注目トピックス 市況・概況
国内株式市場見通し:リバウンド余地残るも短命の可能性
配信日時:2022/02/26 14:55
配信元:FISCO
■ウクライナ情勢に翻弄される展開継続
今週の日経平均は週間で645.57円安(-2.38%)と大幅続落。週足のローソク足は2週連続で陰線を形成。引き続きウクライナ情勢を巡る地政学リスクに翻弄される展開となった。
週末25日の大幅反発までは前の週からの下落が続き、24日まで5日続落となった。週初はくすぶる地政学リスクの高まりを受けて日経平均は27000円割れの急落スタートも、米ロによる首脳会談の可能性が伝わると急速に買い戻され、最大573.07円安だった下げ幅を211.20円安まで縮小。翌22日は、ロシアが、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部の一部地域の独立を承認し、これを受けてバイデン米政権が経済制裁を発動すると発表したことで緊張が一段と高まるなか売りが膨らんだ。祝日前の買い手控えムードのなか日経平均は461.26円安と大幅に下落。
日本が祝日だった間の22、23日の米株式市場でNYダウは計900ドル超と大きく下落。米ロ外相会談が中止となり、ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻が警戒されるなか、リスク回避の動きが続いた。こうした流れを引き継いで、祝日明けの日経平均も下落して始まると、昼頃には、ロシアがウクライナ東部で特別軍事作戦を行うことを決めたことが伝わり、リスク回避の動きが加速。一気に26000円を割り込み、昨年来安値を更新。安値では25775.64円まで下落した。
一方、週末の日経平均は505.68円高と6日ぶりに大幅反発。バイデン米政権が発表した対ロ制裁第2弾が想定以上に厳しいものにはならなかったことで、目先の安心感から買い戻しが加速。ハイテク・グロース(成長)株を中心に大きく買い戻された。
■パウエル議長の議会証言など前に神経質な展開
来週の日経平均は神経質な展開か。対ロ制裁第2弾には、銀行間の国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの排除や、ドイツとロシアを結ぶガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」の承認中止以外の新たなエネルギー関連の制裁は含まれなかった。これにより、世界経済への大きな打撃は避けられるとの安心感が台頭。ウクライナ情勢を巡る不透明感から、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが後退するとの思惑も働き、相場の反発につながった。
ロシア・ウクライナの停戦交渉への期待も高まってきており、地政学リスクは一先ず後退しそうだ。日米ともに、主要株価指数を対象とした商品投資顧問(CTA)など短期筋による売り持ち高はかなり積み上がってきているようで、需給的にも今週末の買い戻しが進展する余地はまだ残されている可能性があろう。ただ、ウクライナ情勢の先行きについて油断は禁物だ。首都キエフでの戦闘はまだ続いているようで、停戦交渉が平和的な解決に繋がるかも不透明。事態は依然として混迷を極めており、波乱の余地は残されていよう。
また、週半ばの3月2~3日にはパウエルFRB議長の議会証言が予定されている。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前にヒントを得ようと神経質な展開が想定される。内容次第では、金融引き締めペースが後退するとのにわかな期待も再考を迫られることになろう。そのほか、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する景況指数のほか、週末には米2月雇用統計が発表される。内容を見極めたいとの思惑から積極的な買いは手控えられる可能性があろう。
さらに、ウクライナは天然ガスや鉄鋼製品、農産物などのインフラ網として重要な地点だ。発動される可能性は低いものの、ロシアのSWIFT排除や新たなエネルギー関連の制裁が科されるとなれば、世界経済への打撃は大きい。また、既に高止まりしているエネルギーや食料品の価格の一段の上昇にも繋がりかねない。その場合、景気後退と同時に、FRBの引き締めペース加速も連想され、負の連鎖が警戒される。
■資源関連や高配当利回り株に注目
今週後半は三井物産<8031>や三菱商事<8058>などの商社関連株に利益確定売りが広がる場面が見られたが、インフレ高進が引き続き警戒されるなか、資源関連株が再び持ち直す可能性は高い。自社株買いや配当など株主還元にも積極的なため、3月の期末に向けて物色余地は残されているだろう。同様の観点から、ソフトバンク<9434>などの高配当利回り株にも注目したい。地政学リスクや金融引き締め懸念など外部環境の不透明感からの影響も比較的小さいディフェンシブセクターであることも安心感がある。地政学リスクが再び高まる場面では、供給網混乱への思惑から、日本郵船<9101>などの大手海運株への物色が再燃する可能性もあろう。
■中国PMI、米ISM、米雇用統計など
来週は28日に1月鉱工業生産指数、1月住宅着工統計、世界最大級の携帯端末見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」(~3月3日)、3月1日に2月新車販売台数、中国2月製造業PMI、中国2月財新製造業PMI、米2月ISM製造業景気指数、バイデン米大統領の一般教書演説、2日に10-12月期法人企業統計、米2月ADP全米雇用リポート、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3日に米2月ISM非製造業指数、4日に1月失業率・有効求人倍率、米2月雇用統計などが発表予定。
