後場の投資戦略

「遠くの戦争は買い」は果たして本当か・・・

配信日時:2022/02/21 12:17 配信元:FISCO
[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;26926.01;-196.06TOPIX;1911.58;-12.73


[後場の投資戦略]

 週明けの日経平均は波乱スタート、前場の下げ幅は一時600円近くまでに及んだが、その後、急速に下げ渋った。先週末は取引時間中に米ロ外相会談の報道が伝わったことで買い戻されたが、本日はバイデン米大統領とロシアのプーチン大統領による首脳会談に関する報道が伝わったことで下げ渋った。

 ただ、依然としてウクライナ情勢は緊張感に包まれている。今週行われる外相会談に加えて新たに決まった首脳会談により、外交的解決の可能性はゼロではないが、欧米とロシアの主張には依然として大きな隔たりがあり、物別れに終わる可能性もある。また、週明けにかけては、ウクライナ政府軍と親ロシア派武装勢力を隔てる境界線周辺で停戦合意違反の動きが急増していると伝わるなど、まさしく一触即発の状態が続いている。

 前場の東京市場は急速に下げ渋ったとはいえ、積極的な押し目買いが入っているというよりは、先週と同様、短期筋の先物主導での動きによるところが大きそうだ。この先も関連ヘッドラインに反応した短期筋に翻弄されることは濃厚だろう。「遠くの戦争は買い」などという格言もあり、地政学リスクによる株価下落は往々にして買い場になるとの指摘もあるが、少なくとも現時点での押し目買いは危険だろう。上述の米ロによる外相・首脳会談の行方もそうだが、最終的にロシアによるウクライナ侵攻が実行されるかどうか、これが決定的な事項となるまでは、関連報道に一喜一憂する展開が続く。

 不謹慎な話だが、仮に実際にウクライナ侵攻が始まれば不透明感後退であく抜け上昇に繋がるなどという声も聞かれるが、今回の場合はそうならない可能性もある。資源大国であるロシアへ経済制裁が科されることになれば、資源価格の一段の高騰を通じて、インフレ高進や米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め懸念を一段と強めかねず、その点でむしろ、先行き不透明感を高めてしまうシナリオも考えられる。いまは安易な押し目買いは避け、様子見に徹した方が無難だろう。

 後場の日経平均も引き続き神経質な展開が続きそうだ。ただ、米ロ首脳会談の報道を受けた買い戻しが既に一服していることや、心理的な節目の27000円目前で失速しているところを見ると、後場は上値の重い展開、もしくは、改めて下値模索の展開となる可能性にも留意しておきたい。

<AK>

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