米卸売物価、2月は前月比0.8%上昇
[ワシントン 15日 ロイター] - 米労働省が15日に発表した2月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比0.8%上昇した。1月は1.2%上昇していた。前年同月比で10.0%上昇し、1月と同じ伸び率となった。
ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油や他の商品の価格上昇を背景に、今後は一段と上昇する可能性がある。
ロイターがまとめたエコノミスト予想では、前月比0.9%上昇、前年同期比10.0%上昇だった。
変動が大きい食品とエネルギー、貿易サービス部門を除いたコア指数は前月比0.2%上昇。前年同月比は6.6%上昇。1月は前月より0.8%上がり、前年同月比6.8%上昇していた。
インフレ率は、いずれの物価指標も米連邦準備理事会(FRB)が目指す2%を大幅に超えている。FRBが16日に利上げ開始を発表すると予想されており、エコノミストは年内に最大で7回の利上げを予想している。
原油価格は30%を超えて上昇し、世界的な指標である北海ブレントは2008年以来の高値となる1バレル=139ドルを付けた。15日には一時1バレル=100ドルを下回る水準まで下落したが、インフレは高止まりするとみられる。米国の工場の主要な原材料供給源である中国での新型コロナウイルスの感染の再拡大がサプライチェーン(供給網)にさらなる圧力をかけているためだ。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「米国のインフレは今年前半に加速し、第4・四半期はそうならなかったとしても、第3・四半期はほぼ間違いなくさらに上昇するだろう」との見方を示した。
インフレは、ロシアとウクライナの戦争が起こる前から既に問題になっていた。新型コロナのパンデミック(世界的大流行)によって支出がサービスからモノにシフトし、政府からの数兆ドルもの支援策によって強い需要が生まれたが、供給は制約された。新型コロナのまん延で何百万人もの労働者が労働市場を離れ、原材料を工場に、完成品を消費者に届けることが困難となったためだ。
政府は先週、2月の消費者物価指数の前年同月と比べた上昇率が1982年1月以来、約40年ぶりの大きさになったと発表した。
ガソリン価格上昇を中心とする高いインフレ率により、エコノミストは今年の経済成長率の予想を引き下げている。今のところパンデミックの間に家計に蓄えられた多額の貯蓄の効果により、景気後退(リセッション)が起こることは予想されていない。