注目トピックス 日本株

タナベ経営 Research Memo(8):唯一無二の経営コンサルティング・バリューチェーン構築を目指す

配信日時:2022/02/04 15:28 配信元:FISCO
■今後の見通し

3. 成長戦略
タナベ経営<9644>は「One & Only 世界で唯一無二のコンサルティンググループ TCGの創造」を実現するため、5つの成長モデルの実装とM&A戦略を推進し、また、持続的な成長を実現するためのコーポレート戦略に取り組んでいく。

(1) 5つの成長モデルの実践
a) TCGプロフェショナルDXサービスモデル
同社のコアバリューである「コンサルティング価値(戦略策定機能)」を深下させ、売上高100億円を達成することに加えて、新たな領域である「プロフェショナルDXサービス(実装・オペレーション機能)」をM&Aにより拡大していくことで、売上高150億円の達成を目指す。プロフェショナルDXサービスは、コンサルティング領域ごとにサービスも異なるためM&Aの対象も幅広くなるが、早期にM&Aを遂行して一気通貫の「経営コンサルティング・バリューチェーン」をより強固なものとし、売上成長を加速していく考えだ。

解りやすい例を示すと、マーケティング分野では、コンサルティングサービス(コアバリュー)としてマーケティング戦略の策定(上流工程)を行い、プロフェショナルDXサービス(新たなM&A戦略の領域)として、SFAやCRM、MAツールなどの導入支援(下流工程)を行い、PDCAを回しながらサービス価値を高めていくことになる。同社では今後、中流から下流工程のプロフェショナルDXサービスブランドを年間10ブランド、5ヶ年で50ブランド開発していくことで、唯一無二の経営コンサルティング・バリューチェーンを構築し、高成長を目指していく戦略だ。

b) TCG C&C開発モデル
コンサルティング領域の開発モデルとしては、新たな経営ニーズや経営課題に対する専門テーマのチームアップに始まり、それをチームコンサルティングブランド(TCB)として商品化し、研究会・セミナーを通じてチームコンサルティング組織を組成(コンサルティングセグメンテーション)する。次のステップとしてコンサルティング事業化し、M&A実施も含めて事業会社化していくことで、コンサルティング領域を広げ、売上規模を拡大していくことになる。

コンサルティングセグメントは現在、8セグメント(ドメイン、M&A、ファンクション、HR、マーケティング、デザイン、ブランド、DX)に細分化しており、それぞれのセグメントで育成強化を進めていくほか、グループ4社体制を2026年3月期までに6社体制以上に拡大することを目標としている。M&A対象先としては、HRや広報PR、グローバルマーケティング領域でのDXコンサルティングサービスを展開している企業が優先順位として高くなっている。

c) TCGマーケティングモデル
ターゲットとする大企業から上場企業を含む中堅企業の約8万社に対して、地域密着のリージョナル戦略と独自のマーケティングモデル(各種セミナー、研究会等を導線とした見込み顧客の獲得)によって顧客獲得を図り、コンサルティング契約の継続率70%以上と、売上計画の35%を新規顧客の獲得で達成していく。また、CRMコンサルティング部門における既存顧客へのフォローアップ等によって新たなコンサルティング需要を見出し、顧客当たり平均単価10%アップに取り組んでいく。

d) TCGチームアップ&パートナー100モデル
「TCG C&C開発モデル」との連動により、既存組織及びチームから新しいリーダーを生み出し、これらリーダー人材をパートナー人材に育成するためのマネジメントシステム(企業内大学による育成プログラム等)を構築し、パートナー人材を現在の50名から100名と2倍に増やしていく。ここで言うパートナー人材とは、コンサルティングチーム(5~10名)をまとめる人材を指す。このため、パートナー人材を100名育成すると言うことは、コンサルティングチームが100チームできることを意味する。特に、今後は地域エリアでのチーム拡大に取り組んでいく方針で、人材採用・育成を強化していく方針だ。

なお、パートナー人材を5年間で2倍に増員するため、社内の人材育成だけでなく、プロフェショナル人材の外部採用も強化していく方針で、そのために人事制度についても見直した。中期業績目標を達成していくためには、新規M&Aの実行によるプロフェショナルDXサービスの拡大に加えて、パートナー人材の増員がカギを握るものと弊社では見ており、今後の進捗状況が注目される。

e) TCG アカデミーモデル
企業内大学として開始したオンライン&リアルを融合した教育研修システム「タナベFCCアカデミー」を、プログラムの開発・拡充によって「TCG アカデミー」へとアップデートし、プロフェショナル人材の早期育成を図っていく(2年を目標)。また、グループ戦略として「TCG アカデミー」を活用していくために、人材交流やプログラムの共有化、アカデミースタジオの増設を予定している。

さらに、パートナー人材を育成するための「TCGリーダーシップアカデミー」や、デジタル人材を育成するための「DXアカデミー」も新設する予定だ。同社では今後の人員採用について、年間100名程度のペースで進め、新卒採用については従来の約3割から約4割に引き上げていく計画だ。2022年の新卒採用は、コロナ禍だったこともあり単体ベースで15名弱程度と例年より若干抑え気味となったが、2023年以降は採用数を一段と拡大していく予定となっている。また、採用戦略についてもグループ連携を進めており、各社とも質の高い人材を獲得できているもようだ。

(2) SDGsの取り組みについて
SDGsに関しては多くの企業から引き合いが増加していることを受け、「SDGs実装コンサルティング」「SDGs研究会」「SDGs教育」等の商品を開発し、顧客企業のSDGsへの取り組みを支援している。同社自身においても、同社ならではのマテリアリティ及びそのKPIの設定作業を進めている段階にあり、今後は重要な経営課題の1つとして取り組んでいく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


<YM>

Copyright(c) FISCO Ltd. All rights reserved.

ニュースカテゴリ