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S&P500 月例レポート ― 1月の展開が2022年の相場を占う? (3) ―

配信日時:2022/02/17 11:41 配信元:MINKABU
●新型コロナウイルス関連  ○米疾病対策センター(CDC)は、ファイザー製ワクチンの12~15歳を対象としたブースター接種を承認しました。  ○複数の都市では職員不足と安全性を考慮して、学校システムを閉鎖しています。  ○企業は従業員の職場復帰スケジュールを延期し、ウイルス検査と報告義務を強化する旨を従業員に対して通知しました。  ○2022年1月20日に新規感染者数は141万7493人に達し、7日間平均も2021年11月末の8万3120人から80万3736人(1月15日時点)に増えました。また、入院者数の7日間平均も昨年11月末の5万4906人から14万3902人に増加しました。  ○中国はゼロ・コロナ政策を継続しており、複数の工場と港湾施設が閉鎖されました。また、オミクロン株の感染者が2名確認されたことを受け、河南省安陽の住民500万人に対して外出禁止令を出し、ロックダウン状態に入りました。  ○幾つかの大都市(ニューヨーク州のような早い段階で感染が拡大した地域)では新型コロナウイルスの新規感染者数が減少する一方、急増が始まった地域も見られ、今後数週間は感染が拡大する地域と減少する地域が混在する状況が続くとみられます。  ○バイデン政権は家庭向けに新型コロナウイルスの検査用キット4個の無償配布を開始しました(筆者の自宅にも送付されてきました)。さらに2022年2月からは、薬局で医療用マスクN95も無償で入手できるようになる(1人当たり3個まで)予定です。  ○新型コロナウイルス関連データ:   ⇒世界全体のワクチン接種回数は101億回となりました(2021年12月末時点では91億2000万回)。   米国は現時点で:    →ワクチン接種回数が5億3900万回(同5億800万回)に達しました(ブースター接種を含みます)。    →人口の74.5%(同73.4%)が少なくとも1回は接種したことになり、人口の63.1%(同62.0%)が2回の接種を終えました。人口の26.1%(同20.7%)がブースター接種を受けました。    →米国の1日当たり感染者数は2021年1月11日に141万7493人に達しました。1月末時点の感染者数の7日間平均は51万9421人となり、2021年12月末時点の34万4543人、同11月末時点の 8万3120人から増加しました。また、死者数の7日間平均は2524人(同1221人)に増加しました。 ●各国中央銀行の動き(および関連ニュース)  ○2021年12月14-15日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録では、より早いペースでの利上げが示されました。市場関係者の間では2022年3月の利上げ開始という見方が優勢となっています。また、これまでの(0.25%ずつ)2-3回の利上げが行われるとの予想に対し、現在は利上げ回数は3-4回になるとの見方が主流となっています。議事録ではインフレと労働市場の逼迫に対する懸念が表明されていました。こうした内容に市場は即座に反応し(議事録の公表時間は午後2時)、公表前からすでに0.39%下落していたS&P500指数は1.94%下落して、公表当日の取引を終えました。また、利上げ観測を背景に2021年12月末の1.51%から上昇していた米国10年国債利回りは、同日に1.71%まで上昇しました。  ○FRBのパウエル議長(2期目)は、上院での再任指名承認公聴会において、FRBは米国経済がもはや金融支援を必要とはしていないと判断しており、今後はインフレ抑制と金利の引き上げに注力していくと発言しました。また、サプライチェーンの問題も今年中に解消に向かい始める可能性が高いとの見解を示しました。  ○FRBの地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、米国経済の成長は緩やかで、労働力不足とサプライチェーンの問題が景気回復の重石になったとしています。  ○中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は、長期貸出金利の指標となる5年物ローンプライムレートを4.65%から4.60%に、また1年物のレートを3.80%から3.70%に引き下げました。  ○市場関係者は現時点で、2022年中に4度の利上げと量的引き締め(QT)が行われると予想しています。JPモルガン・チェースのCEOであるダイモン氏は、FRBが2022年に短期金利を引き上げる必要のある回数が4回を上回る可能性があると発言しています。  ○予想通り、FRBは1月のFOMCにおいて次回会合(3月15-16日開催)で金利を引き上げることを示唆し、政策金利がインフレ退治のための主要な政策ツールとなるだろうとの見解を示しました。FRBのバランスシートの縮小に関しては、今回の声明文では言及されませんでした。