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今週の日経平均は週間で645.57円安(-2.38%)と大幅続落。週足のローソク足は2週連続で陰線を形成。引き続きウクライナ情勢を巡る地政学リスクに翻弄される展開となった。
週末25日の大幅反発までは前の週からの下落が続き、24日まで5日続落となった。週初はくすぶる地政学リスクの高まりを受けて日経平均は27000円割れの急落スタートも、米ロによる首脳会談の可能性が伝わると急速に買い戻され、最大573.07円安だった下げ幅を211.20円安まで縮小。翌22日は、ロシアが、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部の一部地域の独立を承認し、これを受けてバイデン米政権が経済制裁を発動すると発表したことで緊張が一段と高まるなか売りが膨らんだ。祝日前の買い手控えムードのなか日経平均は461.26円安と大幅に下落。
日本が祝日だった間の22、23日の米株式市場でNYダウは計900ドル超と大きく下落。米ロ外相会談が中止となり、ロシアによるウクライナへの本格的な侵攻が警戒されるなか、リスク回避の動きが続いた。こうした流れを引き継いで、祝日明けの日経平均も下落して始まると、昼頃には、ロシアがウクライナ東部で特別軍事作戦を行うことを決めたことが伝わり、リスク回避の動きが加速。一気に26000円を割り込み、昨年来安値を更新。安値では25775.64円まで下落した。
一方、週末の日経平均は505.68円高と6日ぶりに大幅反発。バイデン米政権が発表した対ロ制裁第2弾が想定以上に厳しいものにはならなかったことで、目先の安心感から買い戻しが加速。ハイテク・グロース(成長)株を中心に大きく買い戻された。
■パウエル議長の議会証言など前に神経質な展開
来週の日経平均は神経質な展開か。対ロ制裁第2弾には、銀行間の国際決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの排除や、ドイツとロシアを結ぶガス輸送パイプライン「ノルドストリーム2」の承認中止以外の新たなエネルギー関連の制裁は含まれなかった。これにより、世界経済への大きな打撃は避けられるとの安心感が台頭。ウクライナ情勢を巡る不透明感から、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めが後退するとの思惑も働き、相場の反発につながった。
ロシア・ウクライナの停戦交渉への期待も高まってきており、地政学リスクは一先ず後退しそうだ。日米ともに、主要株価指数を対象とした商品投資顧問(CTA)など短期筋による売り持ち高はかなり積み上がってきているようで、需給的にも今週末の買い戻しが進展する余地はまだ残されている可能性があろう。ただ、ウクライナ情勢の先行きについて油断は禁物だ。首都キエフでの戦闘はまだ続いているようで、停戦交渉が平和的な解決に繋がるかも不透明。事態は依然として混迷を極めており、波乱の余地は残されていよう。
また、週半ばの3月2~3日にはパウエルFRB議長の議会証言が予定されている。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)前にヒントを得ようと神経質な展開が想定される。内容次第では、金融引き締めペースが後退するとのにわかな期待も再考を迫られることになろう。そのほか、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する景況指数のほか、週末には米2月雇用統計が発表される。内容を見極めたいとの思惑から積極的な買いは手控えられる可能性があろう。
さらに、ウクライナは天然ガスや鉄鋼製品、農産物などのインフラ網として重要な地点だ。発動される可能性は低いものの、ロシアのSWIFT排除や新たなエネルギー関連の制裁が科されるとなれば、世界経済への打撃は大きい。また、既に高止まりしているエネルギーや食料品の価格の一段の上昇にも繋がりかねない。その場合、景気後退と同時に、FRBの引き締めペース加速も連想され、負の連鎖が警戒される。
■資源関連や高配当利回り株に注目
今週後半は三井物産<8031>や三菱商事<8058>などの商社関連株に利益確定売りが広がる場面が見られたが、インフレ高進が引き続き警戒されるなか、資源関連株が再び持ち直す可能性は高い。自社株買いや配当など株主還元にも積極的なため、3月の期末に向けて物色余地は残されているだろう。同様の観点から、ソフトバンク<9434>などの高配当利回り株にも注目したい。地政学リスクや金融引き締め懸念など外部環境の不透明感からの影響も比較的小さいディフェンシブセクターであることも安心感がある。地政学リスクが再び高まる場面では、供給網混乱への思惑から、日本郵船<9101>などの大手海運株への物色が再燃する可能性もあろう。
■中国PMI、米ISM、米雇用統計など
来週は28日に1月鉱工業生産指数、1月住宅着工統計、世界最大級の携帯端末見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」(~3月3日)、3月1日に2月新車販売台数、中国2月製造業PMI、中国2月財新製造業PMI、米2月ISM製造業景気指数、バイデン米大統領の一般教書演説、2日に10-12月期法人企業統計、米2月ADP全米雇用リポート、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3日に米2月ISM非製造業指数、4日に1月失業率・有効求人倍率、米2月雇用統計などが発表予定。
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