えている。
6. 更なる市場開拓余地
同社のCSセットがメインターゲットとする市場は、ベッド数50床以上の病院及び介護老人保健施設等である。いずれの分野でもCSセットの認知度が向上して普及ステージに入り、契約施設数は増加基調である。ただし市場開拓余地は依然として大きい。2021年12月期末の同社推定による市場開拓率は、ベッド数50床以上の病院で15.9%、ベッド数50床以上の介護老人保健施設等で7.2%に過ぎない。ターゲット層となる高齢者単身世帯、一人親世帯、若年層単身世帯の増加など事業環境は良好であり、CSセットのさらなる市場開拓余地は大きいと言えるだろう。
7. CSセットのプラットフォーム化により中長期成長ポテンシャル大きい
CSセットは入院中の「困った」を解決するサービスである。この考え方を基本として、入院中の「困った」を解決するサービスにとどまらず、入院前・退院後の周辺領域の「困った」も解決するビジネス創出を目指している。CSセット利用者情報を活用し、入院前~入院中~退院後のすべてのステージにおいて、入院患者及びその家族向けのプラットフォームサービスとして進化させる戦略だ。入院セット市場における同社の競争優位性は圧倒的である。また市場開拓余地は依然として大きい。入院セットビジネスというと、やや地味なビジネスに感じる部分もあるが、弊社では、同社の成長シナリオに変化はなく、CSセットのプラットフォーム化を通じて中長期成長ポテンシャルは大きいと評価している。
■Key Points
・入院CSセットを組織的にビジネス展開したパイオニアかつ最大手
・契約施設数及び利用者数が増加基調で2022年12月期も増収増益予想、さらに上振れの可能性
・市場開拓余地は大きく、CSセットのプラットフォーム化で成長ポテンシャル大きい
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
<EY>
Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.
ニュースカテゴリ
注目トピックス 市況・概況
NY市場・クローズ
海外市場動向
注目トピックス 日本株
注目トピックス 経済総合
強弱材料
コラム【EMW】
オープニングコメント
日経225・本日の想定レンジ
寄り付き概況
新興市場スナップショット
注目トピックス 外国株
個別銘柄テクニカルショット
ランチタイムコメント
後場の投資戦略
後場の寄り付き概況
相場概況
本日の注目個別銘柄
JASDAQ市況
マザーズ市況
Miniトピック
来週の買い需要
日経QUICKニュース
みんかぶニュース 投資家動向
みんかぶニュース 為替・FX
みんかぶニュース 市況・概況
みんかぶニュース 個別・材料
みんかぶニュース コラム
みんかぶニュース その他
ビットコインニュース
アルトコインニュース
GRICI
暗号資産速報
Reuters Japan Online Report Business News
金融ウォッチ その他
FISCO その他
グロース市況