オンライン形式での記者会見でパウエル議長は声明文の内容について確認しましたが、バランスシート縮小に関しては明言を避けました。パウエル議長は声明文が示す以上にタカ派寄りと見られ、利上げに関する発言を繰り返す一方、資産圧縮に関してはコメントしませんでした。  市場はこうした姿勢を、利上げに関して一段と積極的になったと解釈し、年内に5回の利上げがある可能性もあると捉えた一方、資産圧縮に関してはそれほどタカ派的ではないと受け止めました。会見内容を受けて、結果的に市場では売りが広がりました。会見の開始と同時に1.49%上昇したS&P500指数はその後 1.19%下落し、最終的に0.31%の下落で取引を終えました(1日の高値と安値の差は3.47%)。 ●IPOおよび「空箱」SPAC  ○プライベートエクイティ投資会社TPGパートナーズの上場が2022年の最初の大型IPOとなりました。同社はIPO価格29.50ドル(当初想定価格は28-31ドル)で上場し、初値が33.00ドル、一時34.99ドルを付け、32.83ドルで月を終えました。  ○今後も活発なIPOが見込まれます。   ⇒デジタル貯蓄・投資アプリを運営するエイコーンズはSPAC経由での上場を計画しており、企業評価額を22億ドルと見込んでいます。   ⇒イスラエルのデジタル取引プラットフォームのイートロはSPAC(フィンテック)経由で上場すると発表しました。時価総額100億ドルを見込んでいます。 ●企業業績  ○2021年第4四半期は、第1~第3四半期と同様に利益と売上高が予想を上回る傾向となり、決算発表を終えた171銘柄中137銘柄(80.1%)で営業利益が予想を上回り、31銘柄で予想を下回り、3銘柄で予想通りとなりました。また、売上高では170銘柄中132銘柄(77.7%)で予想を上回りました。   ⇒2021年第4四半期は、過去最高を記録した2021年第3四半期の水準から0.4%の増益が見込まれます(2021年第4四半期のEPSは52.25ドル、2021年第3四半期は52.02ドル)。   ⇒2021年通年については過去最高益を更新する見通しで、前年比で66.5%の増益が見込まれ、2021年予想PERは22.2倍となっています(2020年の利益は同22.1%減)。   ⇒2022年の利益は2021年予想からさらに9.0%増と、過去最高益の再度の更新が見込まれ、2022年予想PERは20.3倍となっています。   ⇒2023年の利益は2022年対比で8.9%増が見込まれ、2023年予想PERは18.7倍となっています。   ⇒2021年第4四半期中に株式数の減少によってEPSが大きく押し上げられた発表済みの銘柄の割合は14.7%でした(第3四半期は7.4%、2020年第4四半期は6.0%、2019年第4四半期は24.2%)。   ⇒2021年第4四半期の営業利益率は12.61%となり、第3四半期の13.17%からは低下しましたが、依然として高水準を維持しています(1993年以降の平均は8.16%)。 ●個別銘柄  ○2021年のトヨタ自動車ADRの米国での販売台数は232万台となり、ゼネラル・モーターズの222万台を上回りました。GMは90年間(1931年以来)維持してきた年間ランキング1位の座を失いました。アナリストによると、GMは半導体不足が大きな痛手となりました。  ○iPhoneメーカーのアップルの株価は、一時182.74ドルを付け、公開市場の時価総額が3兆ドルに達した最初の企業となりました。同社は、2018年8月2日に時価総額が1兆ドルに達した最初の企業となり、2020年8月19日には2兆ドルに達した初の企業となりました。  ○半導体メーカーのインテルは、200億ドル以上を投じてオハイオ州に新たな半導体工場(従業員数3000人)を建設すると発表しました。  ○S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは、公益事業のエクセロンからスピンオフしたエネルギー企業コンステレーション・エナジーをS&P500指数に採用し、衣料品小売りのギャップを同指数から除外してS&P中型株400指数に移行すると発表しました。 ●注目点  ○新年は、取引初日に終値での最高値を更新する(4796.56)という華々しいスタートとなりました。S&P500指数が1年の最初の営業日に最高値を更新するのは8回目で、過去7回のうち5回は年間で上昇。前回は2020年1月2日、その前は2018年1月2日で、2年毎というのは良い感じです。  ○原油価格は上昇して一時88.84ドルを付け、88.32ドルで月を終えました。それに対して、2020年1月の終値は52.16ドルでした。原油価格が前回100ドルを付けたのは2014年8月です。ガソリン価格は下落傾向に転じ始めていましたが、その後は上昇に転じました。  ○米国10年国債利回りは2年ぶりの高水準である1.90%に上昇し(前回2%を付けたのは2019年7月、3%を付けたのは2018年12月)、その後は株式市場と同様に下落して、1.78%で月を終えました。 ※「1月の展開が2022年の相場を占う? (4)」へ続く 株探ニュース

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